第77話 いざ!地獄剣山へ!
カグラの働きで、ベコベアが姿を消したことが噂としてサンダ人民国の王都に流された。
5剣神ブルスリが一夜にして討たれたことで、ベコベアは恐怖を感じ、姿を消したという内容だった。
そして春麗が俺達の泊まる宿屋に訪れた。
「フミヤ殿、ベコベアが姿を消したようだ。
ブルスリが一夜にして討たれたことに、恐れをなしたようだ。
国外逃亡かもしれぬ。カグラに探らせているからベコベア討伐は先延ばしになる。
申し訳ない。」
俺は、表情に気をつけながらそれに答える。
(そっそうなのか〜
……じゃあどうしようか。
先にチェンと堕天使カシエラを討つか。
チェンを野放しにしとくのも厄介だしな。)
「そうだな。チェンを討って、そのあとベコベアを討つ。その流れでお願いしたい。
カグラには、ベコベアの捜索を急かしているのでな。
チェンを討つ頃には、居場所は掴めるだろう!」
俺は、上手く話を進めることができたことに安堵した。
(それで、チェンの居る地獄剣山の祠なんだが、何か行く上で注意すべきことがあるのか?春麗は当然行ったことがあるのだから、その辺り詳しいだろ?教えてくれ。)
春麗は、困ったような表情で答える。
「確かに私は地獄剣山の祠に、過去一回だけ行った。
しかし、不思議なことに記憶が定かではないのだ。
覚えているのは、とても困難だったということ。そして、迷路のようだったという記憶だけなのだ。
現地に行けば、困難だという理由はわかって貰えると思う。
………申し訳ない。
提供できる情報がない。」
項垂れる春麗。
生真面目な性格。これが本来の春麗の性格なのは、牛熊(ベコベア)の話で理解している。
(気にするな。
元々、俺達は冒険者。
答えがわかっている道など冒険ではないからな。楽しみが増えたと考えよう。
なあ!皆んな。)
リリィが答える。
「そうですわ。何か新しい発見もあるかもしれないし。」
皆が頷く。
「そう言って貰えると、私も助かる。
私も行けば何か思い出すかも知れん。
その時は、任せてくれ。」
(じゃあ、明日朝一に出発ということで良いな!)
皆が頷く。
コリー隊長は、グッと拳を握り締めるのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「そうですか。明日フミヤ殿達は地獄剣山の祠に行くのですね。」
ここは、地獄剣山の手前にある洞窟。
牛熊(ベコベア)は、フミヤ達に言った通り、ここに身を隠していた。
「噂を春麗様が聞きつけたあるね。
そして、今日春麗様がフミヤ殿達に話を持って行ったあるね。
明日の朝一から地獄剣山に行くと決まったあるね。」
「なるほど。カグラは同行するのですか?」
「春麗様の護衛という形で同行するあるね。」
牛熊(ベコベア)は頷きながら言う。
「それでは私は、皆さんから遅れること30分、ここから地獄剣山の祠を目指します。
チェンを討って、春麗が自我を戻したとき私のスキルを切らないと【天邪鬼】の力で春麗が凶暴になってしまいますからね。
間に合うと良いのですが。」
カグラが意志の強い目で言う。
「大丈夫あるね。
私が命に変えても春麗様を止めるあるね。
……それよりも牛熊(ベコベア)様。
道中、お気をつけていらしてくださいあるね。」
「ふふふっ。
カグラ大丈夫だ。強い魔物と遭遇した時は、迷わず【天邪鬼】を使うから。
チェンには通じなくても、魔物には通じる力だよ。
では、春麗を頼む。カグラ。
其方が居てくれて本当に助かる。」
「勿体無いお言葉あるね。」
そう言ってカグラは、洞窟を出る。
ふと、カグラは先に目をやる。
霧に包まれた棘のように連なる山々。
地獄剣山。
その地獄剣山の奧から放たれているプレッシャーを感じとる。
カグラは呟く。
「凄まじいプレッシャーあるね。
人外の圧。
チェンの圧か?堕天使カシエラの圧か?
………フミヤ殿に任せるしかないね。」
そう言うとカグラは踵を返すように春麗の居る屋敷へと戻るのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
夜の闇が朝日によって照らされる頃、フミヤ達一行は、地獄剣山を目の前にしていた。
棘のような山々に囲まれた地。
まだ、陽の光が届ききっていない為、まだ薄暗さを感じる。
そして、霧が深く立ち込めている為、目の前一メートルも視界がないような世界。
そして、異様な圧が奧から感じとれる。
堕天使カシエラがあれから何かしらの力を得ているのか?
聖教国の海の神殿で感じた圧の数倍の圧が体を押し返す。
人の防御反応だろうか。
進めば危険と告げているかのような体が重くなる圧だった。
リリィがフミヤに話しかける。
「フミヤ様。
もう動きますか?」
(う〜ん。ちょっと待って。
一応試してみる。)
「何を試すのです?」
(ほら。グリフォンの雄に憑依して得たスキル。【鷹の目】を使ってみようかな。
あの棘のような山を見ると霧が出てるのは、下だけの様だから。
上から見たら何かわかるかなと思ってさ。)
「わあ。鷹の目ですか!初めて使いますね。
フミヤ様がここに居ても、空の上から見えるってそんな不思議なことあるのかな?」
俺は、【鷹の目】を発動した。
視界が変わる。
視界が地上から離れていくのがわかる。
纏わりつくような霧を抜けて棘山の中ほどの高さ。これでは意味がないので、高度を上げるように意識を高める。
すると棘山の山々の頂上が視界に入った。
かなりの山々が連なっている。要は、この山と山の間を歩いて行くわけだ。それが山が作り出す迷路となるのだ。そして、この霧で余計に感覚を惑わされ、なかなか辿り着けないという現象に陥るのだ。
この地獄剣山の奧に祠があると言っていた。
俺は視界を先へと切り替える。
祠は流石に見えないが、明らかに他とは違う棘山を見つけた。
棘山から邪悪な感じの湯気のような黒いオーラが立ち上がっていたのだ。
俺は鷹の目を切った。
(見つけたよ。行こう。
皆前を歩いている背中を見失わないように!)
フミヤ達は、地獄剣山に足を踏み入れるのだった。
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