第76話 会談②
「貴方は5剣神チェンの右腕とも言えるブルスリを倒した。あっ。ガオシュンもですね。
相当な手練れと認識しました。
是非、チェンを討って頂きたいのです。
そして、春麗と民の精神操作を解いて貰いたいのです。
そうすれば、私は【天邪鬼】を解きます。」
(待てよ。そうなったら、民は春麗を恨んだ気持ちが蘇るんじゃないのか?)
「そうですね。恨みが蘇るでしょうね。」
(それが、なんで春麗の為になるんだよ。)
「人は悪いことをしたら、謝らないといけません。
春麗は、恨まれているでしょう。
しかし、幸いなことに民を殺すことはしていません。
それは、ここにいるカグラが体を張って阻止していましたから。
春麗に民殺しをさせない為に。」
すると、牛熊(ベコベア)の横にいたカグラが上着を脱いだ。
傷だらけの上半身が露わになる。
「姫は、優しい人あるね。
ああなったのも全てチェンが悪いあるね。
今、牛熊(ベコベア)様の力で昔の優しい姫になっているが、それは所詮まやかし。
時折、姫が苦しそうな表情を見せるあるね。
姫の心の中で、善と悪が戦っているあるね。
姫の葛藤をおさめることができるのは、チェンを討つことあるね。
しかし、我らではチェンが倒せないあるね。
奴は、化け物あるね。
だから、フミヤ殿達に頼るしかないね。」
すると、牛熊(ベコベア)が言う。
「チェンを討ってください。
お願いします。
私は、武芸は全くなのです。
そして、民と春麗をまともに!
そして、春麗とともに私も民に謝罪をするのです。
どうか、力をお貸しいただけないか?!」
俺は、リリィ、アル、ウルの顔を見る。
三人は頷く。
(元々、チェンを討つ為にここにきた。
チェンとチェンが連れている堕天使カシエラ。それを討つのが俺達の目的だ。
だから俺達がチェンを討つのはいい。
ただ春麗は、貴方を討とうとしているぞ。
俺達にもそれを依頼していた。
そこをどうするのか。
春麗の中では、貴方を討ってからチェンを討つ流れだ。)
「なら、私は地獄剣山の近くの洞窟に身を隠しましょう。
恐らくチェンがいるのは地獄剣山の祠。
私はチェンとは敵対しているため祠にはいけません。
春麗がこの後の行動を地獄剣山に向ける為に、私もチェンとともに地獄剣山の祠にいるという噂を流します。
これで、春麗の行動は地獄剣山にしぼることができます。
いかがでしょう?」
俺は、頷きながら言う。
(その噂は、どのくらいで広まる?
チェンを長い間放置することはできないからな。)
「二、三日もあれば可能かと。
いけるな!カグラ。」
「はい!すぐに動くあるね。」
(わかった。じゃあ、乗ってやるよ。
でも、完璧に信じたわけじゃないぞ。
トータルで話を聞いて信憑性が高いと考えたからだ。
俺達の目的チェンを討つことと合致してるしな。
ベコベアを討つというのは、春麗の希望であって、俺達の目的ではなかっただけだ。
全てはチェンを討てば、どれが嘘でどれが本当なのかハッキリするだろ。
春麗が噂をキャッチしたら、俺達は地獄剣山にチェンを討ちにいく!
それでいいな!)
牛熊(ベコベア)とカグラは、頭を下げて言う。
「「よろしく頼みます。」」
俺達は、牛熊(ベコベア)の屋敷を後にするのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
宿屋に戻るとララさんとコリー隊長が戻ってきていた。
奴隷達は、皆安堵の表情を浮かべていたが、やはり少しの間でも奴隷落ちしたという屈辱に精神が不安定だと言うことだった。
そして、ララさんとコリー隊長にも牛熊(ベコベア)とカグラの話を共有した。
ララが言う。
「???ベコベアが悪者ではないのです???春麗さんがチェンに精神操作???
春麗さんとベコベアが妹と兄???
…………あああぁ〜!何なのです!
もう、この国は訳がわからないのです!
どれが嘘でどれが本当なのです!」
コリー隊長も言う。
「確かに。惑わされてばかりですね。」
困惑する二人に、リリィが言う。
「でも倒すべき相手は、何も変わってないです。5剣神の長チェンだということは!
だいたいベコベアは私達の目的ではなかった。
ベコベアを討ちたいのは、春麗さんだったわけだし。
そこをベコベアさんが、上手く私達がチェンを先に討つ流れを作ってくれるのです。
チェンを討てば全てが解明されますよ。
ベコベアさんがもし、嘘をついていたならその時に対処すればいいだけ。
でも、話を聞いていたらなんか辻褄はあっているんですよね。」
「そうなのですか!
まあララはあんまり深くかんがえないようにするのです!
ララは素直なレディなのです!
この国とはとても相性がわるいのです!」
するとウルが言う。
「ララさん!
僕思うんだけど、素直なレディが恋愛マスターララ先生は無理だと思うんだよね。
恋愛って押したり引いたり駆け引きじゃん。
ララさんマスターなんでしょ。
素直ではないと思うんだ。」
すると、ララがニヤリと微笑み言う。
「ウルは、セシル姫並みのお子ちゃまなのです。
恋愛は駆け引き?ではありません。
恋愛は、パターンなのです!
どのパターンがハマるのか?それを模索するのです!
姫!ここ試験に出ますよ!
今、凄く深いことをララは言ったのです!」
セシル姫が焦ったように例の日記帳を出して言う。
「とっ突然すぎるのです〜。
まさか、ここで恋愛マスターララ先生のお言葉がでてくるとは思わないのです〜」
「チッチッチ!
姫!油断大敵なのです!
恋愛は、姫のタイミングで、姫の余裕ある時に現れませんよ!
貴方のお母様が、このようなお言葉を残しておられます。
" ラブストーリーは突然に!"
お言葉のように、恋愛は突然始まるのです!
始まろうとしている時に姫は、ちょっと待ってというのですか!
ララもエルフの森小人族の集落でラブストーリーは突然に!なのです!」
これには、リリィが反応する。
ララさんの耳元でコソコソと話をしだす。
俺は、話がそっち方向に行ったので静かに自分の部屋へ戻ったのだった。
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