第73話 手数
春麗、ララ、アルの三人は奴隷達が救出されたのを見届けた。
奴隷商人達を殲滅するのもかなりの数を始末して、ほとんどが地に血を垂れ流して息絶えていた。
一息ついていた時、ブルスリの屋敷に火が付いたことに気がつく。
春麗がそれを見て口を開く。
「屋敷が燃えていますね。
青い炎‥…。
これは、凄まじい。」
「青い炎は、フミヤ様の火属性魔法極LV1の業火ですわ。この炎は、ちょっとやそっとじゃ消えませんわ。全てを灰にしてしまう炎ですわ。」
「フミヤ様!大暴れなのです!」
誇らしげにアルとララが言う。
すると春麗が言う。
「………本当に凄いな。
アルさん、ララさん、そろそろ私達も表玄関の方に行こうか。
ここは、片付いた。」
それに、二人が頷き、春麗、アル、ララは、屋敷周りを駆けて表玄関を目指す。
三人は屋敷を回り込んだ時、表玄関の悲惨な状況に思わず足をとめた。
隕石によって塀はすべて破壊され、そこら中穴が開き、地は"大地の怒り"で割れ、あちこちで地が隆起していた。
そして、その地には風で斬り刻まれた奴隷商人、雷に打たれて黒焦げになった奴隷商人、青い炎で焼かれた奴隷商人、凄い数の遺体が転がっているのだ。
春麗が口を開く。
「わっ私達の応援は要らないようだな。
この数をあの短時間で‥……」
アルが答える。
「多分、これは一瞬で終わったことですわ。
斬り刻まれているのと、黒焦げはフミヤ様が【疾風迅雷】と"疾駆"で駆け抜けたことで、こうなったのでしょうね。」
すると、ララが言う。
「あっ!フミヤ様がいるのです!
ツルツル頭と対峙しているのです!」
春麗はララの見てる方向を見る。
そして言う。
「ブルスリと今から戦闘のようですね。
では、助太刀を」
春麗が動こうとするのをアルとララが止める。
「何故?数が居たほうが良いでしょう?
相手は5剣神ブルスリ。強者です。」
「春麗さん。逆にフミヤ様の邪魔になりますわ。
ブルスリが強者だと言うなら尚更。」
ララも口を開く。
「ここから見守るのです!
あのツルツルハゲチャビンが強いのなら、ララ達が行ってララ達が人質のようにされるほうがフミヤ様は戦いにくいのです!」
春麗は、アルとララが言うことに納得出来なかった。
強者には数で対抗すべきと考えていたから。
しかし、アルとララは頑なに邪魔になると言う。
アルとララに見守るといわれ、渋々遠目でフミヤとブルスリの戦闘を見ることにしたのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
(ああ!確かにガオシュンとかいう男は俺が倒した。
まあ、お前も倒すんだがな。)
ブルスリは頭に青筋を立て怒り任せに言う。
「ガオシュンを、倒したくらいでよく吠えるあるね!
アイツは、所詮手数が多いだけの男あるね!
魔法も拳もつかえないあるね!
私と同じレベルで考えるなあるね!」
(ふん。どうでもいいわ。
どうせ倒すし。)
ブルスリとフミヤの戦いが今始まろうとしていたのだった。
ブルスリは、腰から剣を抜く。
片刃の曲線を描いた剣。
キレ味より力で叩き斬るイメージの剣のようだ。
右手で剣を持ち、左手は拳を握る。
ブルスリは、最初からスキル【剣拳魔】を使ってフミヤを圧倒するつもりだ。
フミヤは、言う。
(裏も片付いたころかな?
奴隷の解放も終わっただろうか?
表はコイツで終わりだし。まあ、成功かな。)
「何、勝ったつもりでいるあるね!
お前は、いまからこの私がぶち殺すあるね!
久々に怒りが頂点まで上り詰めたあるね!
死ねや!」
ブルスリが剣を振り上げ凄い勢いで振り下ろす。
それとともに、左の拳も同時に繰り出す。
そして、剣からは雷属性の魔法がフミヤを襲う。
剣と拳、そして魔法の攻撃が一気にフミヤを襲う。
轟音が響きわたる。
見ている春麗が声をあげる。
「なっ何故?!
何故避けないのですか!
あっ危ない!」
「大丈夫ですわ。あれくらい。」
轟音とともに砂煙が舞う。
砂煙が晴れるとそこには、無傷のフミヤの姿が。
ブルスリが驚愕の表情で立ちすくむ。
フミヤが言う。
(剣と拳、そして魔法の三つの攻撃か。
お前の手数は一気に三つか。
でもそんなもの、剣には"鉄壁"を拳には"魔素纏い"を魔法には"魔法障壁"で守れてしまうんだよな。お前の攻撃は、永遠に俺には届かないんだよ。
俺を倒すには手数が足りんな。)
そう言いながら、ブルスリとの距離を詰めるフミヤ。
ブルスリはジリジリ後退する。フミヤの圧に押されて。
「ばっ馬鹿な!こんな馬鹿みたいなことあるか!
ばっ化け物あるね!」
逃げ出すブルスリ。
フミヤは、ブルスリの影に向けて【影使い】を発動する。
ブルスリは必死に走って逃げるのだった。
すると、見ていたアルとララがフミヤを呼ぶ。
そして、春麗とともにフミヤのところまで駆けてくる。
(アル!ララさん!裏は片付いたのか?
奴隷解放もリリィ達が居ないのを見ると上手くいったのかな?)
「フミヤ様!バッチリなのです!
ララ達が来る前にフミヤ様も一人で終わらしていたのです!
がっかりなのです!このメリサックがもっと使いたかったのです!」
「ララさん、よく言いますわ。
裏で散々それで、殴り倒していたではありませんか。
もう、音が、音がおぞましかったですわ。
頭がグチャっと潰れるんですから。」
「アル!アルもスパッと首を飛ばしていたのです!一緒なのです!」
フミヤ達三人が悠長に会話をしだしたのを見て、春麗は焦って口を挟む。
「三人とも、落ち着きすぎです。
ブルスリが逃げてしまいます!
もう姿も見えませんよ!」
すると、ララとアルが言う。
「大丈夫なのです!」
「大丈夫ですわ。」
フミヤが最後に言う。
(アイツはもう何処にいっても逃げられない。もう【影使い】でマーキングしているから。じゃあ、終わらすか。)
そう言うとフミヤは自分の影に手を突っ込む。
(はい!捕まえた。)
そう言うと影から一気にブルスリを引き抜く。
「えっ!なっ何んなの?」
春麗が驚愕の表情で固まる。
(これ、【影使い】という俺の特級スキル。
俺の影とコイツの影を繋げたんだ。)
逆さに吊るされながらブルスリが叫ぶ。
「ばっ化け物あるね!離せ!離せ!」
(離すかよ!春麗さん。
始末していいか。)
春麗はフミヤの問いに正気に戻り答える。
「あっああ。良い。」
フミヤは、【活火激発】を発動する。
マグマがブルスリに流れていく。
5剣神ブルスリの絶叫も、一瞬でなくなる。
そこにはマグマ溜まりが残っただけだった。
一瞬でマグマにのみこまれ溶けるように命を落としたのだった。
なんとも呆気ない最期だった。
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ちょっと、ブルスリさん良いとこなしでした。
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