第63話 姉妹?
小人族のジジババ達を保護して、エルフの森集落に空間転移で送り届ける。
ララさんがエルフの森集落の人達に指示をし、まず医療施設でジジババ達の体力の回復を見ることになった。
リリィは、ジジババ達に"大聖女の癒し"を発動し、体の傷んだ所を癒した。
そして、ララさんはエルフの森集落の者達にジジババ達に栄養を取らすよう指示して、俺達は、また獣人国に空間転移で戻った。
そして、奴隷商人達が言った山道を抜けた脇に置いてある荷馬車の確認をする。
荷馬車には、獣人の女性5人と獣人の子供が2人、縄で拘束されていた。俺達は、すぐに拘束を解き、助けに来たことを告げたのだった。
驚いたことに捕らえられていた獣人は、王族とその関係者だった。
獣人の子供が王太子の子供。そして、獣人の女性5人は、その従者だった。
(王族を、あいつら攫ったのか!
どういうことだ?!警備は甘くないだろうに。)
セシル姫が口を開く。
「……獣人の中にも手引きした者が〜いそうですね〜」
すると獣人の女性の一人が口を開く。
猫獣人のようで、細身だがしなやかな筋肉と締まるところはしっかり締まっているとても綺麗な女性だった。髪は、黒に近いブルー。人族と違うのは、頭に猫耳があるのと、お尻に尻尾があるくらい。後は人族となんらかわらない。
「わっ私は王城で近衛騎士をしているコリー・エラと言います。
助かりました。ありがとうございます。
姫様達を学園にお迎えに行き、帰る途中で襲われました。
突然男達に掴まれた瞬間、電撃が体中に走って気を失いました。
気が付いた時には、この荷馬車で……」
(その男達はもう拘束している。
サンダ人民国の奴隷商人だ。
サンダ人民国の奴らは体に雷を纏うから、それで痺れたのだろうな。
でも、サンダ人民国の奴らが暗躍しているのは、獣人に手引きしている者がいるんじゃないかと思うんだが、心当たりはあるか?)
「………姫様2人が狙われた……。
ザラ第二王子しか考えられません!
王太子様と敵対しているのです。
ザラ第二王子は、サンダ人民国と繋がっているという噂は、前からありました。
サンダ人民国の武力をザラ第二王子が王太子様にチラつかせる所を何度も見たことがあります。」
(お家騒動的な感じか?
獣王ガネーシャ様は健在なのだろう?)
「それが、ここ数年原因のわからない体の不調を訴えておられて。
公務は、王太子様が全て行っている状況です。
次期国王として、王太子様も、"これは私がすべきことだ"と言って公務にあたられています。」
ここでリリィが口を挟む。
「フミヤ様。姫様達を直ぐにでも王太子様の元にお連れしたほうが良さそうです。
獣王ガネーシャ様の体調不良も気になりますし、今から王城にお連れしましょうよ。」
(そうだな。そしたら、あの奴隷商人達は衛兵に預けるか!)
俺達は、奴隷商人とマルスを王都の入口に居た衛兵に突き出し、王城に行くのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
王城に行くと、大騒ぎになっていた。
もう、暗くなっているのに姫様達が帰っていないということで文官達は焦りに焦っていた。
そんな所に姫様達を連れて王城に入城したものだから、いきなり屈強な騎士達に俺達は囲まれることになった。
「おい!貴様ら!どういうことだ!
姫様達を何処に連れ回していたのだ!
ひっ捕えよ!」
俺達に群がる騎士達。
そこでコリーが叫ぶ。
「"ひかえろ!"
お前達は、姫様達の恩人に何をしようとしておるのだ!
獣人国は、いつからそんな無礼な国となった!」
獣人の騎士達の動きが止まる。
「どっどういうことなのですか!
隊長!」
なんとコリーは、近衛騎士隊長だった。
「サンダ人民国の奴隷商人達に襲われて、姫様達と私達は奴隷落ちさせられるところでした。この方々は、その奴隷商人達を討伐し、捕らえて下さったのです。
そして、姫様達と私達を救助してくださったのです!
それに、こちらにはガーランド王国のセシル王女もいらっしゃるのですよ!
お前達は、ガーランド王国と獣人国を揉めさすつもりか!」
一斉に騎士達が跪く。
「王太子様に報告を!
姫様達は無事城に帰ってきたとお伝えしてくれ!」
コリーの言葉に反応した騎士が王太子に報告に走る。
「この者達が恩人の皆様にとんだ失礼を……申し訳ごさいません。
この者達は、私の部下です。
どうか、私の顔にめんじて許していただければと考えております。」
コリーが真剣に詫びる。
それにセシル姫が答える。
「ふふふっ。コリーさんは〜近衛騎士隊長でしたか〜。姫様達の護衛をしていたと聞いて、それなりの地位の方だと〜思ってましたが。
私達は気にしておりませんよ〜姫様達が居なくなって殺気立たないほうが、国としてどうかと思いますので〜。そうですよね〜フミヤ様〜?」
(そうだな。セシル姫の言う通りだと思うよ。だから、コリーさん。そんな気にしなくて大丈夫だ。)
「そう言っていただけると気もおさまります。
さあ、それでは王太子様に謁見をお願いいたします。」
俺達は、コリーに謁見の場へ案内されるのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「……………成程。
サンダ人民国の奴隷商人か。
本当に危ないところだった。
ガーランド王国の王女一行には、感謝しかない。
最近、行方不明者が後を立たないのは、サンダ人民国の奴隷商人達の仕業か!
くっクソが!
コリーよ!お前の姉も、サンダ人民国の奴隷商人達に攫われたのかもしれんぞ!」
そう言葉を放ったのは、獣人国の王太子様だ。虎の獣人で中々筋骨隆々の武人と言った雰囲気の青年であった。
その王太子の横には、狐の獣人の王太子妃が助けた姫達を抱きしめながら、話を聞いていた。
コリーが王太子に答える。
「王太子様。それは、ないと思うのですが。
姉は、私と違い魔法に精通しております。
私は雷にやられ気を失いましたが、姉には雷に対して耐性があります。
姉ならその後魔法でその賊を皆殺しにすると思うのです。いつからか姉は、殺すということに躊躇いがなくなりましたから。
まるで人が変わったように。」
「そうか。そうであるな。
黒魔女ダビエラが、サンダ人民国の5剣神ならともかくとして、ただの奴隷商人ごときに遅れをとるとは考えられんな。」
(くっ黒魔女ダビエラ!?
コリーさんの姉?!)
思わず俺は、声をあげてしまった。
コリーが微笑みながら言う。
「ビックリされましたか?
私の姉が、英雄の黒魔女ダビエラと聞いて。
姉の名前は、ダビー・エラ。
正真正銘、私の姉です。」
俺達は、顔を見合わせる。
ララさんが口を開く。
「ビックリなのです!
コリーさんと性格が全く違うのです!
ダビエラは、凄く凶暴だったのです!
ララ達も殺されるかと思ったのです!」
コリーが申し訳なさそうに言う。
「皆さんは、もしかして何処かで姉と遭遇していましたか……
申し訳ありません。昔は、あんな凶暴ではなかったのです。
皆に慕われる良い魔法使いだったのですが…
いつからか、性格が変わってしまいました。
……いつ会われましたか?
あんな人でも姉は姉です。一ヶ月前以上になりますか、ひょっこりと獣人国に帰ってきたと思うとすぐに姿を消してしまって……」
俺達は顔を見合わせる。そして、皆が頷く。
俺が代表して答える。
(コリーさん。今から言うことは、サンダ人民国も大いに関わっていることだ。
だから、全て真実。落ち着いて聞いて欲しい。
結論から言う。
黒魔女ダビエラは、サンダ人民国の5剣神の一人チェンに殺されている。)
「えっ!どっどういうことなのですか!?」
コリーは、ビックリして声を上げる。
王太子様もビックリしていた。
(ガーランド王国が帝国と戦争をしたのは知っているな。
う〜ん。何から話をしたらいいかな。
その戦争のもっと前だ。
ダビエラが獣人国に戻る前に俺達は、エルフの森で黒魔女ダビエラと聖女カシエラと揉めている。その後は、戦争のキッカケにもなった勇者と怪僧とも揉めている。
エルフの森に火をつけたのが黒魔女ダビエラと聖女カシエラだ。
それを止める為に戦った。
結果、俺達が勝ち、その後ダビエラは獣人国へカシエラは聖教国に帰った。
そこからのダビエラの行動は俺達は知らない。俺達はその頃、勇者と怪僧と揉めていたからな。
その後、俺達は帝国との戦争て勇者と怪僧を倒した。
そして、聖教国の教皇がこの大聖女マリアンの娘リリィを聖教国へと招いた。
それは、罠だったんだ。
その教皇がサンダ人民国の5剣神の一人チェンだったんだ。
チェンは、海の神殿で邪神を作り出そうとしていた。聖女カシエラを傀儡として。
カシエラの足元にはチェンが殺した黒魔女ダビエラの死体があった。
チェンが俺達に言ったことを言う。
"勇者の血液を与え、能力をアップさせ、怪僧と黒魔女の血液を与え心を折った。"
カシエラを邪神の傀儡にする為の儀式に使ったと言っていた。)
「……なっなんてひっ酷いことを……!
そのチェンは、皆さんが倒されたのですか!」
(いや……リリィの血液を少量口にしたカシエラが堕天使になって、チェンを連れて飛び立ったんだ。
それを俺達は追って獣人国経由でサンダ人民国に行こうとしている。
ダビエラの死体は聖教国のミーナ大司教が管理している。
俺なら、俺のスキルなら聖教国に直ぐに連れて行くことができる。
コリーさん明日にでも聖教国に行くか?)
「……くっ!
お願いできますか!姉の亡骸を見るまでは……姉が死んだとは思えない…。」
(そうだな。)
王太子が口を開く。
「フミヤともうしたか。
フミヤは、勇者と怪僧を倒すくらいに強いのだな。
その5剣神のチェンは倒せそうなのか?!
5剣神は相当強いと聞く。
どうなのだ?!黒魔女ダビエラは、獣人国では英雄なのだ。
英雄を殺されたとなれば、我らも黙っておれん!」
(俺は、すでに5剣神の一人を倒している。
ガオシュンとかいう奴だ。
チェンも倒すつもりだ。)
「それは、頼もしい!
今回の件といい、黒魔女ダビエラの仇討ち。
何か褒賞を与えねばならんな。」
(それなら、王太子様。お願いがあります。
失われた大地にいる地の精霊ノーム様はご存知か?)
「当たり前だ。知っている。お会いしたことはないがな。あのような場所には行けぬからな。」
(俺達は、行って会ってきた。
それで、ノーム様からの頼みだ。
あの場所に神殿を作って欲しい。
それがノーム様の望みだ。管理する人も置いて欲しいそうだ。)
「ほう。神殿か。作るのは良い。しかし、あそこには、グリフォンが居て神殿を作る間にこちらが襲われる危険性がある。」
(それについては、大丈夫だ。あそこにいるグリフォン達は、襲わない。
そう調教済みだ。
嘘だと思うなら王都の門番をしている衛兵に聞けばいい。
俺達はグリフォンに乗って戻ってきたのだから。)
「なっなんと!そうなのか!」
(それと、これを王太子様に渡しておく。
ノーム様から預かったものだ。
神殿を建ててくれるならこれを渡すとのことだ。)
リリィがアイテムボックスからオリハルコンの鉱石を一つ出す。
「こっこれは!おっオリハルコンではないのか!こっこれをノーム様が!」
(そうだ。神殿を頼んだよ。
それと、王太子様。今回の奴隷商人の件獣人の中に手引きした者がいる。
だいたいわかっているのだろう?
サンダ人民国と繋がっている者。
お家騒動だから、これ以上は俺達は言わない。
重々用心してくれ。
それと、獣王ガネーシャの容態をリリィが見るそうだ。
リリィは、"大聖女の癒し"を使える。)
「第二王子のことだな。
アイツは小物で臆病な奴だ。
心配はいらない。賊を取り調べて逃げ道を無くしてやる。
……そんなことより!獣王の病を治せるのか!
是非お願いしたい!」
リリィが焦ったように言う。
「まっ待ってください!治せるか見て見ないことにはなんともいえませんよ!」
「おお!そうだな!少し気をせいたようだ。
案内しよう!是非見てくれ!」
王太子は、そう言って獣王の元へと案内するのだった。
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「アル!僕たちまた出番無かったよ!」
「もしや!作者私達のことを忘れているのではないですか?!」
「積極的に喋るのです!黙っていたらだめなのです!ララは、積極的に喋るので大丈夫なのです!」
「「なっ成程!」」
応援ありがとうございます!
諸事情で投稿できておりませんでした。
申し訳ございません!
これからも頑張って投稿しますので、よろしくお願いします!
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よろしくお願いします!
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