第61話 ネガティブ
「ふふふっはははっ!」
【えへ、えへへへへへ!】
「まあ、こんな感じなのです!
笑顔で暮らす!これが大事なのです!」
ララさんの笑顔の訓練が終了したようだ。
ノーム様が手を振る。
すると壁面に明かりが灯る。
凄く明るくなった。
明るくなってよく見て見ると、この底とても綺麗に削り出されていた。
削り出されていたというよりも、鉱石を綺麗に張り合わせたような立派な床だった。
(床がとても綺麗だな。
これ、何かの鉱石なのかな?ノーム様?)
【ギクッ!やっぱりグリフォンは、なっ慣れないです。
床は、オリハルコンを加工して、張り合わせています。ドキドキ。グリフォン、襲わないですか?】
「この床!オリハルコンなのです?!
すっごい贅沢な床なのです!」
【オリハルコンは、私が作ってる。
だから、欲しいならあげる。】
(ノーム様がオリハルコンを作ってる?
鉱石って作れるもんなのか?)
【あのう、これでも地の精霊なのです。
さっきまで泣いていたから、馬鹿にされているのかしら。
地の精霊だから、鉱石を作り出すなんて簡単な作業です。】
(そうなんだな!
じゃあ、オリハルコン貰える?
代わりにノーム様に良い話をしてあげるけど。)
【良い話ですか?グリフォンが?
いやいや、貴方は本当はグリフォンではないのですね。どちらかと言えば私と同じような存在。
……オリハルコンあげます。
良い話を聞かせてください。】
そう言うと、ノーム様は手のひらを上に翳した。
すると大穴の壁面からオリハルコンの鉱石が次々と突き出してくる。
そして、床に落ちていく。
キィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン
と床と鉱石がぶつかる音が響き渡る。
一瞬で俺の背丈くらいのオリハルコンの鉱石が床に転がる。それが10個もあった。
(こんなにくれるのか?)
【元々私に会いにくる者に与えるのは、スキルではありません。
鉱石を与えるのです。
オリハルコンは、簡単にはあげませんけど。
冒険者の実力を見て、与える鉱石を決めます。
ほとんどが鉄鉱石でしょうけど。
貴方達が初めて会いに来た者達。
この大穴の底までこれたことは、オリハルコンを与えるのになんの問題もないでしょう。
なので、これは先程の取引とは別。
貴方達が無償で手にすべき物です。
売って莫大な富を得るなりしてくれて良いです。
これくらいの量ならば、価値を下げることにはならないですから。
先程の取引は、話を聞いてから。
本当良い話ならば、貴方達の今の武器、防具をオリハルコンに変化させましょう。
どうですか?】
(えっ!変化?そんなことできるのか?!)
【だからぁ!地の精霊だと言ってるのに………シクシクシクシク。】
(あっ!なんかごめん。)
ララが口を挟む。
「また泣くのです!笑顔!笑顔を忘れたらダメなのです!」
【………そっそうでした。えへっえへへへへ。
それで、良い話を聞かせてください。】
ノーム様には、ララさんの言葉が効くようだな。
そう思いながら、ノーム様に良い話を聞かせるのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【……成程。
ウンディーネのように神殿を人に作ってもらうですか……神殿なら、グリフォンは入ってこないと。それに、神殿だと人が管理してくれるから、寂しくないと。
しかし、ウンディーネは水の精霊。
私と崇められるレベルが違います。
私に神殿を作ってくれるでしょうか?】
「ノーム様!また、ネガティブなのです!
大丈夫なのです!地の精霊ノーム様も崇められているのです!」
【すっすみません。…】
(自信ないなら、自分で作るか?これだけの床が作れるんだし。)
【むっ無理です!大地に触れている部分は強引にこのように作れますが、他は無理です。
………すみません。情けない精霊で。
シクシクシクシク。】
「また泣いてるですか!もう!もっと堂々とするのです!」
(まあまあ、ララさん。
姫!獣人国の王と謁見できるか?)
「獣王ガネーシャ様に謁見ですか〜?
……まあ〜ガーランド王国と敵対はしてないので可能だと〜思いますが〜どうするのですか?」
(獣王に神殿を建てるようにお願いするんだ。ノーム様が困っていると。
手土産として獣王にこのオリハルコンの鉱石を1個渡せば、必ず作ってくれるだろう?!)
「確かに〜これ一個で途轍もない価値ですわ〜良いかもしれませんね。
獣王も欲しいと思います。」
(決まりだな。)
ここでウルが口を挟む。
「フミヤ様。僕思うんだけど、獣人に神殿を建てて貰うのは良いけど、建ててる時にグリフォンが襲うんじゃない?
普通の人達はグリフォンに勝てないよ。」
(そうだな。取り敢えずこのグリフォンに後でしっかり"覇気"で言い聞かすか。
どうせ、コイツ憑依解いたら俺達に襲いかかってくるだろうし。
しっかり調教しとこう!)
「後は、ノーム様!貴方次第なのです!
ウジウジをやめて、明るく人と接するのです!そしたら、必ず崇めてくれるのです!
自信を持つのです!」
【はっはい!】
(じゃあ、話が獣王とついたら、又くるよ。
その時武器と防具を頼む!
じゃあ、皆んな俺に乗って。
早速獣王の元に行こう!
リリィ!オリハルコン入れてくれた?)
「はい!バッチリです!」
俺達は、失われた大地から飛び立ったのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
その後、地上に戻った俺達は、俺の"覇気"によって、グリフォン雄の調教を済ませた。ついでに雌達も調教を終わらせた。
調教は上手くいったと思う。
だって、その後獣人国の王都までグリフォンに乗って戻ったのだから。グリフォン六匹が隊列を組んで飛ぶ姿は、壮観だったはずだ。
驚いたのは獣人達だろう。グリフォンが一瞬攻めてきたと思っただろうな。
衛兵が真っ青な顔をしていた。
俺達は、そのまま王城に向かおうとした時、例の奴が俺達の前に立つ。
マルスだ。
「待っていたったい!
話を聞いてほしいけん!
頼むったい!
もう変に絡むのはせんと!
話を聞いてくれったい!」
土下座して頼むマルス。
(聞くだけ聞いてやる。
言ってみろ。)
「俺達も一緒に連れていって欲しいと!
ララ様には、もう絡まんったい!
頼むったい!」
(却下!)
皆も頷く。
「待ってったい!
見捨てないで欲しいと!
もう、集落には8人しかおらんと。
それも、ジジババだけったい!
若いもんは、皆集落捨てて出て行ったと。
俺がララ様にしつこくしたのは、ララ様と結婚できたらエルフの森に行けると思ったからったい!
俺は、弱いけん!ジジババ連れて、エルフの森まで行くのは無理やけん!
頼むったい!
せっせめてジジババだけでも、エルフの森の集落に連れていって欲しいったい!
ジジババ達にひもじい思いをもう、させたくないけん!頼むったい!」
必死に頭を下げるマルス。
額を地面につけて頭を下げるので血が滲んでいた。
ララは俺を見る。
俺は、頷いてマルスに言う。
(なんか、話が急に展開して訳がわからん。
最初から、今の話をなんでしなかった?
なんでウザ絡みしたんだ?)
マルスは、頭を地面に付けたまま言う。
「俺が、ララ様を好いとうのは嘘ではなか。
でも、立場が違うということもわかっとるけん。
だから、なんや、変にイキってもうたけん。
今反省しとるけん。
ララ様に怒られて、めっちゃ反省しとるけん。だから、頼むったい!
ジジババが、もう限界ったい。」
俺は、皆を見て言う。
(獣王に会う前に、詳しく話を聞くか。
コイツが言うジジババが限界っていうのが気になるしな。
ララさんの同胞が何かしらピンチなら、ほっとけないだろ?
コイツは、知らんけど。)
「フミヤ様!ありがとうなのです!
ララからも皆んなにお願いするのです!
少し小人族に時間を貰いたいのです!」
すると、リリィが言う。
「正直この人の言うことは、信じられないですが、本当にジジババさん達が大変な状況なら、助けないと。
だから、ララさん!私達に頭は、下げないで下さい。
仲間なんですから。ねえ、姫、アルさん、ウルさん。」
「そうですね〜。ララ先生〜
私達は、仲間〜。
ララ先生の同胞が大変なら助けます〜。
だって〜そうじゃないですか〜
エルフの森の小人族は帝国との戦争の時、共に戦ってくれたのですから〜。
小人族は〜仲間ですわ〜」
ウルとアルも頷く。
俺達は、マルスの話を聞くことにしたのだった。
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