第59話 迷惑②

「離せっていっとるけん!

俺は悪くないと!

あいつらが俺の飲食代を払えば良いったい!

あそこの小人族は、俺の女ったい!」


「向こうは知らないと言ってる!

無銭飲食なのか!

衛兵に突き出すぞ!」


なんかマルスが大暴れしているな。

あくまで、ララさんを自分の恋人だと言ってるようだ。


なんか面倒になってきたので、俺は金貨を出してマルスの所に行こうとした。

すると、ララさんが俺を止めて自らマルスの元に歩いて行く。


「ララさん!………

姫、ララさんが近づいたらマルスに電撃が走るんじゃないのか?」


「ララさんにマルスから近づくと電撃が走りますが〜ララさんから近づく分には大丈夫なはずです〜」


俺達は、ララさんの行動を見守ることにした。


ララは、取り押さえられているマルスの前に立ち、自らの財布から金貨を数枚取り出す。

そして、テーブルにそれを置く。


「店の従業員の方々、そしてお客様達。

同胞が大変ご迷惑をおかけいたしましたのです。

私はガーランド王国エルフの森小人族集落のララ・レイなのです。

一応小人族を束ねる一族の娘なのです。

こちら、ご迷惑を掛けたお詫びなのです。

その男の飲食代を差し引いた残りは、お店とお客様達で好きにしてくださいなのです。

私は、ガーランド王国王女殿下の旅に同行しているのです。

王女殿下に迷惑を掛ける訳にいかないのです!

どうかこれで、ご勘弁願いたいのです。

それと、マルス!

"いい加減になさい!貴方の行動で、小人族の品が問われるのです!

貴方がいくら言い寄ってきても、答えはNOなのです!

ララは、心に決めた殿方がいるのです!

貴方なんか足元にも及ばないくらい、強いお方なのです!身の程を知りなさい!"

皆様、大変ご迷惑をお掛けいたしましたのです。どうかお許しを。」


ララは、姿勢を正して最後にしっかりと頭を下げた。

そして、こちらに戻ってきたのだった。


向こうでは、マルスが解放され、店の従業員が取り押さえに協力した客に酒代をタダにするという話をしていた。


帰ってきたララは、リリィが捕まえて何やらコソコソと話をしていた。


「ララさん、マトモなお話できるんだね。

僕、思わず感心したよ。」


「なんか、小人族の姫ってオーラが出ていましたね。」


「アル〜ウル〜何言ってるのですか〜。

ララ先生は〜いつでも真面目ですよ〜

いつもキラキラオーラ満開ですわ〜」


俺は、それを聞きながらマルスを見る。

マルスは席に座り、明らか落ち込んでいるようだった。

まあ、小人族の品を問われるとまで言われたら流石の馬鹿も落ち込むか。


俺達はその後店を後にし、宿屋に入ったのだった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


翌日、俺達は王都を出て冒険者ギルドで聞いたルートで失われた大地を目指す。


俺達から距離を取り、相変わらずマルスが付いてきていた。


(ララさん、アイツついて来てるけど大丈夫か?ここからは、魔物も出るけど。)


「フミヤ様、魔物にもよるのです!

グリフォンは食べられてしまうと思うのです。」


(じゃあ、一応アイツも視界に入れとくか。

仕方ない。)


「ごめんなさいなのです。フミヤ様。」


(ララさんが悪いわけではないから、気にすんなよ。)


俺達は、森に入る。


青臭い匂いが鼻をくすぐる。

すると、すぐに魔物が襲ってくる。


「グレートビッグボアだよ!皆んな、僕の後ろに!」


アル、姫、ララ、リリィがウルの後ろにつく。


グレートビッグボアがウルの盾目掛けて突進してくる。


5メートルクラスの簡単に言えば猪だ。


ウルは、剛力を発動したのか、その突進を押し返す。

オールアダマンタイト製のウルの盾は、グレートビッグボアの突進を受けても傷一つ付かない。


グレートビッグボアの顔が天を向いた瞬間、アルが前に踊り出て、こちらもオールアダマンタイト製のアルの剣がグレートビッグボアの首を斬り落とす。


鮮やかなキレ味を見せるアルの剣。


これには、アルもウルも笑顔が弾ける。


「フミヤ様!このアルの剣!凄いキレ味ですわ!ありがとうございます!」


「アル!その前に、僕のウルの盾だよ!

見てよ!フミヤ様!あのグレートビッグボアの突進を受けても傷ひとつないんだよ!

最高の盾だよ!フミヤ様!ありがとうございます!」


(喜んでくれて嬉しいけど、二人とも"剛力"も良い仕事したんじゃないのか?)


「そうだ!"剛力"凄いよ!

僕、ちょっと力入れただけだよ!

それなのに押し返しちゃったよ。」


「私もですわ!

首の骨をなんなく斬り落とすことができましたわ!剣のキレ味だけじゃありませんわ!」


二人は興奮状態だ。

それもそうだろう。グレートビッグボアは、ボアの最上種。ランクで言えばAランクの魔物なのだ。

Aランクの魔物を屠ることができた証明なのだ。そりゃ、テンションも上がるだろう!


違う意味で興奮しているのが、リリィとララ。


「これ!しっかり血抜きするのです!

グレートビッグボアなのです!

高級肉なのです!」


「これ!美味しいやつですよ!

うわぁ!凄い凄い!」


足にロープを巻いて木に掛けて"剛力で引き上げる。


血抜きを10分ほどするのだ。


辺りに血の匂いが広がる。


すると集まってくるのが魔物。


レッドキラースネイクが現れるが俺が魔剣ブラックローズで、すぐに首チョンパ。


これは、血抜きせずにアイテムボックスに。


すると、後方で悲鳴が。


見るとマルスがグリフォンに襲われている。


今まさに、マルスがグリフォンの足の爪で掴まれている。

そして、グリフォンは飛びたとうとしていた。


俺は、"疾駆""剛力""魔法剣"を発動。

そして、"雷属性魔法極LV1サンダーレイン"を付与。


一瞬で駆け抜けてグリフォンを斬る。


グリフォンが倒れる。しかし、次のグリフォンがマルスを掴んで飛ぶ。


それを見た俺は"跳躍"を発動して、グリフォン目掛けてジャンプ。


足を斬り落とす。


それにより、マルスが地に落ちる。


そして、空中でグリフォンの首を斬り落とす。


俺は地に着地し、マルスに言う。


(おい!お前、森を舐めてんのか?!

丸腰で森の中に来てんじゃねえよ!

それに、ここは魔物のランクも高い!

すぐに森から出ていけ!

次は助けないからな!)


そう言いながらグリフォンをアイテムボックスに入れていく。


「ちょっ!待って!待ってったい!

お前!ララのなん?!

ララの言う強いお方というのん、お前と違うん?

どうなん?」


(おい!その前に、ララじゃないだろう!

ララ様だろう!

お前どこの、王族だ?

呼び捨てにできるのは、そういうことだろう?

そうじゃないなら、ララ様!だろうが!

ララさんは、俺のパーティメンバーだ!

これでいいか!今すぐ帰れ!

ハッキリ言って邪魔だ!)


「うぐぐぐぐ。

ララはララやけん。

俺の嫁になる女ったい!」


俺は"覇気"を発動。


【うるさい!黙れ!

口を開くな!

昨日、NOを突きつけられただろうが!

諦めろ!

これ以上付き纏うなら斬るぞ!

昨日、お前の為にララさんは、下げなくていい頭を下げたんだ!小人族の名誉の為に!

それが、理解できんのか!

どれだけ、お前一人で小人族の名誉を傷付ける!もう!どうでも良いから、森から出て行け!】


マルスは、覇気の言葉の威力で口を噤んだ。


俺は、皆の元に戻って血抜きの済んだグレートビッグボアをアイテムボックスに入れる。


すると、ララがマルスに言う。


「そこの貴方。

付いてくるのは、勝手なのです。

しかし、確実に魔物の餌になるだけなのです。

貴方は弱い。帰るのです!」


すると、マルスが言う。


「俺が弱いっちゅうなら、ララも弱いと!

周りが強いだけったい!」


その瞬間ララが、"剛力"魔素纏い"を発動。


一瞬でマルスの近くの太い木にパンチを打ち込む。


すると、太い木が爆ぜた。


唖然とするマルス。口を大きくポカンと開けて動かない。


ララがマルスに言う。


「誰が、弱いって?

ララは、拳聖なのです!

それに、フミヤ様のスキルが乗って更に強くなったのです!

マルス!貴方もあの木のように爆ぜたいのですか!」


そう言うとララは、マルスに冷たい目で睨み。俺達の所に戻ってくる。

俺達は、マルスをそこに置いて、先を急ぐのだった。


マルスは、その後15分ほど身動きが出来なかった。ララの木が爆ぜたパンチを見て腰を抜かしていたのだった。

マルスは、その後這うように森の外へ出たのだった。


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