第56話 水の精霊ウンディーネ
リリィによって浄化された海の神殿は、先程の邪悪な雰囲気から神聖な雰囲気に変わったのだった。
【うん。いいわね。
この大聖女、なかなかの腕ね。
マリアンよりも神聖力が強いわ。
あと、屋根の補修も頼むわね!】
これには、ミーナ大司教が答える。
「お姿は見えませんが、屋根の補修のほうはお任せください。
三、四日で補修いたしますので。」
【頼むわね。
本当!長い間、野宿させられるなんて!
なんなのよ!
全く!プンプン!】
精霊ウンディーネは激おこモードのようだ。
(それだけ怒るなら、精霊ウンディーネ様がやっつけたら良かったんじゃないのか?
精霊イシス様は、聖女カシエラと黒魔女ダビエラのスキルを封印して、拘束してたよ。)
【イシスと一緒にしないで!
あの子は、キレたら厄介なのよ。
私は、我慢するタイプなの!】
(我慢するタイプ?
我慢してないじゃないか!
リリィに浄化させたり、俺に死体を運ばせたり、屋根の補修を命令したり。)
【そんなの仕方ないじゃない!
浄化は、大聖女しかできないし、
死体運びとか屋根の補修とか、女の子の私に貴方は、やれと言うの?!
無理言わないでよ!
女の子なのに!シクシク。】
(嘘泣きだ。
まあ、良いよ。それでスキルを与えて欲しいんだが。)
【カッカから念話が来てたから、待ってたけど遅かったわね!
早ければあんな邪悪な気にこの神殿が包まれることもなかったのに!
プンプン!】
(それは、悪かったよ。
でも、色々俺達も大変だったんだ。
戦争もあったしな。
もう、機嫌直してスキルを与えてくれよ。
ずっと激おこモードだな。)
【激おこモード?
私は、いつもこんな感じよ!
失礼しちゃうわ!プンプン!
まあ、いいわ。
スキルね。言っておくけど、私が与えれるスキルは貴方に一つだけよ。
貴方にスキルを与えて、貴方から仲間に分けるのよ。わかったなら、返事する!プンプン。】
(俺から分ける?ちょっと、わからないんだけど。)
【取り敢えず、貴方にスキルを与えれば、私の言ってることがわかるわよ!
もう!貴方面倒ね!プンプン!】
(……はい。すみません。それじゃあ、お願いします。)
精霊ウンディーネが手を俺の頭上に翳す。
ウンディーネの手から水の滴が俺の頭に落ちる。
【分与】というスキルが俺の身体に入り込んできた。
特級スキルだ。
【これでわかったでしょ!
貴方は、沢山スキルを持ってるでしょ!
仲間に【分与】で分け与えるのよ。
分けるというか、共有するみたいな感じになるってことよ。(全てのスキルが?)
【もう!説明中に遮らないでよ!プンプン!
もう説明しないわよ!プンプン!】
(あっ!ごめん!)
【全てのスキルな訳ないでしょ!
普通スキルなら三つ!
特級なら一つよ!
厳選して仲間に分け与えることができるのよ!
まあ、貴方にわかりやすい例を言うとね、
そこのエルフの女の子。盾士の割にパワーがないよね。
その子が、貴方のスキル"剛力"を使えるようになれば、とても良いと思わない?
思うでしょ!どうなのよ?!】
(それは、願ったり叶ったりだよ!)
【そうでしょ!
だから、貴方がこれからどれだけスキルを得ていくのか知らないけど、貴方のスキルが増えれば増えるほど、貴方の仲間のスキルの選択肢も増えて強くなるってわけ!
何回でも【分与】を使って書き換えできるから、色々試したら良いわ。
どうなのよ!凄いでしょ!凄いと言いなさいよ!】
(本気で凄い!)
【……………良いわね。
貴方、なかなか良いわね!
ふふふっ。
……
じゃあ、もうこれでいいわね!
私は、少し眠るから!帰って頂戴!
………まあ、又いつでも来て良いわよ。
お話するのも悪くないわ。
じゃあね!】
最後、精霊ウンディーネ様、デレたな。
ツンデレの精霊ウンディーネ様か。
そう思いながら、俺達は海の神殿を後にしたのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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スキル一覧
憑依LV2 呪殺LV1
吸収LV2
刺突LV2
剛力LV2
瞬歩LV1
跳躍LV1
認識阻害
鑑定阻害
アイテムボックス
受肉
空間転移
魔法障壁
隠密
覇気LV2
魔素纏い
岩ブレス
記憶操作
魔眼
王剣LV1
槍技LV1
斧技LV1
斬撃LV1
射撃LV1
魔法剣
疾駆LV1
鉄壁LV2
鼓舞LV1
聖属性魔法LV1(ヒール)
雷属性魔法LV1 (サンダーボール)
風属性魔法LV1 (ウインドカッター)
闇属性魔法LV1 (デス)
地属性魔法LV1 (ロックウォール)
火族性魔法LV1 (ファイアボール)
火属性魔法極LV1 (業火)
水属性魔法極LV1 (ウォーターネット)
雷属性魔法極LV1 (稲妻レイン)
闇属性魔法極LV1 (メテオレイン)
【影使い】 【疾風迅雷】
【憤怒】 【電光石火】
【大地の怒り】【活火激発】
【分与】
ーーーーーーーーーーーーーーーー
(これが俺の所有スキルだよ。)
俺達はその後、聖教国教会本部の一室で休んでいた。
そこで、精霊ウンディーネ様に貰った【分与】で仲間にスキルを分け与えるため、皆んなに俺の所有スキルを説明していた。
「改めて聞くと、フミヤ様沢山持ってますね!使ってないスキルも沢山!
アイテムボックスと聖属性魔法は、私のスキル!」
「魔眼と火属性魔法〜射撃は〜
私のスキルですわ〜。」
(そうだな。憑依したときにコピーしたな。)
「これだけあったら、強いのも納得なのです!フミヤ様まだまだスキルいるのです?!」
(ララさん!スキルはいくらでもあったほうが良いだろ?
まだまだ強敵がいるかもしれないしな。
あのカシエラが邪神になったら?
必要だろ?!)
「確かにそうなのです!
邪神、邪悪な神なのです!
うううう!強そうなのです!」
「僕、一個は確実に決まってる。"剛力"は僕には必要!後二つ!悩む〜!」
「これだけあれば悩みますね。
力が必要なのは盾士のウルだけじゃないですわ。皆、力は強いほうがいいですわ。」
ララが言う。
「ララは"隠密"が気になるのです!
気になる?いえ、隠密欲しいのです!
姫も隠密が良いのです!」
(ララさん!何に使う気?
またセシル姫と恋愛マスターララ先生する気だろ!)
「ばっバレたのです!」
皆が笑う。
(ララさんには、"魔素纏い"がオススメかな。
普通の剣くらいなら、防ぐことができるからな。"剛力"でのララさんのパンチはエグいことになりそうだし。
魔法を防ぐ為の魔法障壁もよいかもな。)
「なるほどなのです!
"憑依"は【分与】できないのです?」
(さっき、試しに【分与】を発動したけど、"憑依"は無理みたいだ。
これは、俺だけの特性みたいだな。)
「残念なのです!」
「フミヤ様、私だと何がいいですかね?
教皇との戦いで、力が必要だと言うことは
わかっているんですけど!」
(リリィは、"剛力"と、攻撃力を上げるなら"魔法剣"とそれに付与する魔法。
防御を上げるなら、"魔素纏い""魔法障壁"かな。)
「剛力で攻撃力はかなりあがりますよね。
私の聖剣技と剣速も使えば結構強くなると思うんですよ。
そうなると、やはり防御。
"魔素纏い""魔法障壁"になりますね。
ララさんと一緒ですわ。」
「僕、思ったんだけど僕もアルも姫も、結局、"剛力""魔素纏い"'"魔法障壁"になるなって。
フミヤ様も、この三つは常時使ってるってことは、使い勝手がとてもいいんでしょ?」
(そうだな。"剛力"で純粋に攻撃力は充分だ。
防御も"魔素纏い""魔法障壁"で大概が防げるしな。
まあ、勇者クラスになると他の手数が必要になるけどな。)
結局、リリィ、ララ、アル、ウル、姫は【分与】で、"剛力""魔素纏い""魔法障壁"を選択することになった。
ちなみにララさんが、"魔素纏い""剛力"を発動してパンチを試し打ちしたのだが………
教会本部の壁をぶち抜いてしまい、ミーナ大司教に大目玉を食らったのは笑い話。
俺達は、その後話し合い教皇と堕天使カシエラをサンダ人民国に追いかけるのは当然だが、その道中の獣人国で、地の精霊に会って行こうという話になった。
聖教国は、ミーナ大司教を中心に大改革が始まろうとしている。
実質、教会トップとなったミーナ大司教。
種族に拘らない平等な聖地を作ろうと動き出していた。
ミーナ大司教は、リリィに自由に生きて下さいと優しく微笑んでいた。
これにより、長年教会に縛り付けられていたリリィは、晴れて冒険者リリィとして自由に生きることが確約されたのだった。
ミーナ大司教は、俺に言葉を残した。
「"いつか、魔王ゾルド様に謁見する場合は、魔族領の最も東にある鬼人族の集落を訪ねてください。
リリアン様も今は会う気がなくとも、いつか父親に会う気になるかも知れませんから。
よろしくお願いしますね。"」
ミーナ大司教のリリィへの配慮を感じる言葉だった。
俺は、深くミーナ大司教に頭を下げるのだった。
ー 第五章 完 ー
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応援ありがとうございます!
第五章はこれで完となります。
次は獣人国編となります。
これからもどうぞよろしくお願いします。
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