第54話 繋がる話

リリィは、セシル姫を心配しながらも教皇に抵抗せずに歩みを止めなかった。

ここで抵抗すると、セシル姫が危険に晒されると考えたのだ。


神殿の中に足を踏み入れたリリィと教皇。

リリィは、肌に刺さるような邪悪な気に吐き気を催すほど不快な気分に陥る。


「あっ貴方はなんて物を……

なんて物を生み出そうとしてるのですか!?

決してこっこれは、人が手を出してはいけない物です!

こっこんな物!あっ貴方にコントロール出来るのですか!」


「フフフッハッハッハッ!

ご心配は無用ですね。

この為に邪神様になる傀儡も厳選したのだ!

もう、調教済みなのだよ。

フフフッハッハッハッ!」


「あっ貴方のその目!

その目が私は、大嫌いだった!

まるで、蛇!

体に巻きつき獲物を逃がさないような!」


「ほう!

リリアン。貴方はなかなか鋭いですね。

我らサンダ人民国の者達は、生まれた時にサンダ人民国が崇める複数の邪神に身を捧げるのです。

私が身を捧げたのは8本首の大蛇。

私は、大蛇様からスキルを得たのですよ。

邪神様の傀儡もそのスキルでコントロールしているのですよ。フフフッハッハッハッ!

さあ、傀儡の間に行きましょうか。

傀儡を邪神様にする為に。」


リリィを抱き抱える手に力を入れ、教皇は進んで行く。


突き当たりにとても大きな扉が現れる。


その扉に教皇は、例の指輪を翳す。

"ごぉぉぉぉぉぉぉぉぉ"

低く鈍い音が神殿中に響き渡る。


扉が開き部屋の中が露わになる。


部屋の中心に、女性が虚な瞳で立っていた。


その女性が立つ床には、とても奇怪なマークが描かれていた。

8本首の蛇の絵が。


そしてその女性の前には、あのガーランド王国とルシア帝国の戦争で死んだ"勇者シルバ"

"怪僧ゲル"の亡骸があった。


そして、更にその横には獣人国に帰ったはずの黒魔女ダビエラの亡骸があった。


「どっどういうことなの?!

何故?勇者と怪僧の亡骸がここにあるのよ!」


「フフフッハッハッハッ!

それは、お前達が勇者シルバと怪僧ゲルの死体を回収しなかったからだろう。

私はあの場に居たのだよ。

お前達の戦いを見ていたのだ。

フフフッハッハッハッ!

そこで、全てを手に入れるつもりだったのだがな。

あの男が余りにも強すぎた。

だから、お前は少し泳がせることにしたのだ。

いやぁ、なかなか楽しい余興でしたよ。

芝居をするのも中々楽しい時間でした。

しかし、貴方とあの男の警戒心は、とても面倒でしたね。

貴方達の警戒を解くのに、あの枢機卿まで駒にしなくてはいけませんでした。

まあ、あの枢機卿も全てが終われば死んで貰う予定でしたし、それが少し早くなっただけ。

なんの被害もありませんね。」


「………あっ貴方の計画は、カシエラを聖女認定した時から始まっていたのですね!

今、虚な目で立っている聖女カシエラを傀儡として使う為に!」


「フフフッハッハッハッ!

何を言うか。

私の計画は、貴方が産まれる前から始まっている。

マリアンと魔族の王ゾルドを引き合わせたのも私だ。

何故なら、最後のピースに大聖女と魔族の王の混ざり合った血液が必要だったからな。

フフフッハッハッハッ!

リリアン!お前は、私が作り出したと言っても過言ではないんだよ。

枢機卿は、穢れた血といっていたが、私はそれを聞く度に枢機卿を叱りつけたものだ。

私が作り上げた究極の血液なのだからな!

フフフッハッハッハッ!

この勇者パーティも、最初から邪に染めていったのだ。

いやぁ〜それはそれは、根気のいる作業でしたよ。

貴方をリースの町の教会から私の手元に持ってくるのも、計画を練りましたよ。

貴方は、昔から私に警戒心がありましたからね。

リースの教会に放り出す指示をして、奴隷商の男に拾わせる。

ガーランド王国のスナイデル侯爵経由で私の元に来る予定でしたが、フフフッ。

なかなか上手くいかないものです。

侯爵に渡るまでに、行方不明になるのですから。

まさか、姿を変えていたとは思いませんでしたよ。

そして、あの男を仲間にしているなんてね。

まあ、良いですよ。

今となれば全てが良い余興でした。

フフフッハッハッハッ!

愉快愉快!上手くいかないのも、これはこれで楽しいものです。

結果、私の望み通りになるのですからね。」


そう言うと教皇は、リリィを投げ飛ばす。

その際、剣を首に薄く滑らせる。


剣に滴るリリィの血液。


リリィは、首を押さえながら立ち上がる。


「おっと、勿体ない!

私の作った究極の血液が!

一滴たりとも無駄にしたくありませんね。」


そう教皇は言うと、剣から滴るリリィの血液を虚な目で立っているカシエラの口に持っていく。


カシエラは、虚な目のまま口を開ける。


カシエラの口の中に剣から滴るリリィの血液が入っていく。


すぐにその効果が現れるのだった。


カシエラの体から光が溢れだし、それと同時に邪悪な気も一緒に溢れ出す。

カシエラの背中がモコモコ動きだし、服を突き破り黒い翼が現れたのだった。


「ほう!あの量でここまでの力を!

すっ素晴らしい!

素晴らしいですよ!

リリアン!

やはり、貴方は私の作り出した最高の血液ですよ!

フフフッハッハッハッ!

勇者の血液を与え、能力をアップさせ、怪僧と黒魔女の血液を与え心を折った。

そして、貴方の血液で邪神へとカシエラは生まれ変わるのです!

私が邪神をコントロールするマスターなのです!

フフフッハッハッハッ!」


恍惚の表情で高笑いする教皇。


リリィは、ヒールで傷を癒す。

そして、聖剣ホワイトローズを抜く。

そして、"聖剣技"を発動する。


「フフフッハッハッハッ!

リリアン!貴方ごときに遅れをとると思っているのですか?

私は、サンダ人民国5剣神の長、チェンですよ。

フフフッ。まあ、良いでしょう。

どうせ、貴方には死んでもらうのです。

これも余興の一つと考えましょう。

お相手してさしあげましょう。

精一杯頑張りなさい。

貴方を切り刻んであげましょう。

左腕、右腕、右足、左足。

順番に切り落としましょうか。

最後に首を刎ねて、カシエラの贄となるのです!さあ!来なさい!」


リリィは、聖剣ホワイトローズを構える。

心の中で、救いを求める。

(……フミヤ様……早く。

早く助けにきて……ふっフミヤ様!

助けてください!)


リリィは、剣を振り上げ教皇に聖剣ホワイトローズを振り下ろすのだった。


★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★


応援ありがとうございます!

リリィの敵の親玉が計画を露わにしましたね。

大詰め???

いえいえ、まだ序盤ですよ。

ヒロインは、まだ後四人いるのですから。

なので、これからも続きますので、是非フォローをよろしくお願いします!

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