第52話 不敬

リリィやパーティメンバーに襲いかかる聖騎士達。

俺は、"水属性魔法極LV1ウォーターネット"を

発動する。


枢機卿側の聖騎士達の頭上から水の網が落ちる。

そして、聖騎士達は一瞬にして一網打尽となったのだった。


(枢機卿!お前の駒は、もう終わりか?

お前から仕掛けたことだ。

ガーランド王国セシル王女に対して聖騎士を向けたんだ!不敬罪でお前らをぶっ潰す。

皆んな!殺さない程度にやれ!)


真っ先に動いたのはララ。


枢機卿を守るように周りを固めていた祭服を着た神官達を殴り倒していく。

そして、アルとウルも続く。


「クッソがぁ!」


枢機卿が叫び何かスキルを発動しようとした。


俺は、"逃げる"と判断し【影使い】を周りの明かりで影ができているのを確認し発動した。


すると瞬間、枢機卿が消えたのだ。


「クソの枢機卿が消えたのです!

どうなってるです?!」


ララが神官達を殴り終えて驚愕の声を上げる。


(ララさん、アル、ウル殴り倒した神官達を一箇所に集めてくれ。拘束する。)


俺は"水属性魔法極LV1ウォーターネット"を集められた神官に発動した。


水の網で一網打尽にされた神官達。

何やらヤイヤイ言っている。

少しうるさいので、水の網に"雷属性魔法LV1サンダーボールを1個投げる。

サンダーボールが水の網に当たり弾ける。

その瞬間、神官達が体をブルブルと振動させた。

水はよく電気が通る。

感電したのだ。静かになったなと思ったが、仲間達が騒ぎだす。


「フミヤ様!僕、ここで枢機卿を逃してしまうのはダメだと思うんだ!

姫に聖騎士を向けたんだよ!」


「ウルの言う通りです!

死刑に値する行為です!

絶対許せませんわ!」


「何落ち着いているのです!

フミヤ様!探すのです!」


「フミヤ様?

その落ち着きようは、何か手を打ってます?」


(大丈夫だよ。すぐ捕まえてくるから。

あいつが何かスキルを発動しそうだったから、逃げるなと思ったんだ。

だから、逃げてもいいように【影使い】を発動済みだよ。

周りの明かりで影ができていたからな。

試してみたいこともあるし、丁度いいや。)


俺は、地面に映る自らの影に手を当ててみる。手が地面に吸い込まれる。


(なるほどね。こりゃいいわ。)


俺は、"剛力"を発動し地面に片腕を突っ込んだ。


(良し!掴んだ。引き抜くよ。)


「ぎゃあ!なっなんだこれは!」


すると、姿は見えないのに枢機卿の叫び声が

したのだ。


「フミヤ様?どうなっているんですか?」


俺の横でリリィが頭を傾げ俺を見上げてくる。


(もう、捕まえてるぞ。

足首を持ってる。だから今逆さ吊り状態だ。

コイツのスキルは、透明化になるのだろうな。

透明になってただ逃げただけ。

しょうもないスキルだよ。

それより、【影使い】が何となくわかったよ。

使った対象と俺の影が繋がるみたいだな。

だから、俺の影から手を入れて足掴んで引き抜いてやったんだ。

なかなか、使い道ありそうだ。)


「ふふふっ。フミヤ様。

当たり前ですよ!特級スキルなんだもん。

で、どうやったらこの透明化解けます?」


(わからん。一度地面に叩きつけて見るか。)


俺は、掴んでいる手を振り上げて地面に叩きつけた。


「うっうぎゃあ!」


枢機卿の姿が露わになる。

顔を押さえて、悲鳴を上げていた。


俺は、"水属性魔法極LV1ウォーターネット"を発動して、のたうち回っている枢機卿を拘束したのだった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


ローザ隊長が拘束されている聖騎士達と話をしていた。


(ミーナ大司教。こんな形になってしまったがどうする?

でも、この枢機卿は許されることはないぞ。

姫に対して侮辱する言葉も吐いたし、聖騎士を向けた。

ガーランド王国に身柄を引き渡すぞ!)


「………おっしゃっていることは、理解しています。その通りだと思います。

しかし、ガーランド王国に身柄を移送するにしても、時間と人がかかるので、どうしたものかと。」


(それなら、俺に任せてくれればすぐだ。

俺のスキル"空間転移"でガーランド王国なら移動は一瞬だ。)


「そっそうなのですか!?」


すると、話を終えたローザ隊長がこちらにやってきて口を開く。


「セシル王女殿下。少しお話しが……。

聖騎士達に聞き取りを行いました。

彼らは、枢機卿の指示で動いただけ。

心では、他国の王女に不敬を働くことになるという憤りがあったとのこと。

セシル王女。私からも深くお詫びいたします。

どうか、彼らをお許しいただけませんか?」


セシル王女は、俺を見る。


「う〜ん。どうしたら〜いいですか〜フミヤ様〜。

他国の騎士ですし〜なかなか判断が難しいのですが〜。」


(なら、ローザ隊長に……いや違うな。

ミーナ大司教に付くというなら、許しても良いんじゃないか。

どうせ、枢機卿は終わりなんだし。)


「そうですね〜それで良いです〜

実害はなかった訳ですし〜。

ローザ隊長、聖騎士の皆さんに関しては許します。」


「ありがとうございます!セシル王女殿下!」


俺は、聖騎士達のウォーターネットを解除したのだった。


すると、教皇が騒ぎを聞いたのか駆けつけてきたのだった。


「こっこれは!どういう状況なのですか?!

ミーナ大司教?!」


「枢機卿がガーランド王国セシル王女殿下に聖騎士を向けました。

それをこちらのフミヤ殿が拘束し、枢機卿は一時逃亡するもフミヤ殿に捕まり拘束されました。

ガーランド王国セシル王女殿下に対する不敬罪でフミヤ殿は枢機卿をガーランド王国に移送すると言っています。」


「……うむ。成程。

理解しました。

枢機卿は、ガーランド王国に身柄を引き渡しましょう。王国に裁いてもらいます。

あの神官どもは枢機卿側の者達だな。

聖騎士騎士達よ!そこの神官達を牢屋に!

手の空いてる者達は、全聖騎士に声を掛けてこの広場の人族優先主義者を全て捕らえるのだ!良いな!」


枢機卿が教皇に言う。


「きっ教皇!なっ何を言っているのです?!

わっ私を、王国に引き渡す?!

なっ何故?!何故?!私が王国に裁かれねばならんのだ!

………そっそうだ!治外法権を王国側に!」


「なにが、治外法権だ!

ガーランド王国のセシル王女殿下に聖騎士を向けておいて、そんなこと通用するわけなかろうが!

治外法権とは、その国の法律、統治権の支配を受けない特権であって、王族に盾をついても良いということではない!

そんな戯言が許されるなら、聖教国は最も力のある国になるではないか!

何をとち狂って、他国の王族に聖騎士を向けているんだ!

王国と戦争を起こすつもりか!

それでなくとも、王国は教会を撤廃されておるのだぞ!」


「教皇!ガーランド王国など邪神様が復活されたら恐れる必要などないではありませんか!

それこそ、世界は聖教国に平伏すのですから。」


教皇は怒りで顔を赤くしながら言う。

「なにが邪神だ!?

妄想も大概になさい!

狂っている!其方が推し進めている人族優先主義も今日で最後だ!

人族優先主義者を取り締まり、マリアン様の教え、皆平等を再度目指した国づくりをしていく!各国から聖地として訪れて頂く為に!

ミーナ大司教!よろしくお願いしますよ!

それとフミヤ殿、今日はもう遅い。

枢機卿は取り敢えず牢屋に入れときます。

それで良いか?」


(ああ。王国もそのほうが対応できる。

それでいいよ。)


「それでは!枢機卿を牢屋に連れていけ!」


聖騎士にひきづられるように枢機卿は連れて行かれた。


その後、教皇の聖騎士達への指示が見事だった。

そして広場にいる人族優先主義者を一人残らず身柄を取り押さえたのだった。

そして教皇は、人族優先主義を撤廃するとその広場にいた亜人達に宣言したのだった。



★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★


応援ありがとうございます!

よろしければフォロー、コメントよろしくお願いします!

♡☆をポチッとよろしくお願いします!





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る