第46話 双子
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今回も日常編です。
このお話の次から第五章の始まりです。
では、よろしくお願いします。
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フミヤとリリィのデートに隠れて付いて行っていたセシル姫とララ。
その頃、アルとウルは何をしていたのか?
気になりますよね。
では、少し覗いてみましょう。
「アっアル!僕、歩きにくいよぉ。
少し離れてよぉ。」
「嫌よ。又一人にされたら嫌ですもん。
ウルと私は二人で一人なのです。
これが双子の姉妹の宿命なのです。
先に死ぬなんてもってのほかです!
少しの間でも、私を残して死んだこと許さないんだから。」
「そっそれは、僕が悪いんじゃないよ!
僕だって、死にたくなかったんだよ!
アルが心配だったし!
アルは、僕が居ないと本当にダメだもん。
そんなんじゃ、僕が誰かの嫁になったらどうするの?」
「ウルが誰かの嫁………。
そうだわ!その時は、私も一緒にその男性に嫁ぎますわ!
強い男は、嫁の二、三人なんてザラですわ。
これで問題解決です。」
「またそんなこと言って!
そうそうそんな強い男なんていないけどね!
…………強い男………居るな。」
「だっ誰ですの?
私も知ってる方ですか?」
「知ってるも何も、仲間だよ。
フミヤ様!
勇者も倒したし、怪僧ゲルも倒した。
僕、これ以上強い男の人見たことないよ!」
「たっ確かに!
そうですわ。フミヤ様は強いですわ!
しかし、フミヤ様はリリィさんしか見ていないわ。」
「今は!でしょ。
僕、フミヤ様くらい強い人なら奥様一人じゃ勿体ないと思うんだよね。
僕とアルも頑張り次第では、ありだと思うんだよね。」
「ウル。一つ懸念するべき問題が。
私達エルフは、胸がリリィさんみたいに豊かではないです。
男はまず、胸でしょ。」
二人でお互いの胸を見るアルとウル。
「ぼっ僕は、これでもアルよりかは大きいと思うんだ。」
「しっ失礼な!私がウルに負けてると!
そんなはずはありませんわ!」
「「………」」
「姫とララさんには、勝ってるよね。」
「そっそうね。そうよね!」
「何さっきからごちゃごちゃ言うとんねんな。
胸がどうたら、こうたら。
男は、胸好きばかりやないねんで!」
口を挟んだのは、ドワーフの国のドラス王だった。
今、ドラス王にウルが誘われて王都の酒場に行く途中なのだ。
アルは、ウルと離れるのが嫌で、酒は飲めないのに同行していたのだった。
「ドラちゃん!そうなの?!
僕、男は胸が大きい女が好きだと思ってたよ!
ドラちゃん!そこ詳しく!」
「がっハッハッハッ!
確かにな!男は胸の大きい女性に一度は憧れるんや!
でもな経験を重ねるたびに男はな、女性の果てなき魅力の虜になるんやで!
オッパイ大好きのオッパイ星人やったやつが、二年ぶりに会ったらお尻大好きお尻星人になってんねん!
そんなんザラにあるで!
それとかな………特殊なん言うとやな。
女性の脇に魅力を感じるやつとか、女性の足に魅力感じて顔や性格よりも足重視にする奴とか。
男が女の魅力を感じるんわ、その人その人で全然違うわいや。」
「ドラちゃんはどうなの?」
「ワシか!ワシかいや!
……そうやなぁ……
酒が強い女に魅力感じるな。
胸とかはどないでもええわ。
だから、ウルは好みやけどな。
でもな、ウルは細い!アルもそうや!
エルフの特性かもしれんけど、細いすぎるわ!
べっぴんさんなんわ、べっぴんさんやねんけどな。
ワシは酒が強うて、もっとこう腰と尻がパンっとした丈夫そうな女に魅力を感じるわ!
ウルとアルは、潰れてしまいそうや!」
「フミヤ様は、どうだと思う?」
「アニキかい!?
アニキは、リリィやろ!
あっ!リリィで思い出した。
あの時のリリィはヤバかったわ。
天使化した時や!
あれは、あれを見た奴は惚れてまうやろ〜!
マジで、天使、いや女神やで!」
アルとウルが顔を見合わせて呟く。
「「結局、リリィさん…」」
「なんやねんな!
アルもウルもアニキの女になりたいんかいや!
まあ!アニキの強さ見たらしゃあないか。
じゃあ、ええやんか!」
「何がいいのさ?!
リリィさんでフミヤ様は大満足なのにさ!
僕ら出番ないじゃん!」
ドラス王は、ニヤリと笑って言う。
「アホ言うなや。
アニキみたいな強い男、一人の女性が独占しよ思うんが間違いや。
世界の為に子孫を沢山残してもらわんと!
そりゃ、リリィは大聖女やからな!
アニキの相手の一番手や!
お互い好き同士やし!間違いない!
でも、あと4、5人娶ってもええぐらいや!
そうなるとやな……リリィと違う魅力のある女がええやん!
アルとウルなんか双子やけどタイプは全くちゃうやん!
これは、オモロいやん!
ありやで!大アリや!
あっ!こんなん話してたら、店通り過ぎてまうとこやったわ!
ここや!今日は、ここで飲むで!」
そう言ってドラス王は店に入って行くのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
店の中は、ドワーフと小人族で貸し切り状態だった。
ドワーフと小人族は今日が最後の夜なのだ。
明日、ドワーフはドワーフの国へ、小人族は小人族の集落へ帰るのだ。
ガーランド王国ガーランド王が、ドワーフと小人族の為にこの店を今日は借り切ったのだ。
「おい!お前ら!ガーランド王の奢りや!
しっかり味わって飲めよ!
わかっとるやろな!」
「「「「「うぉぉぉ〜」」」」」
ドワーフも小人族もそこら中で乾杯を始める。
ドラス王とウルも乾杯し、お互いの腕をクロスさせて一気飲みだ。
「かぁ〜!ウルと飲むんわホンマに楽しいわ!
ウル!またドワーフの国、来いよ!
又飲むど!」
「ふふふっ♪
僕、ドワーフの国のあの、キツいお酒。
めっちゃ好き!
絶対行くから!」
「ああ!ウルは、ドワーフごろしが気に入ったんかい!
流石や!流石ワシが認めた女や!
ほれ!次飲むぞ!ガっハッハッハッ!」
ドラス王とウルが酒を煽る中、下戸のアルは肉や料理を食べていた。
アルが言う。
「ドラちゃん。弟のドラゴさんを見かけませんけどどうしました?」
「ああ!ドラゴかい!
ドラゴは、昨日アニキに頼まれて昨日から王都の鍛治屋借りて、そこに籠っとるわ!
もうそろそろでてくるやろけどな!」
「そうなんだ!
フミヤ様何頼んだんだろ?
僕なんか気になるよ。」
ドラス王はニヤリと笑って、言う。
「まあ!じきにわかるわいや!
今は、飲むで!ウル!」
ウルとドラス王は、散々飲み倒す。
アルは、周りの酒の匂いでそれだけで頭がクラクラしてきていた。
「匂いで酔いそうですわ。」
「アル!水を飲んでおいたら?
下戸のアルは匂いだけで絶対酔ってしまうから。」
「そうしますわ。」
水を飲むアル。
「アル!それ、水ちゃうぞ!
ウォッカや!」
「あっ熱い!口の中が熱いですわ!
…………も、らめれすわ。
水、水、くだはい。水をくだはいませ。」
「ああ!アルが酒を口にしちゃったよ〜
ドラちゃん!絡まれるよ。
僕知らないからね。」
「トラ…トラ…ドラちゃん!
細くて、何が、ヒック!
……何が悪いのよ!
おお!こら!細くて何が、ヒック!
悪いんじゃ!」
ドラス王の胸倉を掴むアル。
「えっエグ〜!
めっちゃ酒癖悪いやん!
ウル!助けてえや!
ウル!」
その時、店にドラゴがやってきた。
何やら大きな物を持ってドラス王、ウル、アルの元にやってくる。
「おった、おった!
ウル!
フミヤのアニキからの頼まれもんや。
酒場には不似合いやけどな。
はよ渡したぁて持ってきたんや!」
「うん?僕に?
フミヤ様の頼まれ事?」
「ああそうや!
昨日フミヤのアニキがな、ワシになんか鉱石持ってきてるか聞くねん。
ワシ、鍛治が趣味やから鉱石は持ち歩いてんねん!
だからアダマンタイトなら、かなりの量もってきとる言うたんや。
そしたらウルの盾が潰れたから、盾を作ってくれ言うんや!
それも、頑丈で潰れん盾をとな!
ウルは、うちのパーティの盾士やから一番危険と隣合わせや言うてな。
お前一回死んだやん!フミヤのアニキめっちゃ気にしとんや!
アニキを守ろうとして死んだんもあるやろしな!
だから、ワシ昨日から鍛治屋に篭ってウルの盾を作ってたんや!
ほら!開けてみい!最高の盾やで!」
布に包まれている盾。
ウルは布を取る。
ウルの体の半分くらいの長方形の盾。
アダマンタイト製の盾だ。
盾を縁取るように金細工が施されている。
ウルがエルフということもあり、木の葉や木をモチーフにした金細工だ。
盾の表面は光輝く。
立派な盾だった。
大きめの盾だが、アダマンタイト製なのにそう重さを感じない。
盾の裏に魔石が埋め込まれていた。
「どないや?重ないやろ?
普通オールアダマンタイト製の盾やったら、ウルなんか持たれへんで!重うて!
重さを軽減する魔石をつけとるからな!
持てるやろ!」
ウルは盾を持ち上げたり、左右に振ったりする。
「前の盾と同じくらいの重さだよ!」
「前のは鉄やろ!今回はアダマンタイトや!
硬いで!丈夫やで!
これで皆んなを守ったってや!」
「うん!守る!
………これってめちゃ高いよね?」
「そりゃそうや!オールアダマンタイトやで!フミヤのアニキから白金貨一枚もうたわ!」
「えっ!白金貨!……どっどうしよ。」
「どうしよも何もないがな!
使ったってや!
フミヤのアニキ言うてたで、仲間の命がこれで救われるなら安いもんやってな。
当然ウルの命もやな!
盾の名前なんにしよかおもてんけどな。
ウルの盾でええかおもてんねん。」
「ウルの盾……僕の名前か。
ありがとう!ウルの盾!大事に使うよ!
フミヤ様にもお礼いわなきゃ。」
すると、アルが酔っ払いながら言う。
「ズルい……ウルだけプレゼントもらっちゃってさ!ズルいズルいズルいズルいのですぅ!」
「ガッハッハッ!フミヤのアニキの言う通りや!絶対、双子やからどっちかだけってのはダメ言うとった!
アル!アルにもフミヤ様からのプレゼントやで!
オールアダマンタイト製の剣や!
ウルの盾と同じように柄のとこに重さ軽減の魔石を埋め込んどる。
お前、今酔うとるみたいやな。
鞘から抜くなよ。
わかっとうやろな!」
剣の鍔の部分にこれもまた、木の葉や木をモチーフにした金細工が施されていた。
「これは、アルの剣や。
ウルの盾にアルの剣。
パーティの盾と剣なんやろ?!お前ら。
お前ら自身双子やけど、その盾と剣も一つの巨大なアダマンタイトの鉱石で作ったんや!だから、この盾も剣も双子やで!」
アルがドラゴの背中をバンバン叩きながら言う!
「わかってるやん!
ドラゴ!
私とウルは二人で一人なんやで!
盾も剣も一緒やで!
ヒック!」
「なんでアル、ドワーフの喋り方になってるの?」
バンバン叩くアル。
「痛い痛いわ!
誰や!アルに酒飲ましたんわ!」
店中に響くドラゴの声。
それを聞いて、ドワーフ、小人族、そしてエルフの双子は笑ったのだった。
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