第34話 毒

勇者達がガーランド王国のリースの町を目指している頃、俺達はルシア帝国皇都の冒険者ギルドにいた。


(買取を頼みたいんだが。)


「魔物ですか?

魔物でしたら、その横の通路を通って処理場に下ろして頂けますか?

手続きは、こちらでしますのでメンバーの方で代筆お願いします。」


俺は、リリィに頼んで一人で処理場にいく。


通路を進むと開けた場所に、着く。


デカい包丁のような物を持ったゴツい男が、話し掛けてくる。


「おお!兄ちゃん!さっさと、獲物を出しな。」


男の見た目と手にしているデカい包丁で、その言葉は悪者のように見えるぞ。


(かなり量があるが、ここで良いのか?

足の踏み場もなくなると思うが?)


「おっ!大きくでたな!

ここが埋まるくらいってどんな大物を狩ったんだよ。

もう、そういうのはいいから、さっさと出しな。」


俺はアイテムボックスから魔物の死体を次々に出していく。


途中で男が、慌てて止める。


「ちょっ!ちょっと待った!

兄さん!人が悪いぜ!

レッドリザードを狩れる腕を持ってるなら先に言えよな。

まだ、あるんだろ?

こっちの外に残りは出してくれ!

この量だと二、三日かかるぜ。

取り敢えず時間をくれ!」


(ああ!構わんぞ。

それと、手間賃だ。取っといてくれ。)


俺は、男に金貨3枚渡す。


「へぇ〜!兄さん!

わかってんじゃないか!

冒険者が兄さんみたいな奴らばかりなら良いのにな!

じゃあ、なるべく早くやっちまうからな!」


男は機嫌良く作業に移っていった。


俺は言われたように外に残りの魔物の死体を取り出して、リリィ達の所に戻るのだった。


すると、またお決まりのように女性陣が冒険者に絡まれていた。


案の定、ララが男達と女性陣の間に入り、文句を言っている。


「だから、お前みたいなチビには用はないって言ってんだろ!

ひっこんどけよ!」


「ダメなのです!

もう二度とどこにも行かさないのです!

ララが居ながら、リリィさん達を連れて行かれたら、フミヤ様に合わせる顔がないのです!

あまりしつこいと、ぶん殴るのです!」


「おいおい!

チビがイキがんなって!

俺達、勇者パーティの補佐チームとしてこの皇都では、ちと有名なBランクチームブラッディタイガーだぜ!

チビが調子乗ってると殺すぞ!」


その瞬間、ララが思いっきり踏み込み男に正拳突き一発。


「うっ!ぐぐぐぐ。いっ痛え!何しやがんだ!」


男達が一斉に武器を手にする。


俺は、"覇気"を発動し、その場に急行する。


そして、男達に向かって言う。


【"武器を閉まって、その場に這いつくばれ!"】


男達は一斉に武器をしまい、その場に這いつくばる。


「フミヤ様!ララがリリィさん達を守ったのです!」


俺は、ララさんの頭を撫でてから、男達に向き合い口を開く。


【"俺のパーティメンバーに、何か用があるのか?

用があるなら俺を通してもらおうか。

それと、パーティメンバーを殺すと言ったこと、俺は聞いていたぞ!

これは、俺達と殺し合うということでいいんだな!"】


男達は這いつくばったまま、答える。


「おっ俺達に、こっこんなことをして、

ゆっ勇者パーティがゆっ許さないぞ!

おっ俺達は、補佐チームとしてだっ大事にされてんだぞ!」


【フフフっ。残念だったな。

悪いがそれは脅しになってないぞ。

こないだ俺達は、聖女カシエラと黒魔女ダビエラを倒した。

いつか、勇者シルバが俺達に向かって来るなら、ぶっ倒すつもりだ。

今、お前達は、俺達の前で這いつくばっているのだから、俺達の力はわかるよな!】


「勇者パーティなんか怖くないのです!

フミヤ様と私達のほうが強いのです!

それと、チビと言ったこと許さないのです!

フミヤ様?コイツ蹴っていいのです?」


(ララさん。殺さないならいいぞ。

ララさんがムカついたなら。

なんなら加勢しようか?)


「フミヤ様。必要ないのです。

ララだけで余裕なのです!」


ララが男達をボコボコに蹴り倒す。


男達は完璧に伸びる。


周りは見て見ぬふり。


一応こんなんでも、ここではデカい顔をしていたんだろうな。


そいつらを一方的にやった俺達に目を合わせることもしない。


(リリィ。二、三日かかるらしい。

それまで、皇都で滞在だな。)


「そうですかぁ〜。

どうしますぅ?

ゆっくりしますか?」


(次どっちに行くか決めないといけないし、ゆっくりしながら話し合いますか。)


「「「「「はい!」」」」」


俺達は、宿に戻ったのだった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


次の日の朝、宿の食堂で朝食を取り、お茶を飲んでいると、何やら騒がしくなった。

誰かまた、馬鹿が俺達に喧嘩でもふっかけにきたのだろうか?と俺は、思っていた。


食堂に入ってきたのは、身なりの良い執事。

そして、セシル姫の前に行く。

すぐさま、アルとウルがセシル姫の前に立つ。


「突然失礼いたします。

ガーランド王国のセシル王女殿下でございますね。

私は、ルシア帝国皇弟の執事をしているオートナーと申します。

皇弟の御令嬢アーシェ様が馬車でお待ちです。」


「アーシェお姉様が〜!

何故、お姉様が〜。

私が冒険者として、ここに訪れていることも知らないはずなのに〜。」


「実はアーシェ様は、ガーランド王国に亡命する予定で、ガーランド王国に行ったのです。しかし、先程ガーランド王国から戻られました。

ガーランド王からセシル王女の事情を聞き、セシル王女と同行されている聖女リリィ様にお願いがあるので急いでルシア帝国に舞い戻ったのです。

後の詳しいお話は、アーシェ様からお聞きくださいませ。

同行者の方々も、どうぞ。」


ガーランド王国に亡命?

なんか、穏やかな話ではなさそうだ。

リリィにもお願い?

なんだろうか。


俺とリリィは顔を見合わせる。


セシル姫について宿を出る。

宿の外には、豪華な馬車が2台止まっていた。


その一台の馬車の扉が開き、金糸のような綺麗な腰まである髪を靡かせ、とても高貴なお姫様が降りてきた。


「せっセシル!貴方っ本当に……本当に目が目が見えるのね!

……うっうっう。良かった!本当に良かった!」


セシル姫を抱きしめるアーシェ。


「アーシェお姉様!

どうしたのです?!

ガーランド王国に亡命?

一体どうしたというのです?

王国に行ったのに〜引き返してきたのは何故なのです〜?」


セシル姫は、アーシェを抱きしめながら聞いた。


取り敢えず、姫様二人。とっても目立っている。


(姫。この馬車だけでも目立っているのに、馬車から出てきた高貴な姫と抱き合う姫。

目立ちすぎだ。姫、取り敢えず馬車に乗ったほうがいい。

執事さん。その馬車で行く場所は屋敷か?城か?)


「はい。帝城ではございません。

皇弟アレク様の私邸でございます。帝国の外れにございます。まずは、皆様も後ろの馬車へ。」


セシル姫は、アーシェの乗る馬車に。

俺、リリィ、アル、ウル、ララは、後ろの馬車に。


かなりの野次馬が集まる中、馬車が動きだしたのだった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


帝国の外れにとても大きな屋敷が建っていた。


馬車を降りるとセシル姫が、こちらに駆けてきた。


アーシェから話を聞いたのだろう。


リリィの元に一直線だ。

アーシェはリリィにお願いがあるということだったからな。


「リリィさん!お願いが〜あります!

叔母様と叔父様を助けて欲しいのです!」


「はぁ。姫、話が見えないのですが、私の聖属性魔法が必要なのですね。

何があったのですか。」


すると、アーシェ姫が来て口を開く。


「貴方が、フミヤ様。

そして、聖女リリィ様。

小人族のララさん。

エルフの戦士のアルさんとウルさんですね。

私は、皇弟アレクの娘アーシェでございます。

母マーガレットがガーランド王の妹ですのでガーランド王国セシル王女とは、従姉妹となります。

セシルの目のことは、とても気に揉んでいました。

その弱視のせいで、あの性格の悪い義理の姉妹に虐められていたのも……。

しかし、伯父様の言っていた通りでした!

ガーランド王国に亡命をするつもりでガーランド王国の王城を訪ねた時、ガーランド王の伯父様にセシルの目が治ったことを聞きました。

治したのは、聖女リリィ様。

それも、"大聖女の癒し"で治したというではありませんか。

そして、セシルは冒険者として世界を見て回っていると聞きました。今は、ルシア帝国のアッソ火山に行っていると。

私は、それを聞き、すぐにルシア帝国に戻ってきたと言うことです。

父と母をリリィ様に助けて頂きたいのです。

毒を盛られ、今意識を失ったまま。

教会の神官にヒールを掛けて貰いなんとか命を取り留めていますが、ヒールでは意味がないのです。延命しているだけなのです!

リリィ様!お願いいたします!

お願いいたします!」


(毒殺しようとした奴がいるということか。

誰かわかっているのか?)


「はい。皇帝……父の兄上です。

皇帝がガーランド王国を攻めようとしているのを父はずっと大反対していました。

母の母国ですから。

そんな父を邪魔だと思ったのでしょう。

次第に帝城に居れる雰囲気ではなくなりました。

そして、私邸に移ったのですが、皇帝は給仕を金で買収し毒を盛ったのです。

私は、食べる前に父と母が倒れたので助かりました。

しかし、ここに居てはいずれ殺されると執事のオートナーの進言で母の母国ガーランド王国に亡命することにしたのです。

毒を盛られた父と母の治療を聖女カシエラに依頼しましたが、ロクに見ようとはせず、教会の神官を呼んでヒールを掛けるようにと言うだけでした。

所詮勇者パーティの聖女カシエラは、皇帝側の犬。

お願いです。最後の希望は、聖女リリィ様だけなのです。」


リリィが言う。


「わかりました。アーシェ様。

お父様とお母様のところへ行きましょう。

セシル姫。姫のご親戚は私が助けます。

安心してください。」


リリィがアーシェ姫とセシル姫の手を取り言ったのだった。


そして、リリィは俺を見て大きく頷くのだった。


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