第四章 ルシア帝国

第30話 女ったらし

「シルバ!……っ。

すまない。」


ベッドから裸の男が立ち上がる。

ベッドには、同じく裸の女。


「なんだぁ?

最中に飛び込んでくるなんてぇ。

ゲル。お前らしくねえじゃんよ。

何かあったか?

いい女がまた、現れたのか。

フフフっ。」


「いや。聖女カシエラと黒魔女ダビエラが居ないんだ。

何処探しても。」


「なんだぁ。そんなことで俺のお楽しみ中に乗り込んできたのか?!

………あいつらもお楽しみ中の俺達に気を使って、二人で稼ぎの良い仕事でもしてんだろ。

フフフっ。

ゲル。そんなことより、折角だぁ。

三人で楽しもうじゃないか。

この皇女。なかなかの好きものでよぉ。

俺も気に入って遊んでたんだけどよぉ。

そろそろ飽きてきたぁ。

最後の余興だぁ。

ゲル!お前も〜混ざれよぉ。」


「シルバ。お前、いつも最後俺を混ぜて女を壊すのな。

相手が皇女でも一緒なのな。」


「フフフっ。ゲル!そう言いながら、服脱いでんじゃねえか。

コイツ潰して、次の獲物探すぞ。フフフっ。」


その夜、ルシア帝国第二皇女は、潰された。

気が狂ったかのように、男を求める狂気の女になったのだった。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


俺達は、ルシア帝国皇都に入った。


「うわぁ。セシル姫が言ってたとおり、規模が半端ないですね!

フミヤ様!はぐれないでくださいよ!

迷子はダメですわよ。」


(リリィ、リリィは俺の腕を掴んで離さないのだから俺と、はぐれることはないだろう。)


「フミヤ様!嫌なんですか!?

私だけじゃないじゃないですか!

もう片方は、ララさんが掴んでますし!」


「ララは、小さいのです!

ララのような小さく可愛いレディは、ある一部の男達に人気なのです。

そんな男達に攫われないよう、フミヤ様の腕を掴んでいるのです。」


「ララさん!よく言いますわ。

そんな男が現れたら、すぐぶん殴る癖に。

聖女達との戦いの後から、ララさん!

フミヤ様へのスキンシップが激しくなってますわ。」


「リリィ!そんなこと当たり前なのです。

女は強い男に、くっつくのです!

リリィもそうなのです!

姫も実はくっつきたいと思っているのです!

アルもウルも。絶対そうなのです!」


「あわわわ〜。ララさん〜私まで〜巻き込まないで〜くださいませ〜。」


「姫は、勇気がないだけなのです。

姫、さあ一歩踏み出すのです!

ララとリリィのレベルまで!

高みに登るのです!」


ララがセシル姫を煽る。


セシル姫はおずおずと、俺の左腕に手を掛ける。


「……ふふふっ。なんか〜安心感がありますね〜。悪くないです〜。」


それを見てリリィが俺の耳元で言う。


「まあ。姫まで。フミヤ様の女ったらし!」


俺は一瞬たじろぐが、平静を保ちながら言う。


(おっ!ここが冒険者ギルドだ!

アッソ火山の情報を集めるぞ。

さあ、入るぞ!)


俺達は受付に行く。

冒険者達が俺達に注目する。


まあ、ほとんどの視線は女性陣に向けての視線だ。

リリィ、セシル姫、アル、ウルは男達には魅力のある女性だ。

ララさんも幼女好きには、魅力的なんだろうな。


「ギルド証を拝見いたします。」


俺はギルド証を渡す。


「フミヤさん Aランクの冒険者様ですね。

どのようなご用件でしょうか?」


(アッソ火山について教えて欲しい。)


「アッソ火山ですか!?

あそこは、確かに Aランクの方には魅力的な魔物がでますが……。

実際に行こうとする方は、ほぼ居ませんが……」


(魅力的な魔物が出るのに、何故行かないんだ?なんか理由があるのか?)


「コストが、かかりすぎるのが一つの理由かと。」


(コストがかかる?)


「はい。アッソ火山は、名の通り火山です。

それも、今も活動中の火山です。

火口は、今も溶岩が燃え盛っています。

アッソ火山の表面にはいくつも亀裂が入っていてそこから溶岩が流れ出ています。

よって、溶岩を避けて登るにしても、暑くて普通の装備では、登ることはできないのです。

装備をアイス系に変えないと登ることは不可能なのです。

武器防具店にいけば、購入するのは容易いですが、魔法が付与された武具防具は、やはり高額なのです。

武具防具を変えないなら、アイスポーションの使用になりますが、飲むタイミングを間違えると、大火傷を負いますので、あまりおススメは出来ません。」


(なるほど。それでコスト的に合わないってことか。

魔物を狩ってもペイできないってことだよね。)


「そうですね。

良くて、トントンってところですね。

なので冒険者は、まず行こうとはしないですね。

たまに、アイスポーションで弾丸的に魔物を狩って帰ってくる方もいらっしゃいますが、帰る寸前で強敵に会って時間を費やし、結果大火傷を負うという方がほとんどです。」


(冒険者は、魔物を狩る目的だけなのか?

精霊カッカ様に会いに行こうとする者は居ないのか?)


「……フミヤさん達は精霊カッカ様に会うのが目的ですか?

ハッキリ言っておきますが、ほぼ会えないと思いますよ。

精霊は、誰でも会える訳ではありませんから。

こちらが会うのを選べる訳ではありません。

精霊が選ぶのです。」


(会うか会わないかは、精霊しだいということか。

その精霊カッカ様が居る場所とかは、ギルドは把握しているの?)


「いえ。把握していません。

なので、精霊カッカ様に会うのが目的なら、大捜索になりますね。

それと、精霊カッカ様が会うと思われるか、イチカバチかの運試しですね。」


(なるほど。

ありがとう!よくわかったよ。)


俺は、受付のお姉さんに礼を言い振り返る。


女性陣達が居ない。


俺はギルドの外に出てみる。


すると、女性陣が何やら揉めている。


リリィの腰に手を回す男。


リリィの手を必死で引っ張っているセシル姫とララ。

アルとウルは男に文句を言っていた。


俺は、すぐにその場所に行く。


(何してんだ?

なんだこの男?)


ララが言う。


「突然この男がリリィの顔を覗きこんだのです。

すると、すぐに腰に手を回して連れて行こうとするのです。」


セシル姫が続けて言う。


「ふっフミヤ様〜なっ何か〜リリィさんがおかしいのです。

この男に従順に付いていこうとするのです。

だからこうして、止めているのです!」


俺は男に言う。


(悪いが、リリィは俺達のパーティメンバーだ。ナンパなら他をあたってくれ。)


「オッケーオッケー!

君らのパーティメンバーなのは、わかったよ!

何もパーティから抜けさそうとはしてないだろ?ただの恋愛だよ!恋愛。

なんなの?あんた、この子の彼氏なの?

彼氏じゃないなら、ただのパーティメンバーってだけでこの子の恋愛を邪魔するのはおかしいんじゃないか?」


(リリィが嫌がっているだろ?

俺は、彼女を守らないといけないんだ。)


「へぇ。お兄さんカッコいいねえ。

白馬の騎士さん的な感じ?

でも、悪いけどこの子嫌がってないんだよね。お兄さん、どうする?」


(リリィ!どうした?なんで、この男を受け入れるんだ?

なあ、リリィ!)


俺は、リリィの前に出てリリィに言う。


すると、リリィは俺を睨みつけ言う。


「フミヤ様には関係ない!

邪魔しないで!

女ったらしが!」


俺は、後頭部を思いっきり鈍器で殴られたかのようなショックを受ける。


今まで、リリィから向けられていた好意が粉々に砕かれた思いだった。


「じゃあ行こうか。

なんか、お兄さん〜!ごめんね〜!

ハハハハッ!」


男の高笑いが響く。


俺は、男とリリィの影を見送るしかなかった。


「行かせたら駄目なのです!

なんかおかしいのです!」


「確かに〜おかしいです。

あの男がリリィさんの顔を覗きこむまで、リリィさんは〜ずっとフミヤ様の話をしていたんですよ!」


「そうですね。唐突すぎます。」


「僕、あの男の左目がとても気持ちが悪いよ。なんか、凄く嫌だよ。」


「あっ。何処に行ったかわからなくなったのです!フミヤ様!探すのです!

フミヤ様!」


俺は、ショックで少し呆けていた。

そんな俺をララは腹をぶん殴って正気にさせたのだった。


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