第24話 抗議
小人族の族長、ララの父上に会った。
族長も小さい。130センチくらいか。
でも、立派な顎髭がある。
俺の世界の〇〇姫の小人そのままじゃないか。
そんなことを思いながら挨拶する。
(はじめまして、俺はフミヤだ。
精霊イシス様から依頼されて、アースドラゴンを討伐しに来た。
ギリギリだったな。
間に合って良かった。)
「ホホホっ。
これは、これは、フミヤ様。
助かったのじゃい。
聞けば、ガーランド王国の救世主でもあるとセシル姫から聞いたのじゃい。
そんなお方とお会いできるのは光栄じゃい。
ならば今日は宴じゃい!
………肉、備蓄あったかの?ララ。」
「父様……肉は残り少ないのです。後数日でエルフの里から届くのです。
野菜ならあるのです!
野菜で、もてなしなのです!」
「う〜ん。困ったの。困ったのじゃい!
宴には、肉がいるのじゃい!
エルフの里に取りに行くのじゃい!」
(おい。肉ならあるぞ。
さっきのアースドラゴンの肉もあるし、備蓄でオークキングの肉とハイオークの肉もあるぞ。なんなら、提供するぞ。)
「フミヤ様。良いのです?
助けてもらったのです。
それなのに、肉くれるのです?」
(構わんぞ。肉が無いと宴にならんのだろ?
俺達も腹が減ったからな。
肉を提供する。
そのかわり、料理は小人族がしてくれよな。)
「まっ任せてなのです!
父様!宴が出来るのです!」
「ホホホっ。
フミヤ様、肉、すまんのじゃい!
ララ!皆を使って宴の準備じゃい!」
その日、小人族によって宴が開かれたのだった。
宴の最中、ララが族長相手に捲し立てていた。
「あのアースドラゴンは、ドワーフの国の鉱山に居たドラゴンなのです!
アースドラゴンをしっかり管理していると言う話だったのです。
だから、黙ってたのです。
しかし、こうして襲ってきたのです!
ドワーフの国に抗議なのです!
絶対抗議な・の・で・す・!!」
「ララ。と言ってもじゃい!
集落の族長の言葉をドワーフ国の王が聞いてくれんのじゃい!
王には王なのじゃい!」
「ならセシル姫が居るのです!
ガーランド王国の姫なのです!
友好国の姫の話なら頑固なドワーフの王も聞く耳持つのです!」
「確かに姫がおるのじゃい。
でも、姫がドワーフの国に行かれるとは、聞いてないのじゃい!」
すると、セシル姫が言う。
「元々〜フミヤ様パーティは〜ドワーフ国ドラスへ行くのが目的でしたわ〜。
私も〜フミヤ様パーティの一員です。
ララさんの抗議の手伝いを〜いたしますわ〜。」
「きゃぁ〜流石!姫なのです!
姫は、居てくれるだけで良いのです!
私が、めっちゃくちゃに抗議するのです!
ふふん!」
という事で、ララがドワーフ国の王に抗議する為に、同行する事となったのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
そして、翌日。
今俺達は、ドワーフの王率いるドワーフ国の軍隊に囲まれている。
………話は1時間前に遡る。
ドワーフ国ドラスに着いた俺達は、門兵に
王との謁見を申し出た。
セシル姫が言う。
「私は〜ガーランド王国の王女セシルです。
ドラス王にお伝え願います。
アースドラゴンに小人族の集落が襲われ、小人族の集落に少なからず被害が出ています〜。
集落の代表として〜族長の娘が同行しています。
それなりの謝罪をして頂きたいのです。」
門兵が慌てた感じで言う。
「あっアースドラゴンが、小人族の集落へ行ったん?
探してたんや!
まだ、その周辺におるってことやな。
こりゃ、人集めなあかんわ。」
「いっいえ。
アースドラゴンは〜精霊イシス様からの依頼で〜こちらのフミヤ様が討伐されました。
なので、小人族に謝罪を……」
「………とっ討伐っ〜!
討伐って……なにかい討伐ってなにかい、こっ殺してもうたいうことかいな!
こうしてられんわ!
お前ら、動くなよ!ここにおれよ!
王に知らせんと!」
門兵は、そう言うとドタドタ走って行ってしまった。
リリィが言う。
「……う〜ん?なんか、なんか雲行きが怪しいような……フミヤ様?そう思いません?
アースドラゴンを討伐したのが、悪かったような雰囲気でしたけど……気のせいですかね?」
(リリィの言う通り、なんかそんな感じだったな。
でも、アースドラゴンが襲ってきてたんだ。
どっちにしろ正当な防衛だろ。)
そしてララが、プンスカ怒りながら口を開いた。
「そうなのです!
正当防衛なのです!
殺さないとこちらが殺されるのです!
ドワーフは、常識があいかわらずないのです!
口も悪いし、頭も堅い。本当に失礼な奴らなのです!激オコッなのです!」
このやりとりから、1時間後。
現在、王率いるドワーフ軍に囲まれているのだ。
セシル姫が言う。
「ドラス王〜これは一体どういうことでしょうか?」
ドラス王が叫ぶ。
「おうおう!ガーランド王国の王女セシルなんは、ほんまやのう!
そう言えばガーランド王国はクーデターがおきたんやろ?!
王女セシルの後ろにおる奴らがクーデターの犯人かいや!
王女セシル!今助けたるからな!
ワシら、ガーランド王国とは友好国やから気にすんなよ!
おい後ろの兄ちゃん!
お前が悪党の頭かい!
前出てこいや!
ガーランド王国だけやなく、うちの可愛いアースドラゴンちゃんも手に掛けてくれたらしいのう!
しっかり落とし前つけて貰おうやないかい!」
ドワーフ。身長160センチほど。
体格は、ずんぐり。
まあ、筋肉の塊のような体。
顔は髭面。小人族のような可愛いらしさはない。
ララの言う通り、口が悪い。
口が悪いというか、これ俺の世界の関西弁ってやつだ。
(アースドラゴンを倒したのは、俺だ。
世界樹アダムに付いている精霊イシス様に依頼された!
アースドラゴンが世界樹アダムに悪い影響を及ぼし、その結果大陸が沈むと言うからな。
それなら討伐しないと駄目だろう?!
それと、ガーランド王国はクーデターから救っただけで、俺達がクーデターの犯人ではない。)
「ワレ!抜け抜けと!
アースドラゴンちゃんを倒したことを宣言しくさりやがって!
この国の大事な大事なアースドラゴンちゃんやぞ!
ワレ死んで償わんかい!
それとな!
王女セシルがここにおる自体、ワレがクーデター起こして、王女セシルを誘拐しとるんチョンばれやで!
王女セシル!可哀想にな!
目も不自由やのに奴隷にされてもうて…!
ワシらがすぐに助けたるからな!」
セシル姫が言う。
「いや、ちっ違うのです〜。
ドラス王〜話を聞いてください。
フミヤ様は〜ガーランド王国の救世主なのですよ。」
「わかっとう!わかっとうで!
王女セシル!
そこのアホにそう言えって言われとるんやろ!
ワシは全部わかっとるで!
全部お見通しや!
任せとき!すぐ助けたるさかい!」
リリィが俺の側にやってきて俺に言う。
「フミヤ様。
もうアイツ聞く耳持たないって感じですよ。
ドワーフは、頑固ですからね。
言い出したら止まらないです。」
(じゃあ。
力でねじ伏せるのか?
ガーランド王国の姫も居るのに、国同士の問題にならないか?)
「………そうですけど。
でも、このままだと戦闘は避けられないと思いますよ。
どうします?」
(まあ、向かってくるならやらないとしょうがないかぁ。
あ〜あ〜!
面倒だぁ!なんかムシャクシャするなぁ〜)
「……でもフミヤ様?
相手ドワーフですわよ。
魔石が体内にありますわ。
ある意味スキル取り放題ですわよ。
だから、ご機嫌を直してくださいませ。」
(………まあ、そう考えると悪くないな。
うん!悪くない!悪くないぞ!
フフフッ。流石は、リリィだよ。
俺の事、良くわかってるよ!
でも、これだけの数のドワーフだよ。
クソみたいなスキル貰ってもな。
出来るだけ強いスキルがいいな。)
「フミヤ様!そういう時は選別ですわ。
前のほうに居るドワーフは、大概がカスですわ。
軍隊、最初に動くのは、一般兵ですもの。
強いのは、後ろに居るものですわ。
後ろに居る者をターゲットにスキルいただいちゃいましょう!
なので、最初はフミヤ様。
軽く蹴散らしてしまいましょう!」
そう言ってニコッと微笑むリリィ。
なんか過激なことを言うようになったな。
リリィ。
大概がカスだってさ。
まあ、リリィの言う事は理にかなってるよな。
その通りだと思うよ。
(リリィ!セシル姫とララさんの側へ。
アルとウルにも伝えて。
戦闘の範囲外で居ろと。)
「はい!承知いたしましたわ!」
リリィがスッと離れる。
「ワレ!何ごちゃごちゃ言うとんねん!
覚悟せえや!
おお!やってまえ!」
ドラス王が、そう叫んでドワーフ達が俺に向かって襲いかかってきたのだった。
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