第22話 世界樹アダムと精霊
その日は、ライデル元帥の屋敷にエルフ達に通され歓待を受け、翌日を迎えた。
取り敢えず、セシル姫がエルフに人気?いや崇拝?されていることがよくわかった。
恐らくエルフの里のエルフ全員がセシル姫に挨拶に来たんじゃないかな?
「姫。フミヤ様、リリィさん!
聖樹アダムにいきましょうか。
そして、そのあと小人族の集落へ顔を出しましょう。
ウル!先行頼みますわ。」
「ここからは、魔物が出るからね。
先行して、僕が進行方向の魔物は屠るけど横から、襲って来る奴もいるから注意してね。
姫も咄嗟の戦闘になると思うから、ナイフでの戦闘に切り替えてね。」
「わっわかりましたわ〜。」
(どんな魔物が出るんだ?
小人族の集落の奧は、ギルド本部長の話ではオーガや、ジャイアントスネークが出ると聞いたが。)
「キラーピーみたいな昆虫系魔物がほとんどだね。世界樹アダムは昆虫系魔物には楽園だからね。」
俺達は進んでいく。
「世界樹アダムの領域に入ったね。」
木々が鬱蒼と辺りを覆っていたのが無くなり、突然開けたのだ。
地面は、ボコボコしている。突然隆起している場所があると思うと木の根が土からでていたりしていた。
世界樹アダムの木の根らしい。
見上げると、空は見えずかなり上空に緑が見える。
世界樹アダムの枝葉らしい。
世界樹アダム枝葉の傘の中に入ったのだ。
(かぁっ〜!世界樹アダム!
凄え!スケールデカいな!
これは、とんでもないパワースポットだわ。)
「本当ですわ。フミヤ様!
こんなに大きいとは私も思いませんでしたわ。」
リリィも世界樹アダムの大きさにビックリしているようだ。
そして、出てくる魔物は昆虫系魔物で突然飛んでくるから油断は出来なかったが、アダムの傘に入ってからは、視界が開けたこともあり、俺の"斬撃"のスキルが役にたった。
目の前に壁のような物が現れた。
世界樹アダムの幹だ。一体どれくらい大きい木なんだ。幹が壁に見えるんだから。
幹には太いツルが螺旋状に巻き付いている。
まるでそれは、螺旋階段のように見えた。
いや、実際螺旋階段なのか?
上から女性がスゥッと降りてくる。
(上にも登れるのか。
女性が降りてきた。)
「確かにツルを使って登れるけど…僕、何も見えないけど。
フミヤ様は何を見ていってるの?」
「フミヤ様、何も私達には見えませんわ。」
(ウル。リリィ!何言ってんだよ。
緑の髪の女の人が降りてきてるじゃないか。
あれが見えないなんて!
ほら、今向こうが頭を下げたぞ!)
ウルとリリィだけでなく、アルもセシルも頭を傾げている。
セシルが魔眼を発動する。
「あっ!本当ですわ〜緑の髪の長い女性〜
えっ?でも足がありませんわ〜」
セシルが言う通り、女性には足がない。ふわふわ浮いている。
俺と同じ幽霊なのか?
と思うと同時に、緑の髪の女性が口を開く。
「私は、世界樹アダムを主としている精霊イシス。
私が見える貴方はとても異質なお力の持ち主。
同族のようで同族ではない。
とても不思議なお方。
そして、そちらは懐かしい。
姫。…エリシアの娘ですね。
他の三人には、声は届いているかしら。」
「「「聞こえてるわ」」」
「貴方達にお力を貸して貰いたく、降りてきました。
今、この先の小人族の集落にも危機が迫ってきています。
奴を世界樹アダムに近づけないで。
世界樹アダムが必要とする養分を奴が奪い取り、世界樹アダムが枯れてしまいます。
奴を倒してもらえませんか?
異質な力を持つ貴方なら、可能でしょう?」
(精霊イシス。奴とは何だ?
もっと具体的に教えてくれ。)
「奴とは、アースドラゴンです。
アースドラゴンは、ドワーフの国ドラスの鉱山地帯を根城としていたドラゴンです。
何か地殻変動があったのか、理由は定かではないのですが、移動を始め、小人族の集落周辺までやってきています。
アースドラゴンは、地の養分を吸い上げ岩山に変えてしまうドラゴン。
このままでは、世界樹アダムは枯れ果て、この東大陸を支える力が失われ、東大陸は海にいずれ沈むでしょう。
それは、防がないとなりません。
どうか、お力をお貸しいただけませんか?」
(世界樹アダムが枯れると東大陸が沈むのか!
……世界樹アダムのスケールのデカさに驚きその興奮が治らないうちに、また、スケールのデカい話だな。)
リリィが口を開く。
「でも、フミヤ様!
アースドラゴンを仕留めないとこの大陸が沈んじゃうんですよ!
フミヤ様しかこの大陸を救えないんですよ!」
(やるよ。やるけどさぁ。
大陸の危機を救うとかさ、そういうのって勇者の仕事じゃないのかよ。普通は!
なんか勇者の尻拭いしてるようで、なんかな。)
「……当然、勇者には1週間前に異変を妖精に知らせて貰いました。
このままだと、大陸の危機に陥ると。
すると返答は今、皇女といい感じだから行けないと言われました。」
(ほら見ろ!尻拭いじゃねえか!)
リリィがセシル姫に精霊イシスが何処に居るか聞いて、その側に言ってコソコソと言う。
" イシス様、フミヤ様を動かすにはスキルですよ。スキルを渡せばアースドラゴンくらい、倒してくれますよ! "
" なっなるほど! "
「……フミヤ殿というのですね。貴方は。
アースドラゴンの討伐。
タダでとは、言いません。
すっスキルを授けます。
そっそれでアースドラゴンを討伐して貰えないでしょうか。」
「うわぁ!フミヤ様!
これは、凄いじゃないですか!
精霊イシス様からスキルを頂けるなんて!
らっラッキーですよ!
そっそれに、アースドラゴンの当然スキルうばっちゃいますよね!
もう!最強ですよ!フミヤ様!」
(…………リリィ。
白々しいよ。
何もやらないとは、言ってないだろ。
やると言ったじゃん!
ただ、勇者がなにやってんだって話だよ!
誰が女の尻ばかり追いかけてる奴を勇者と認めたんだ!
それに苛立ちを感じてだな。
それと、イシス様?!
世界樹アダムに来たら、なんの条件もなしにスキル貰えるんだよな。
アースドラゴンをダシにスキルを授けるって、本当都合良いよな。
まあ、良いんだよ。良いだけどな。)
「タハハハハッ〜。
フミヤ様。
すみません!
よろしくお願いします!」
リリィと精霊イシスは、フミヤに向かって頭を下げるのだった。
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