第12話 プレゼン
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スキル一覧
憑依LV2 呪殺LV1
吸収LV2
刺突LV2
剛力LV1
瞬歩LV1
跳躍LV1
認識阻害
鑑定阻害
アイテムボックス
聖属性魔法LV1(ヒール)
雷属性魔法LV1 (サンダーボール)
風属性魔法LV1 (ウインドカッター)
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◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
その日は、ギルドの上の宿屋に泊まった。
泊まったといっても俺は魔石ペンダントの中だけどね。
とても豪華な部屋でリリィはとても喜んでいたな。お風呂も大きくて、はしゃいでいた。
はしゃぎ過ぎて魔石ペンダントを付けたままお風呂に入ろうとするから、俺は理性と戦った末、リリィに注意したよ。
"お風呂入る時はペンダントを外しなさい"と。
う〜ん。惜しいことしたな。
そして、翌日ギルド前に止まった豪華な馬車に乗り込む。
ギルド長ザインと副ギルド長アンも同乗する。
アンはあの後又痙攣し、もう見るからにリリィを恐れている。
リリィが話すたびに、ビクッと耳が動くのがなんか可愛い。
可愛いといっても、そこそこの歳だろうけど。
馬車が、城に近づく。
リリィが、ポカンと口を開けて城を眺めている。
(リリィ。口、口を閉じなさい。
折角の美人が台無しだよ。)
「だって、城ですよ!
わあ、凄いなぁ。
フミヤ様も、見てくださいよ!」
(うん。確かに凄いな。
でも、口をポカンとは開けないよ。)
「そんな開いてましたか。
……もう、フミヤ様。そういうところは見てても黙っててくださいよ。
恥ずかしいですわ。」
そう言って顔を赤くするリリィ。
フフフっ。可愛いなあ。
リリィは。
そう思った時、馬車が止まる。
着いたようだ。
リリィが降り立つ。
すると、そこに立派な服装そして頭の上に王冠を乗せた、いかにも王ですよという男が出迎えた。
ギルド長ザインがスッと前に行き、膝をつき頭を下げる。
「王自ら出迎えとは……
恐縮でございます。」
「何を言うか。
ザイン。其方を出迎えたわけではないぞ。
セシルをお願いする冒険者を出迎えたのじゃ。
其方が、呟きリリィか。
噂の精霊殿もいらしているのかな?」
リリィは、王の語りかけに対して、片足を斜め後ろの内側に引き、もう片方の足の膝を軽く曲げ、背筋は伸ばしたまま挨拶をする。カーテシーだ。
とても、洗練された華麗なカーテシーだった。
う〜ん。リリィのお母さんは聖職者だと言っていたけど、もしかしてそこそこ良い所の子なのか?お父さんは魔族だけどな。
そんなことを思っているとリリィが口を開く。
「陛下自ら出迎えくださり、感激しておりますわ。
リリアンと申します。
精霊フミヤ様は、この魔石ペンダントの中におられますわ。」
「ほう!とても、華麗なカーテシー。
どこかの地方貴族の御令嬢か?」
「……いえいえ、ただの冒険者のリリアンでございます。二つ名は、呟きリリィでございます。」
「ふむ。そうなのか。まあ、良い。
娘のセシルが部屋で待っておる。
早速顔合わせを頼めるか?」
「はい。喜んで。」
王に付いて城の中を歩く。
(へぇ。城の中はこんな感じなのか。
外から見る城より、中を見るほうが俺は感動だな。)
「フミヤ様。普通は外観で感動するものですよ。なんで中を見て感動するんですか。」
(いやぁ。前の世界で、城の外観は本とかで良く見ていたからな。
城の中は、なかなか本で見ることは無かったから感動だよ。)
「本ですか?!
そうなのですね。
フミヤ様は、色んな勉強をされたみたいですね。とても、頭の回転もお早いですし。」
(本は、勉強ではないよ。娯楽だよ。
頭の回転が早い?……ただずる賢いだけだよ。)
ここで王がリリィに声を掛ける。
「それが、噂の呟きか。
精霊殿と話をしているのだろう。
私には、リリアン殿の声しか聞こえんが。」
ギルド長ザインが口を開く。
「王よ!私がリリアン殿の、そして精霊殿のお力を証明いたしますぞ!
私と副ギルド長アンは、昨日痛いほどお力をみせつけられましたから。
精霊殿も、悪魔を操るのは、容易いと言っておられましたぞ!」
「そっそれは!それは、心強い!
リリアン殿!精霊殿よろしくお願いしますぞ!
さあ、ここがセシルが待つ部屋ですぞ!」
王がノックをして扉を開けたのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ソファに座っている儚いほどの美しさのセシルが居た。
(リリィと又違うタイプの美人さんだな。
リリィは、美人!綺麗!って感じだけど、セシル姫は、美人!可愛い!って感じ?
いや違うな。なんか、すぐ潰れてしまいそうで守らないとって思ってしまう感じかな。)
「あら?フミヤ様。私のことを守ると言ってくれたのに、これは浮気というやつですか?
フミヤ様!拗ねますよ!」
俺とリリィが話していると、セシル姫の大きな目が俺(魔石ペンダント)を見ている。
そして、セシル姫が口を開く。
「それは〜魔石ですか〜?
魔石から声が聞こえますわ〜。
男の方の声がします〜。」
「セシル姫は、フミヤ様の声が聞こえるのですか?!
魔石ペンダントに入ってるときに、フミヤ様の声が聞こえるのは姫が初めてですわ。
フミヤ様!フミヤ様の声が聞こえるようですわ。」
(そうみたいだな。
セシル姫!俺は、リリィを守っている精霊フミヤだ。よろしく頼む。
今回、君の護衛?いや違うな。悪魔を操って君を守るのが仕事のようだ。
任せてくれ。しっかりやるつもりだ。
しかし、なんで聞こえるんだろうな?!
もしかしたら、リリィのように俺のこと見えたりするのかな?!)
「ふふふっ。よろしくお願いいたしますわ〜。
……多分見えません。私は弱視ですから〜。
目が悪い分、耳が良いだけですわ〜。」
セシル姫は、そう言うとニコっと微笑んだ。
俺は、金色に輝くセシル姫の目を見てふと思った。
(………魔眼……。
リリィ。セシル姫の目、あれは魔眼ではないのか?昔、本で読んだ特徴にそっくりなんだが。金色に輝く目。)
「フミヤ様、まっ魔眼ですか?!
なんですか?それは、私は存知あげないのですが…。」
(う〜ん。なんて説明したら良いのかな。
まあ、簡単に言えばスキルなんだけど。
普通に見たら決して見えるはずの無いものが見えたり、見えるはずの無い遠くのものが見えたり、未来が見えたり。
魔眼と言っても色々あるから、能力によって色々あるんだよ。
セシル姫、そういうことないかな?)
セシルは、胸の前で手を合わせて答える。
「今は視力も下がりほとんど見えませんが、幼き頃は〜それこそ城の塔から王都前の町の衛兵の顔が見えたり〜この辺りに漂う紫の魔素が見えたりしましたわ〜」
「せっセシル姫!魔素が見えていたのですか!
えっえ〜!それって凄いことですよ!
ふっフミヤ様!こっこれは、魔眼ってことですよね!」
(そうだな。魔眼だな。スキルとしての自覚は無いのかい?セシル姫。)
「はっはい。私のスキルは〜射撃と火属性魔法です。魔眼は無いです〜。」
(リリィ!俺の憑依って、スキルでは無いと思っていたら、スキルだったんだ。
それから考えると、認識できていないスキルもあるんじゃないかな?
セシル姫、君はエルフの血が入っているということは、体内に魔石があるよね。
魔眼がスキルかどうか調べる方法があるんだが……。ただ、少し痙攣してしまうからなぁ。)
「……構いません。調べていただけますか〜。幼き頃〜とても不思議だったのです。
皆が見えない物が〜見えることが。」
俺は、セシル姫に向けて憑依を念じる。
体を持っていかれ、魔石に収まる。
そして、視界が切り替わる。
目の前のリリィが、ボヤけて見えない。
これが、セシル姫の見ている世界。
そして、頭に"射撃" "火属性魔法" "魔眼(劣化)"と浮かぶ。
俺(セシル)は、リリィに対して口を開く。
「リリィ。うん。やっぱり魔眼だった。
でも、魔眼(劣化)となっているよ。
恐らく、魔眼のままで生活をしてきたから視力に影響を及ぼしているんだよ。」
俺(セシル)はそう言うと目に手を当てて、聖属性魔法" ヒール" を唱えた。
目に温かい光が、入り込む。
そして、スゥっと光が収まり俺(セシル)は、目を開ける。
リリィの綺麗な顔が見えた。
「あっ!見えた!ヒールを掛けたら見えたぞ!あっ!………だっダメか。一時の視力回復だったか…。」
このやりとりを王とギルド長、副ギルド長は黙って見ている。
リリィが言う。
「フミヤ様!ヒールで一時良くなるのでしたら………私なら何とかできるかもしれませんわ。」
リリィは、そう力強く言うと俺(セシル)に近づく。
そして、左右の目に手をかぶせる。
「フミヤ様!いきますわよ!
……………聖属性魔法 "大聖女の癒し"……」
部屋全体に広がる光。
これには、王もギルド長も副ギルド長も驚愕し、声を上げる。
「こっこれは!何という、ちっ力、力なんだ!」
俺(セシル)は、視界が光に染まる。
しかし、そこに嫌な感じはなく、とても安らかなとても心地よいものだった。
そして、わかるのだ。この光がセシルの目の悪い所を一つ一つ丁寧に癒していっているのを。
数分間光を浴びて、全ての光が俺(セシル)の目に吸い込まれていく。
そして、俺(セシル)は目をゆっくりと開ける。
(おお!見える!うん?
ああ!この紫の煙が魔素なのか!
魔素がリリィの体に入っていくよ。
さっきの魔法で使った魔素の補充なんだな!
おっ!魔眼の劣化の文字が消えている。)
「フミヤ様!魔眼を切ったほうが良いのでは無いですか?
すぐには、悪くならないでしょうけど、使う時に発動するようにしたほうが良いと思います。」
(そうだな!ヨシっ魔眼スキルオフっと!
うん。切ったぞどうだなんか変わったか?)
「はい!目の色がグリーンに変わりました!これで大丈夫ですね!」
(そうだな。良く見えるようになったし、問題無さそうだ。
王よ、セシル姫の目を治したぞ。
生まれてから" 魔眼 "というスキルを気付かず使い続けた結果、視力が悪くなるという状態だったんだ。
まあ、治したのはリリィの聖属性魔法" 大聖女の「うわわわわわわ!ふっフミヤ様それ以上は、言わなくて良いのですわ!
色んな意味で誤解を生みますから!」
リリィが俺の言葉を打ち消すように言うのだった。
その時、王がリリィの前に行き、手を取り言う。
「………リリアン殿。
隠そうとしても、あれだけの魔法を我らの前でして見せたのだ無理ですぞ。
貴方は、聖女様ですな。
それも、大聖女様が使うあれは、" 大聖女の癒し" 。
勇者パーティの聖女が修得したくても出来ないという聖属性の最高峰の魔法ですな。
大聖女が亡くなり、その魔法を知る術がなくなったと聞いていたが……。
フフフっ。でも、其方はそれを知られたく無いようだ………。
冒険者呟きリリィで生きていくと?」
「………私は、冒険者。フミヤ様に出会って冒険者、呟きリリィとなって幸せを見出したのです。冒険者として生きていきます。」
「そうか。
……では、我らも見なかったことにしよう。
良いなザイン、アン!
……で、精霊殿は今セシルの中にいるのですかな?」
俺(セシル)はソファに座る。
(ああ!そうだ。
魔眼を確かめる必要があったからな。
今、今セシルを動かしているのは俺だ。
まあ、王に向けて良いプレゼンになったろ?)
「プレゼン?とは?」
(あっ。ごめんごめん。
まあ、こんな感じで悪魔も操るんだよ。
体内に魔石があれば、これに抗うことは出来ない。いくら、高位の悪魔サタン級でもな。)
「なっなるほど!
精霊殿!どうか!どうか!セシルを!セシルを守ってやってくだされ!」
その時扉が乱暴に開き、入ってきた女3人。
「ふん!なんか騒がしいと思えば!
冒険者ギルドのギルド長と副ギルド長ではありませんか!
ふ〜ん。セシルの護衛の冒険者を連れてきたのですね!
ふん!悪魔相手に何をしても無駄だというのに!貴方も本当に諦めが悪いですわね!」
捲し立てる女。
ああ、コイツがアバズレ王妃ね。
その横の女二人が第一王女と第二王女か。
人相からも滲み出てるな。性格の悪さが。
そう思っていると、王女二人が俺(セシル)に絡んでくる。
「お前、悪魔の嫁になるんだってね!
お似合いじゃない!
忌子と悪魔、お似合いお似合い。」
俺(セシル)は、その瞬間第一王女の顔面にパンチを打ち込んだ。
ぶっ飛ぶ第一王女。
続けて第二王女の足元にサンダーボールを投げつける。
第二王女は、その場にヘナヘナと座り込み失禁していた。
「こっこの!忌子の分際で!
私の娘に!
許しませんわよ!」
俺(セシル)は、右手を前に出し、サンダーボールを掌に漂わせながら、アバズレ王妃に近づく。
ジリジリ壁際に追い込む。
そして、セシルの口調を真似て言う。
「あらぁ〜お義母様〜ご機嫌麗しゅうございますわ。
忌子の私は明日、悪魔に嫁入りですわ〜。
私に暴言を吐くということは〜
悪魔に盾突くということですわよ〜
……………
" 死にたいのか?! " 」
サンダーボールを漂わせた掌が王妃の顔ギリギリを通って、壁に "ドン"と打ち付ける。
いわゆる壁ドン状態だ。サンダーボール壁ドンだ。
そして、耳元で言う。
「 " 殺すぞ " 」
アバズレ王妃は、そこで気絶した。
ザマァだ。
(王よ。こいつら、兵士に運ばせろ。
目障りだ。)
そう言って、俺(セシル)は、リリィとハイタッチするのだった。
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