第7話 昇格?

町に少年少女達と共に戻る。

ゲスのゴブリンの嘆きの三人を少年少女達がひきづって。


どうやらこのゴブリンの嘆きの三人は、どうしようもない奴らで、冒険者達、ギルドともに手を焼いていたという。


特に女達には、かなりの悪さをしていたようだ。


この少女二人もゴブリンの嘆きの三人の顔を蹴り飛ばしながら町に戻ってきた。


三人の顔は、見るも無惨な顔になっていたのである。


町に着くと門の所にいた衛兵達が駆けつける。


「なっなんだこれは?なっ何があった?!」


少年がリリィに変わって説明する。


「このDランクのゴブリンの嘆きの三人が、

このお姉さんに魔法を撃って、襲おうとしていたんだ!

俺達は怖くて見ているだけだったけど、このお姉さんがとても強くて!

返り討ちにしたんだ!

皆さんも知ってるでしょ!コイツらが散々好き勝手に暴力の全てを奮っていたのを!」


「確かに、いつも被害届けを出されるけど現場を抑えることが出来なかったんだ!

そうか!君達が見ていた!証人だな!

コイツらは牢屋に掘り込む!

しかし、コイツら仮にもDランク。

君、とても強いのだな。

Cランクなのか?」


衛兵はリリィに声を掛けた。


「いえ、私は冒険者に成り立てのGランクです。

全ては、特殊なスキルのおかげです。

スキルのことは、言わなくて良いはずですが。」


「ああ。スキルは個人の秘匿とするもの。

言わなくて良いよ。

なるほど、特殊なスキルを持っているのだな。

助かったよ。コイツらは冒険者と名ばかりの悪党だ。今までのことも含めると死刑に値する。

コイツらの財産いくらあるかわからんが、

ギルドに預けておく。

君の名前は?」


リリィは登録証を見せる。


「本当にGランクなんだな。

リリアン。承知した。ギルドに預けておく。」


「いえ、この子達に財産は譲りますから。」


「う〜ん。取り敢えず君が受け取って、そこからこの子達に渡してくれないか?

ギルド的にも君がこの悪党どもを成敗したことをしっかり記録したいだろうからな。

今日中には、ギルドに渡せると思う。

良いかな?」


「わかりました。それで結構です。

貴方達、明日の朝ギルドで会えるかしら?

その時に、お渡しするわ。」


「ふふふっ。呟きリリィさん!

わかったわ。

私達もコイツらを蹴れて、スカッとしたわ。

じゃあ、明日朝ギルドで!」


「あの〜その呟きリリィって二つ名。

やめてもらっていいかな?

恥ずかしいから。」


「いいじゃん!二つ名は本人どうのこうのじゃなく、周りが呼ぶもんだし。

私達は、呟きリリィさんと呼ぶわ。」


困った表情のリリィ。

俺は、そんなリリィを見て笑ったのだった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


翌朝、俺はリリィの魔石ペンダントに入って、ともに冒険者ギルドに行く。


「フミヤ様。この後どうしますか?

王都に行きますか?」


(ハハハっ。また俺と会話していたら、呟きリリィと言われるよ。

嫌なんだろう?)


「もう良いですわ。

もうすでに、昨日夕飯を食べに行ったら呟きリリィで定着してましたもの。

沢山の女性に礼を言われましたわ。」


(そうだったな。

しかし、あれだけの数の女性達が恨んでいたんだな。

あれだけの数、全員で向かえばあのゲス三人にも勝てそうなものなのに。)


「無理ですよ〜。

フミヤ様の憑依は最強なんですよ。

人は必ず痙攣するんですから。

それに、魔石を体に持っている奴がいたら、

仲間同士撃ちができるんですから。

フミヤ様は、最強です!

勇者にも勝ててしまうのではないですか?

勇者が痙攣しているうちに魔法を打ち込めばいいんですから。」


(それは、言い過ぎだよ。

勇者だよ。そんな痙攣なんて無効化するスキルを持ってんじゃないの?!

何かしらあるはず。だから、勇者なんだし、冒険者ランクもSSランクなんだよ。)


「そうなんですかね〜。

でも、私には最高最強の用心棒です。

お仕えしてる身ですが、フミヤ様は私を守ると言ってくれましたもの。」


(はいはい。リリィ。守りますよ。

あっ。あの子達外でリリィを待ってるよ!)


冒険者ギルドの前で昨日の少年少女達四人が笑顔で待っていた。


リリィは、少年少女達を連れて冒険者ギルドの受付に行く。


受付のお姉さんから、ゴブリンの嘆きの財産を受け取る。


麻袋に金貨20枚と銀貨が沢山入っていた。


リリィは、それを少年少女達に約束どおり全て渡す。


少年少女達は、半分でいいと言っていたがリリィは自分の麻袋を見せて沢山お金は持っているから、約束どおり渡すと言って押し付けた。


少年少女達は、大喜びだ。


これだけの稼ぎをあげるには、今のGランクでは到底無理だからだ。


少年少女達が盛り上がっている時、受付のお姉さんさんがリリィに言う。


「ギルド長がお会いしたいとの事です。

どうぞこちらへ。」


リリィは、受付のお姉さんに連れられ二階へと上がる。


二階の一番奥の部屋に通される。


ギルド長は、とても大きな男だった。

以前冒険者をしていたのだろう。

顔にも古傷らしい傷を持った男だった。


「ギルド長のロイドだ。

リリアン殿、まずは礼を。

助かった。ありがとう。

あの三人には、うちも苦労させられていたんだ。

今まで被害を受けた人達もこれで救われるだろう。

なかなか、現場を抑えることができなくてね。

証拠がないだろう!といつもかわされていたんだ。

君は、特殊なスキルで返り討ちにしたと聞いた。

仮にも相手はDランクだった奴らだ。

君をGランクに置いておくのもどうかと思ってね。今回の件でランクアップしようと思う。

Eランクに昇格する。

Eランクまでなら、私の裁量で上げることができるからね。

君は、ここに留まり冒険者を続けるのかね?」


「Eランクにいきなりですか!

………まあ、有難いことですわね。

ありがとうございます。

いずれ、王都に行く予定です。

いつかは、言えないですけど……」


(リリィ。1週間ほどここで活動しようか。

魔物からスキルを奪いたいし。)


「……あっ。1週間は、ここで活動しようかなと思いますわ。

その後、王都に行きますわ。」


「そうか。王都か……。

噂は聞いているかい?

王都周辺で悪魔が徘徊しているという噂を。」


「あっ。フミ……いえ、はい。

聞いていますわ。」


「どうも高位の悪魔らしくてね。

王都の冒険者ギルドでも手を焼いてるらしいんだ。

冒険者もかなりやられたとか。

そんな状況なのに、王都に行くのかい?」


「………はい。

冒険者ですから。

悪魔に出会ってしまったとしても、それも冒険です。

意外と私は、無事かもしれませんし。」


「………なら、いいんだ。

余計なお世話だったね。

帰る時に、ランクの更新を受付でするといい。

受付には、話を通してあるから。」


「お気遣い頂きありがとうございます。

後、1週間お世話になります。」


リリィは、ギルド長の部屋を後にした。


(ギルド長、イカツイけどいい奴だったな。)


「フミヤ様。悪い奴なら痙攣させていたでしょう。

危ないお方です。フミヤ様は。」


(……しっ失礼な!ちゃんと見極めてるよ!)


「ふふふっ。高位の悪魔に恐れず、スキルを強奪しようとしてる方は、危ないお方ですぅ。

ふふふっ。」


今のリリィ、凄く可愛いかったんだけど。

思わず赤くなる。


って言っても魔石ペンダントの中にいるから、リリィにはバレないんだけど。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


リリィはEランクに昇格し、Eランクの依頼を受けるようになった。


今日も、俺は魔石ペンダントの中にいる。


掲示板をリリィとともに眺める。


ーーーーーーーーーーーーーーー


オークの殲滅

森の浅い所でオークが五体目撃報告有り。

オーク五体討伐し、その体を提出。

依頼達成報酬 金貨一枚。

素材の金額は別途支払い。


ーーーーーーーーーーーーーーー


(オーク五体で金貨一枚か。

割が良いんじゃないか?俺達ならいけるだろう?

よく残ってたな。この依頼。)


「フミヤ様は感覚がおかしいのですよ。

普通オーク五体相手するのに、どれだけの人数がいると思ってるのですか。

私は、無理ですよ!」


(俺も一人じゃ無理だよ。順番に痙攣させても仕留めるには今の魔法じゃオークみたいな頑丈な奴一発じゃ無理だもんな。

痙攣させて、リリィの剣で首を落として貰わないと上手くいかないよ。

俺達二人ならいけるだろう?)


「ふふふっ。私達二人なら、確かにいけますね。フミヤ様が痙攣させる係。

私が首を落とす係。役割分担ですわ。

この依頼にしましょう!」


リリィが依頼書を持って受付に行く。


「あっ。呟きリリィ様。

依頼書、拝見します。

………呟きリリィ様。こちら確かにEランクの依頼ですが……パーティでということを推奨しております。

一人では危険ですよ。」


「駄目ですか?

討伐するイメージは出来ているのですけど。」


「………あっ。呟きリリィ様は、特殊なスキルがあるとか。

でも、大丈夫ですか?無理されてませんか?

命あっての冒険者ですよ。

討伐したオークの体を提出してもらわないといけませんが……一人で運べないのでは?」


「ふふふっ。心配してくれてありがとう。

無理はしてませんよ。

体の提出も大丈夫です。

忘れましたか?私はアイテムボックスのスキル持ちですよ。」


「あっ!そうでした!

忘れていました。

じゃあ、この依頼本当に受けられますか?

気を付けてくださいよ!」


「はい。ありがとう。」


リリィはこの依頼を受けたのだった。


ギルドを出て、森へ向かう。


(あの受付のお姉さん。

良い人だな。本当にリリィのことを心配してくれてるよ。

王都に旅立つ時、何かお礼したほうがいいな。

リリィに優しくしてくれる人には、何か返したいよな。)


「そうですね。なんかとても嬉しいです。

今まで人に優しくされたことなんて、母とフミヤ様しか居ませんでしたから。」


(俺は、幽霊だけどな。)


「……そうですけど、元は人族ですよね!」


(ああそうだよ。この世界の人ではないけどな。)


「まあ!フミヤ様は、そうやってすぐ私が言ったことを否定するのですから!

……拗ねますよ。」


(ハハハッ!拗ねるの?

それもちょっと、見てみたいな!

ハハハッ!冗談冗談!冗談だよ!)


頬を膨らますリリィ。

その仕草がとても可愛く、少し弄ってしまったのだった。


森の中に入っていくと、遠くから必死に走ってくる四人がいる。


あの少年少女達だ。


「あっ!呟きリリィ!

この先は、危険だよ!オークがオークが五体出た!」


「ふふふっ。その五体を狩るのが私の依頼なの。」


「でっでも!あっあのオークは普通じゃないわ。

ベテラン冒険者パーティが簡単にやられてしまったわ。

私達を庇って……。」


「ふっ普通じゃないって、どういうこと?

助けに行くわ!」


「うっうっうっ。もっもう死んでるわ。

あっ頭が飛んだもの。」


(リリィ!生き残りがいるかもしれない!

急ごう!)


「行くわ!皆んなは、一応ギルドに連絡を!」


「はっはい!呟きリリィ!死なないで!」


リリィは、先を急いだ。

俺は魔石の中でいつでも行けるように、警戒する。


リリィが足を止める。


「なっ何?あのオーク。

………フミヤ様。あれは、オークではなく、ハイオークです!

鎧を着て武器を持っています。

なんでこんなところに、ハイオークが……。

知識と知恵を持った個体が他に居るということなの?」


その時、そのハイオークが何かを掴む。


女の冒険者だ。


まだ生きている。


(まだ生きてる!

おい!リリィ!しっかりしろ!

痙攣させた後、頼むぞ!)


「あっ!はい。承知しましたわ!」


俺は、女の冒険者を掴んでいるハイオークに憑依する。

そして、女の冒険者を地面に下ろした後、次々にハイオークに憑依していく。


ハイオークが次々に痙攣する。


リリィが、剣を振り落としていく。俺は魔石ペンダントに戻る。


痙攣が解けるのが早い。

俺は、又憑依する。そして、魔石ペンダントに戻る。


リリィが、五体のハイオークの首を狩る間に何回も憑依を繰り返した。


個体が強力になると痙攣が解けるのも早い。


俺の特技も、ハイオーククラスでギリ通用するかしないかなのか………。


高位の悪魔は、痙攣させることができなさそうだな。体は乗っ取れるだろうけど。


これは、少し考えないといけないな。


「ふっフミヤ様。おっ終わりましたわ。

どっどうしましたか?」


(いや。何もないよ。

取り敢えず、リリィあの女の冒険者にヒールを掛けてやってくれ。後の男三人は頭が飛んでる。死んでる。)


「はっはい!承知しましたわ。

" ヒール "

貴方!大丈夫ですか。ヒールを掛けました。

気を確かに!」


「……うっうわぁ〜うっうっうっ。

エレン達が……うっうっう。」


女は泣き崩れる。


リリィは、女冒険者を抱きしめる。


リリィの胸で、女は泣き叫ぶ。


リリィは、優しく抱きしめるしか出来なかった。


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