258話 ヒラギス公都、獣人の里にて

 リリアとフランチェスカをリシュラ王都へと転移で送った後は直接獣人の里、ビーストの町へと転移しても良かったんだが、帝王陛下を放置ではそれはそれで後で面倒なことになりそうだと、嫌々ながらお迎えに行くことにした。フランチェスカからも立場を考えろと釘を刺されたばかりでもあるし。




「そういえば、ウィル。シャルレンシアがまた一緒に狩りがしたいって言ってたぞ」




「そうですね。ヒラギス国内に残存する魔物はまだまだ多いですから、私も是非ともお手伝いせねばなりません」




 ヒラギスのエルフ屋敷に戻って俺が声をかけると、そう言ってウィルはお茶の席から立ち上がった。どうやらお茶の席から抜け出す口実にしたいようだ。フランチェスカも居ないことだしな。




「ウィルフレッドが魔物狩りをするの? 見てみたいわ!」




 それにウィル姉のヴァイオレットちゃんが強い興味を示した。




「姉上、遊びではないのです。とても危険で戦えない女性を同伴などできるものではないのです」




 真面目くさって言うウィルであるが、探知があれば奇襲は受けないし、エルフの圧倒的な魔法攻撃でほぼ勝負は決まる。実際のところそう危険でもない。


 ヴァイオレットちゃんは不満げだが、不測の事態や非戦闘員を連れる面倒を考えればお留守番していただくのが無難であるが。




「俺たちはこのあとビーストの町へ行って、城壁と農地作りの進捗の確認と手伝いをするんですが、お二人はどうしますか? 午後からはここに戻って剣術の修行をする予定です」




「そうですわね……お仕事のお邪魔をしても悪いですし、ここでカマラリート様とお話しして待っておりますわ」




 城壁や農地作りと聞いて少し考え、そう答えた。こっち方面にはあまり興味がそそられないらしい。まあ字面だけ聞くと地味な作業と思いがちだろうし。




「帝王陛下はどうします? 俺についてくるより、ウィルの狩りを見に行くほうが面白そうなのでは?」




 ウィルを連れて大人しく待っている帝王陛下のところへ意向を確認しにいく。




「いやいや。今日はマサルの働きぶりをぜひとも拝見したいと思っておるのだ」




 ウィルフレッドの実力は午後の剣術修行で見せてもらおう。そう帝王陛下は宣う。


 色々見せてしまうことになるが、エルド将軍あたりはすべて把握しているだろうことばかりだ。帝国とは関係を修復できたが、ウィルパパやウィル兄との遺恨がないでもない。帝王陛下と仲良くしておくのが得策というものだろう。




「ではそのように」




「それでシャルレンシアはどこでしょう?」




 ウィルにそう尋ねられたが俺も知らなかった。俺が起きる前に出発してたみたいだしな。だがエルフに聞いてみたらオレンジ隊の一人が答えてくれた。




「エリザベス様に転移してもらって東部砦周辺に行っているようです」




「ではオレンジ隊から何人かお貸しいただけますか? 私も東部砦へ行って狩りながら、合流できれば合流しましょう」




 じゃあ先に東部砦だな。ウィルと同行するエルフは屋敷の警備から数人志願をしてくれた。




「ちょっと待っておれ」




 狩りに出るエルフの準備を待っていると、帝王陛下がそう言ってカマラリート陛下のところへとすたすたと歩いていく。あーあー。


 帝王陛下の突然の自己紹介。そして小さい悲鳴に続いて、どんがらがっしゃーんと派手にテーブルが倒れる。




「うわっはっはっはっは。ヒラギスの新しい大公は繊細なようじゃの!」




 帝王陛下はそう言って大笑いしながら戻ってきた。驚くのはわかってるだろうに、人が悪い。




「まだ子供ですよ」




「だがヒラギスの王なのだ。この程度で狼狽えてどうする?」




 それも道理だが、フランチェスカでさえ狼狽えるほどなのだ。十二歳ほどの少女に帝王相手でも堂々としていろというのは酷というものだ。




「宰相がしっかりしてますし、あと何年か慣れれば大丈夫ですよ」




「そのように悠長に言っている余裕があれば良いのだがな」




 何か知っているのか、それともただの一般論だろうか。




「俺たちも手伝いますし、心配はいりません」




「ふむ。まあウィルフレッドが婿入りするのなら何の心配もなくなるのだがな」




 それはウィルに対する過大評価だとは思うが、最近はかなりしっかりしてきたし、王様向きかどうかはともかく度胸もある。カマラリート陛下よりかは安心してヒラギスを任せられそうなのは確かだ。




「お祖父様!」




 まだその件は未決定、剣闘士大会で優勝すればウィルはフランチェスカと結婚できる約束だ。




「でもフランチェスカもいい娘でしたでしょう?」




「しかしそうなるとウィルフレッドを外に出すことになるのがな」




 帝王陛下は俺の言葉に頷きながらも二人を実際に見てなお、カマラリート陛下に心が傾いているようだ。ヒラギスでも婿で同じだろうと一見するとそうなのだが、フランチェスカとだと完全にあっちに主導権を握られることになりそうだ。それに王配と公爵令嬢の婿では立場も段違いとなる。やはり貴族の婚姻ともなると人柄や能力より立場や地位が優先ってことなのだろうか。




「約束は守ってもらいますよ」




「むろんだとも。どちらになったとて良き婚姻となろう」




 なんか悪い顔をしている。フランチェスカになってもどうにかする心算でもありそうだ。




「フランチェスカになったからって、王国に働きかけてどうにかするのはなしですよ?」




「ダメか? 転移で行き来すればいいと思うのだがな」




「フランチェスカはリシュラ王国で将軍になるのが望みなんです」




 その前に俺たちに協力して働きたいようだが……




「たとえば外交官として一〇年ばかり帝国で功績を積んでからでも、自国で将軍になるのは遅くはあるまい?」




 確かに悪くはなさそうだが、本人の意向を無視してはいけない。




「ダメですよ。帝王陛下が王国に言えば簡単に通ってしまうでしょう? ほんとうにダメですからね?」




 帝国と王国は隣国同士で関係は深いし、帝国の国力は王国を圧倒する。フランチェスカくらい簡単に差し出してもおかしくない。そもそもが王国にとってとてもいい話ではあるのだ。


 


「ふうむ。しかし実際のところウィルフレッドは勝てそうなのか?」




 うーん。さっきはちょっと簡単に倒しすぎてウィルとの実力差が計れなかったんだよな。




「サティはどう見た?」




 間近で観戦していたサティならわかることがあるかもしれないと思い聞いてみる。




「フランチェスカ様はかなり強くなってましたし、まだ手の内を隠してる感じがしました。ウィルさんとはいい勝負になりそうですよ」




 やはり似たような期間、似たような環境で修行していたのだ。そう簡単に優劣はつかないか。まあ少なくとも以前は勝てなかったのだ。互角という評価なら上出来だろう。




「俺の見立てもそんなところです。結局のところやってみないとわからないでしょうね」




 スキルやステータスで圧倒的に優位なんだから後は修行次第というところか。


 そんなことを話しているうちにエルフたちの準備ができたので東部砦に転移する。今度は帝王陛下も砦を見てみたいというので一緒だ。




 現地のエルフに聞いてシャルレンシアの狩場のだいたいの方向が確認できたのでウィルはさっそく出発していった。帝王陛下御一行は砦の見学である。




「立派な砦ではないか。これが簡単に抜かれてしまうか……」




「これは修復後ですからね。城壁は抜かれる前より五割増しで強化してありますよ」




 より分厚く、より高く。さらにここから鉄筋工法で補強もする予定だ。エルフの部隊も常駐しているし、次はそうそう陥落はすまい。




「マサル殿が一日で修復してくれたのですよ、陛下」




 エルド将軍がそう付け加える。この砦はエルド将軍の軍と共に奪還したのだ。あれからまだ一カ月ほどしか経っていないが、ずいぶんと懐かしく感じる。




「これを一日でか? それも一人で? でたらめじゃの」




 エルド将軍は余計なことは言わんでよろしい。




「この後は城壁作りもするのであろう? 実際見るのが楽しみだな」




 ビーストの町は二重の城壁を作る予定で内周は完成したが、外周は俺がやる予定だったのと、鉄筋工法の話が出たのもあってほぼ手つかず状態だ。




「先に農地ですかね」




 城壁は作る前にどうする予定か相談が必要だ。そんなことを話しながら砦の上から手早く転移を発動させる。




「ちょうど良かったわ。そろそろ農地作りを進めてほしかったところ……」




 ビーストの町の俺たちの新たな居城に転移し、エリーを探して捕まえたところ、ぞろぞろとついてきた帝王陛下御一行の正体にすぐに気がついたようだ。




「な、なんで陛下が居るの!?」




 エリーは素早く俺の陰に隠れ、小声で俺を詰問する。




「ほら、ウィルの姉妹が遊びに来るって連絡しておいただろ? 便乗して付いてきちゃって、追い返すわけにもいかないし」




 まあ実際のところ大人数を転移するのも手間はそんなに変わらないし、俺に面倒もかけないよう、多少は気を使っている節はある。だいたい困っているのは俺以外の行く先々の人々である。




「お主がエリザベスじゃな? 今日はお忍びゆえ、そう畏まらずとも良い」




 そうは言ってもエリーは元は帝国の貴族であったのだ。はいそうですとはいかないだろう。




「邪魔ならここで追い返しとく?」




 俺がこっそりそう話すとエリーが顔色を変える。




「そんなことしていいわけないでしょう!」




 もう十分見学もさせたし楽しんだだろうし、ちゃんと話せば帰ってくれると思うんだけどな。




「マサルが失礼しました」




 エリーが素早く立ち直り、帝王陛下の前に行き、丁寧に膝をつく。失礼って失礼な。内心はともかく、表面上はかなり丁重にしてると思うのだ。




「エリザベス・ヤマノスでございます。此度はエルドレッド・ガレイ陛下におかれましては――」




 エリーが滔々と歓迎の挨拶の言葉を述べていく。こうして目の当たりにしてみれば、帝王もなかなか大変だ。気軽に出かけられないし、行く場所行く場所でこんな扱いされたらさぞかしうんざりだろう。




「じゃあ挨拶も終わったことだし、立った立った。帝王陛下もお忍びだし、そんなに気を使わなくて大丈夫だから」




 うむうむと鷹揚に頷く帝王陛下にようやくエリーが立ち上がる。




「そういえばアンとか師匠は?」




 挨拶も終わったので姿の見えないアンやティリカ、師匠の行方を尋ねる。




「お師匠さまはまだお休みされているようです」




 エリーの側に控えているミリアムがそう教えてくれる。午後からの修行に備えて力を溜めているのか。師匠はもう一〇〇歳だ。やろうと思えば若いのに引けを取らないくらい動けるのだとは言うが、さすがに休みは多めに取らないと辛いようだ。




「アンたちは東方国家に避難していた人たちが戻ってくる準備をしてるからその手伝いね」




 アンとティリカ、シラーちゃんで朝からヒラギス南方の、東方国家の国境方面へとお仕事だそうである。




「ええっと、それでね。ビーストの町の住人募集の集まりがいま一つなのよ」




 やはり北方砦のすぐ近くという立地と、あとはゼロからの建設でちゃんと生活できるか心配するものが多いせいだという。それでアンはビーストの町の宣伝を獣人たちにするのも兼ねての派遣で、俺には今日は農地を一気に整備してもらいたいのだとエリーは言う。


 麦の種まきをするならそろそろ農地ができていないとまずいのだが、俺が担当だったから農地の予定地は木を切った程度。農地は無償提供する予定らしいが、現物がない状態では絵に描いた餅。信用されない。




「城壁は?」




「そっちはまだいいわ。農地の拡張もまだしたいから城壁の位置も変えようと思って」




 いつもの行き当たりばったり対応だが、そもそもが獣人の里の建設を決めてまだ半月ほどなのだ。城壁の位置も最初に適当に決めただけなので、こういった計画変更は当然のことだろう。




「了解。じゃあ今日は農地をがんがん作るか」




 そう言って時間も惜しいと現場へと向かうことにした。




「なんじゃ、城壁は造らんのか」




「まあ必要があれば、ですね」




 歩きながら帝王陛下がそんなことを言ってくる。農地作製は不人気だな。俺の使える一番役に立って平和的な魔法だと思うのだが。




「農地で思い出したんだけど、そろそろ水もどうにかしないといけないわよ?」




 ビーストの町の予定地には井戸程度はあるが農地に回せるほどの水源がない。それも移住を迷っている獣人が多い理由の一つなのだろう。




「じゃあリリアが戻ってきたらエルフの里に行こうか」




 精霊が入る用の小さい池は居城の横に造ってあるのだが、水路がまだ完成してなかったので保留していたのだ。ぞろぞろと農地へと歩いて向かいながらエルフの件もエリーに話していく。




「エルフは帝都で商売をしたいのか。それならうちの御用商人あたりを紹介してやろうか?」




「それは助かります」




 俺たちの話を聞いていた帝王陛下がそう提案してくる。王家出入りの御用商人なら、高級品を売りたいエルフの商売にぴったりだろう。




「では話を通しておこう」




 やはりトップダウンで話ができると楽だな。




「ところでその娘は?」




 そうエルド将軍がミリアムに興味を示した。俺の護衛や剣の修業で何度か一緒だったはずだが、ちゃんと紹介したことはなかったか。


 今日はエリーの護衛としてずっと居たミリアムだったが、わたしは関係ないとばかり極力気配を殺してずっと目立たないようにしていた。師匠直伝の隠密能力は、スキルも取らせたこともあって実は俺たちの中で一番じゃなかろうか。




「あの娘はミリアム。俺の嫁の一人で剣の腕がいいから護衛をやってもらってるんです」




 突然紹介されて頭を下げるだけでいいのか膝をつくべきがおろおろしているミリアムに、エルド将軍が声をかける。




「噂の師匠が付きっきりで面倒を見ているという秘蔵っ子か。こうして直接話すのは初めてだな」




 エルド将軍からするとそんな認識なのか。ミリアムってパーティ参加はヒラギス戦からだし、護衛がメインだしで特に目立った働きはないし、以前を調べても完全に無名だし。




「あ、はい。あの……」




 じっと見つめるエルド将軍の圧にミリアムが身をすくめる。




「違いますよ。俺の秘蔵っ子なんです。でもちょっと剣の腕で不足してる部分があったんで、師匠に相談して短期育成をお願いしてたんです」




「マサル殿のか……ではこの娘にも何か特別な能力が?」




 特別か。ミリアムはとにかく戦えるようにするのが先決と思って、オーソドックスに前衛スキルを取らせている。全然自己主張はしないし、今のままでも問題ないしであんまり考えたことがなかったが、何か独自路線も考えたほうがいいのだろうか。たとえばサティより魔力の伸びが少しはいいから召喚魔法とか取らせたり。空間魔法や光魔法は高レベルまで上げないといまいち使い勝手が悪いが、召喚ならレベル1からでも色々と便利だ。近いうちに機会を見て、ミリアムのレベルアップもやってみるか。それかどこか襲われている砦でもないものか。




「内緒です。俺のですからちょっかいかけちゃダメですよ?」




 そう言ってエルド将軍からミリアムを引き剥がすと、ミリアムはささっとエリーの陰に隠れてしまった。シラーちゃんなんかは見たまんま前衛タイプなんだが、ミリアムって雰囲気が戦う感じじゃないし、それで普段は目立たない。だから謎の秘蔵っ子というのもわからないでもない。護衛としても外せないから、ミリアムの育成は俺かエリーがもうちょっと暇になってからだな。










「これは……かなりがんばったな」




 町を抜けて城壁をくぐった先には、見渡す限りの農地予定地が広がっていた。元々の城壁予定地点をはるかに超えている。


 しかしあくまで予定地。俺の農地作成魔法で一気に仕上げる予定だったので、木を切り倒したのみである。切り株はそのままだし、雑草どころか低木、石や岩やもろもろの障害物がそのまま残っている。地形の凹凸だけはエリーが均して平にしてくれたのと、精霊の泉から引く予定の空の水路や道が通ってる以外は、ほぼほぼ自然そのままといっていい。


 確かにこれで農地をやると言われても信用はできまい。




「じゃあやるか」




 そう言って気合を入れて地面に手をつく。以前より魔力は増しているし、魔法の制御も上手くなっている。魔力を高めイメージを練り上げる。そして範囲を広げて一気に――




 農地開拓魔法が発動した。震動が起こり、土が盛り上がる。残っていたもろもろが土に飲み込まれていき、もわっとした湯気が地面から立ち昇る。


 湯気が晴れた先にはサッカーグラウンドほどの広さの、柔らかそうな農地が広がっていた。




「おお……」




 帝王陛下は魔法の発動に驚きの声を上げ、汚れるのに構わず膝をつく。そうしてしきりに土を手で触ったり掘り返したりしている。




「土が熱を持っておるな。これは土魔法か? 魔力消費はどんなものだ?」




 そう言ってものすごく食いついてくる。




「一応土魔法で、魔力消費は土壁を造るより少ないくらいですかね」




「ふむふむ。実に面白いな。この魔法をうちの魔法使いに教えてくれんか?」




「この魔法はマサルしか使えないんです、陛下」




 エリーがそう言う。エリーも練習していたのだがどうにもうまくいかない。エルフにも教えてみたのだがやっぱりダメだった。ある程度耕した状態にはなるのだが、不純物の分解ができないのだ。土魔法がメインであるが、火水風も使う複合魔法で、エルフですら再現できないとなると相当な難易度だ。




 エルフもダメだったと聞いて帝王陛下は落胆した様子だ。しかし俺しか使えないというのも確かにもったいない。どうにか誰かが習得できないか、暇ができたら考えてもいいかもしれない。


 仕事を片付けて早く楽になりたいのに、仕事をしながらも暇になったらやるべきリストが新たに積み上がっていく。ほんとなんでだろう? そんなことを考えながら移動しつつ、順々に農地を広げていく。そして別にその必要もないのに、全員いちいち俺に付いて歩いていく。しばらくして帝王陛下がぽつりと言った。




「お前は戦うより、この魔法で働くほうがいいのではないか?」




 いいな。俺もそっちのが絶対いい。だがそれでは生き延びられない。




「転移も使える。発明の才もある。あの鉄筋工法は世界の有り様を変える力がある」




 鉄筋はずいぶんと帝王陛下のお気に召したようだ。




「本気でわしの下で働かぬか? 王の地位は譲ってやれぬが、それ以外なら金でも女でも地位でも、望みのままになんでもやろう」




「いいですよ」




「マサル!?」




 エリーが驚愕の声をあげる。




「もしね、俺の代わりに魔王を倒してきてくれるなら」




 俺が承諾したと喜んだ帝王陛下がとたんに顔を厳しくする。




「そんなやつがどこかにいるなら、俺はそいつに従ってもいい」




 そうして農地を作りながら平和に暮らすのだ。




「冗談、冗談ですよ。魔王なんてただの昔話だ」




 それだけ言うと俺は次の場所へと足を向けた。ほんと、何かの冗談だったら良かったんだが。

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