220話 ヒラギス北方戦役 ~命の値段~
早朝の会議で北方砦の攻略は即決で決まった。
「まずエルド軍から精鋭を一〇〇名用意して貰った」
エルド将軍が頷く。作戦会議はもちろん、現地にも部隊を率いて出陣するつもりのようだ。
「それからビエルスの剣士隊が二〇〇名ほど」
うむと、師匠も頷いた。
「そしてオレンジ隊が二〇〇名」
エルフオレンジ隊は常に俺たちの周囲を固めていて、今も数名、拠点の大部屋の壁際に控えている。
それからもちろん作戦の主力は俺たちだ。留守番にアンとルチアーナで両方の町の防衛に一人ずつ。アンは連れて行くと神殿騎士団が少しうるさいのと、ルチアーナは転移も使えるので緊急時の伝令役も兼ねている。
「では作戦を確認するぞ」
とはいえ現地の地形は話を聞いてある程度把握しているものの、いま現在の状況や敵戦力がわからないことには詳細な作戦は立てづらく、かなり大雑把なものだ。
「まず俺とティリカ、リリアあたりの少人数で現地の近くまでこっそり潜入する。ティリカの召喚獣を出して、現地に橋頭堡を築く。ゲートで人員を一気に輸送して北方砦を制圧。俺とエリーで城壁を修復する」
城壁さえ抑えてしまえば……後は維持さえできれば魔物の流入は止まり、侵入された分を駆逐するだけで、ヒラギス奪還は成る。
「あとはいつもどおり、臨機応変にやる」
臨機応変。いい言葉である。火力で押し切ってなんとかするのが俺たちの基本スタイルだ。今更変えられない。
それから指揮系統やいざという時の撤退手段、城壁の防衛方針などについていくつか確認をしておく。
「では決行は一刻にじかん後。各人準備と休息を」
本当は会議後、なるべくすぐに出撃するつもりだったのだが、さすがに余裕がなさすぎると二時間の余裕を見ることにしたのだ。
俺も準備がいくつかある。北方砦奪取後の物資、矢だけは俺が運ぶ必要があるし、ついでに出陣するエルフの準備の確認と作戦の伝達も必要だ。ある程度はすでに伝えてあるが、転移でいきなり戦場に突入するから心構えもしておいてもらわないといけない。
「東方砦の交代はどう致しますか?」
ルチアーナがそう尋ねてくる。
「俺が先にやっておこう」
ヒラギスで北方砦と並ぶ、もうひとつの魔境への備えが東方砦だ。防衛状況は随時報告は受けてはいるが、時間はあるしもう一度自分の目で確認しておいてもいいな。北方砦を落とせたとて、他が陥落してしまえば意味がない。だが――
「バルバロッサ軍、もう長くは持ちません!」
東方砦で待ち構えていたのは、もうひとつの戦場の危機だった。
「じょ、城壁が破壊され、魔物が町へと。一旦は押し返しましたが、城壁付近を制圧され、修復ができない状況です!」
拠点で俺たちが来るのを待っていた伝令のエルフが言い募る。かなりまずいか?
「時間は?」
「わたしは先ほど到着したばかりです。ここからバルバロッサ軍のいる町へはリリア様なら四半刻30分程度でいけるはずです」
移動に三〇分。帰りは転移でいいから、一時間半は使える。現地の魔物を掃討して、オレンジ隊を派遣するには十分な時間だ。
「時間はある。助けに行く。いいな?」
「むろんじゃとも。くくく、奴に盛大に恩を着せてやろう」
今いるのは俺とリリア、ミリアムに師匠。少々手が足りないな。時間制限があるから火力がもっと欲しい。
「一旦戻る。エリーに状況を伝えて、連れて行く戦力も増やす」
転移の詠唱を始める。二時間で勝負を付ける。すでに二時間のうち五分ほどは消費しているが、正確な時計のないこっちは時間に大雑把だ。一〇分二〇分のオーバーは誤差としてみておける。
エリーに状況を説明してオレンジ隊の補充も頼んで、あとは適当に何人か……エリーは残って全体を見てもらわないといけない。アンは騎士団が一緒だと面倒だ。リリアは当然行くとして、あとはシャルレンシア、ルチアーナ、ティリカ。それに前衛組が何人か。バルバロッサ将軍のところへ移動してから転移で連れてきたほうがいいか? だがあっちの状況がわからんし、この程度の人数ならリリアの速度は鈍らないはずだ。
「エリー、緊急事態だ」
拠点に転移すると、エリーたちはまだ残って作戦の見落としや穴がないか相談していた。
「ティリカ、シャルレンシア。あと前衛が一人か二人いますぐ来てくれ。バルバロッサ軍の救援に行く」
「ええっ!? 今からなの?」
エリーが驚きの声を上げた。
「あっちはすでに城壁を抜かれて余裕がないそうだ。作戦までには戻る。ああ、あとエルフの里へ行って、バルバロッサ将軍への増援を頼んでおいてくれ。よし、集まれ。すぐに転移するぞ」
東方砦に転移後、エルフの伝令を拾って出発する。
フライで移動しながら伝令に詳しく聞いてみると、そもそもが疫病騒ぎのお陰で戦力が分断するわ、物資が届かないわで最初から状況はあまり良くなかったようだ。むろんバルバロッサ将軍もそのへんはわかっていて、北方からの大規模な魔物の襲来の報を受けると、わざわざ主要な街道から外れた町へと主力を撤退させた。
特に響いたのが物資だ。矢がないと防衛戦は魔法頼りになってしまう。そうして魔力が尽きたところに城壁の破壊だ。
「あれ? でも主要ルートから外れて撤退したんだよな?」
「はい、それがですね。マサル様が街道を封鎖しましたよね? 恐らくそれが……」
俺か!? 魔物の反攻が始まってすぐ、後方の町にいる軍が撤退する時間を稼ぐのに街道を一カ所、土魔法で堀を作ったのだ。単なる時間稼ぎのつもりだったが、魔物も堀のある主要ルートを避けて、事もあろうにバルバロッサ将軍が逃げた先に戦力を集中してしまったようなのだ。
「お、俺のせいじゃないよな?」
魔物やバルバロッサ将軍の動きなど想定の範囲外。俺の責任にするにはさすがに難しいはずだ。だがはっきりとした否定の言葉は誰も発しなかった。
「うん、この話は聞かなかったことにしよう」
大事なのはこれからどうするかだ。俺が何もしなければしないで他に魔物が行っただけだし、むしろ逃げたバルバロッサが被害を引き受けてくれて助かった面があると言っていいんじゃないだろうか。うん、セーフセーフ。
そんなことより話しているうちに魔物の姿が見えてきた。結構な数が更に南方へ向かっているらしい。余裕があれば倒しているところだが、今は放置しておくしかない。
「もう間もなくです」
その伝令の言葉でリリアに指示をして高度を上げさせる。高度を上げると敵に見つかりにくくなるし見通せる範囲も広くなって利点もあるのだが、あまり高度を上げすぎて空気が薄くなると人間もそうだが、精霊も苦しいらしく魔力消費が無駄に増えてしまうようで、それで普段は低空を飛んでいるのだ。
「ん、見えてきたな」
「城壁は壊れたままですが、まだ完全には押し込まれてないようですね」
サティが鷹の目のないメンバーのために説明する。そしてチャンスとばかりに魔物がその場所に集中している。城壁上も破壊された場所に近い部分から魔物に奪われて効果的な撃退ができてないようで、町中にバリケードを築いて必死に防戦しているようだ。
「城壁のあそこへ降りよう。降りたらリリア、すぐに外の魔物へぶっ放せ。城壁付近は……」
「わたくしが」
「ならルチアーナだ。城壁付近を殲滅したら俺が壁の修復をする」
「りくは?」
陸王亀のりく君の出番か……
「まだ必要なさそうだな」
城壁のほとんどの部分はバルバロッサ軍が確保しているから、足場の必要はないし、城壁を修復してしまえば余裕ができる。それにここで出して敵と誤認されてもやっかいだ。それに北方砦で活躍する予定だからティリカの魔力も温存する必要がある。
「皆のもの、口を閉じよ。突っ切るぞ!」
リリアが言うやふわっと浮遊感が来て、一気に加速に入った。凄まじい勢いで垂直落下していく。「ひぃ」と誰かの押し殺した声が聞こえた。俺も高空を飛ぶのにはさすがに慣れたが、垂直落下は怖い。ジェットコースターと一緒だ。落ちる心配はないとわかっていても怖い。
だがその速度のお陰で、町の周囲を飛び回っていたハーピーたちに対応する暇も与えず、ほとんど激突するような勢いで城壁に降り立った。
「うわっ!?」
驚く兵士に構わずリリアたちが詠唱を始め、前衛が魔法使い組を守るように割って入る。だがすぐに守備兵から歓声が上がった。
「エルフ? エルフだ!」
「エルフ? もう来てくれたのか!」
「やった、これで助かるぞ!」
バルバロッサ軍にもむろんエルフの名とその姿は轟いている。そりゃあもう何度も助けたからな! バルバロッサ将軍から蛇蝎のごとく嫌われているが、一般兵からは大変な好評を得ているからこそ、何度も何度も助けにいったのだ。まあこうやって配下の人望を掻っ攫ったのも嫌われた一因なのだろう。
ほとんど同時にリリアとルチアーナの範囲魔法が炸裂する。
「移動するぞ!」
次は城壁の修復だ。結構な範囲がぼろぼろになっている。一発じゃ無理だったが、町の城壁である。魔力消費はほどほどでさくっと作り終わる。
「じゃあオレンジ隊を呼び出して……」
「待つがよい、マサル」
「ん?」
「ここで勝手に町を守ったところで、バルバロッサの阿呆は一欠片も感謝せぬぞ?」
まったくその通りだろうことに異存はないが。
「じゃあどうするんだ?」
「ルチアーナ、シャルレンシア。二人はしばし城壁を守っておれ」
エルフの二人にそう指示を出すと、リリアは言った。
「交渉じゃ。彼奴に助けてくれと頭を下げさせるのじゃ。エルフの誇りにかけて!」
ふむ。まあそこまで言うならやらせてみるか。当面の危機は去ったし、時間は一時間以上残っているし。
バルバロッサ将軍の居場所は城壁からそう遠くない場所にあって、親衛隊ががっちり守って目立っておりすぐに発見することができた。
「また! 貴様らか!」
顔パス同然で通された天幕に入るなり、バルバロッサ将軍がそう怒鳴る。
「おやおや。助けてやったのにその言い草、無礼というものではないか?」
「助けてくれと言った覚えはない。貴様らが勝手にやったことであろうが」
リリアは許可も得ずに将軍の前の椅子に腰を下ろし、言った通りだろうと俺の方を見る。
「ならばこれ以上の助力は無用じゃな。魔物の波は最低でも二日は収まらぬが、頑張って生き延びるが良いぞ」
最低二日と聞いて、さすがのバルバロッサ将軍も「むぅ」と唸りを上げた。
「金か? いくら欲しい?」
「助けてくれと頭を下げるだけで良いぞ? 簡単であろう?」
「二〇〇万……いや五〇〇万でどうだ?」
五〇〇万ゴルドなら五億円相当。なかなかの報酬ではあるが……
「なんじゃその端金は。エルフを馬鹿にしておるのか?」
「では一〇〇〇万出そう」
「話にならんな。一億、それだけ出せば助けてやっても良いぞ?」
「な、そんな金額!」
一億ゴルドだと一〇〇億円相当か。大貴族といえどさすがに厳しい金額のようだ。だが払わないという選択肢もない。
もしバルバロッサ将軍が頭も下げない、金も出さないとする。しかし俺たちはどうあってもこの部隊を救うことは確定事項だ。金を惜しんだ将軍の声望は地に落ちる。むろん金を要求したことは褒められたことではないが、リリアは頭を下げれば良いとも言ったのだ。
軍人としてのキャリアに大きな傷がつき、少なくとも部下からの信頼は確実に失う。
まあそれ以前にこれまでの自分の態度を鑑みれば、無償で助けがもらえるとは絶対に思えないだろう。今は一息つけたとはいえ、このまま救援がなければこの町の前途は絶望的だ。自らの命がかかっていることを抜きにしても、将軍にはどうあってもエルフに縋るしか道は残されていない。
「状況がわかっておらんようじゃな。今はどこも手一杯、防衛だけでもギリギリの状況じゃ。そこを我らエルフでどうにか支えておる。本来なら他所に差し向ける戦力など欠片もないのじゃぞ?」
欠片もないってこともないが、ギリギリの状況で僅か二時間の猶予を見てこちらに来ているに過ぎない。
「我らは今反攻作戦、北方砦を奪取する計画を準備しておる。成功すれば今以上の魔物の流入は止まろう。ここでヒラギス奪還軍の一角が消えるのは痛いが、決して致命的ではないのじゃぞ?」
「しかし一億だと! 金の亡者め」
「貴様と部下どもの命の値段じゃ。払えない額ではなかろう? それとも頭を下げて助けてくれと縋ってみるかの?」
バルバロッサ将軍はそれだけは心底嫌そうな顔をしている。
「ふむ。では妾の質問に正直に答えれば半額にしてやろう。物納でもよいぞ。具体的には食料じゃな。お主の領地は良い穀倉地なのじゃろう?」
食料か。単なる嫌がらせかと思ったがリリアの考えていることがわかった。お金も食料の要求もヒラギスのためだったのだろう。リリアは溜飲を下げられる。ヒラギス民は助かる。一石二鳥ってやつだな。
それならば……とバルバロッサ将軍は少し考えて言った。
「質問とはなんだ?」
「コームの町でエルド将軍が窮地に陥った時、見捨てるつもりだったのかや?」
「……奴のために我が軍勢を危険に晒すなど、実に馬鹿らしい話ではないか?」
将軍はこちらに顔を近寄せ、声を潜めて言った。さすがに他に聞かせたくないのだろう。普通ならリリア以外にはほとんど聞こえない声だ。
「つまり見捨てるつもりだったのか?」
リリアも同じく小声で問い返す。
「……」
「答えよ」
「そうだ」
「よかろう。面白い話が聞けた。心配せずともこの事は黙っておいてやろう。むろんその無礼千万な態度を改めればな?」
「ふん。貴様らが何を言おうが誰が信じるものか」
弱みを握ったと嬉しそうに笑ってリリアが言うのに将軍は応え、再びふんぞり返る。態度を改める気は毛頭ないようだ。しかし金で雇った体だとはいえ、この態度。こいつだけなら絶対に見捨ててやるのだが。
「知り合いに真偽官くらいおるのじゃぞ?」
「我が家は何世代にも渡って王家に忠誠を捧げ信任を得、ここでも多大な犠牲を払い戦っている。下賤な亜人ごときの讒言などどうとでもなるのだよ」
ティリカが聞いていたとはいえ、隠れて聞いていた状況だと非公式扱いだ。それでも証言としては確かなはずだが、何か誤魔化す手管があるのだろうか。そう思ってティリカを見ると、軽く首を振られた。
「聞こえなかった」
そう小声でティリカが告げる。マジか。確かに立ち位置的には聴覚スキルでもないと声は届かない距離だ。さすがに聞いてもいないのに、話は聞かせてもらったと出てくるような真似はし辛いだろう。
「それよりも報酬はきっちり払ってやる。さっさと町の守りにつくがいい」
えー。じゃあせっかく貴重な時間をかけたのにバルバロッサを凹ますのは失敗かよー。まあそれは主目的じゃないし、お金か食料はたんまり手に入ったからいいけどさ。
「バルバロッサ殿、そこまでにしておくといい」
「なんだ、貴様?」
「バルバロッサ殿の言葉、私も確かに聞いた。それで不足はあるまい?」
そう言ってウィルが前に進み出て、ずっと被っていたヘルムを外して顔を晒した。
「ん……どこかで見たか……」
「王家への忠誠、嬉しく思うが、度重なる私の仲間への無礼、もはや見過ごすことはできん。帝国の方針としてエルフや獣人、ドワーフとの関係を改善しようとして久しいのだ。いい加減改めて貰わねばな」
そう語るウィルは、普段とはまるで違う真剣な表情をしている。最近は厳しく鍛えたお陰か精悍さは増し、真面目な顔をしているとイケメンっぷりが上がっている。
「ば、馬鹿な……ウィルフレッド王子? 王子がなぜこんなところに!?」
さーっとバルバロッサ将軍の顔が青ざめる。
「ここしばらくエルフと行動を共にしているのだ」
「お、お父上はご存知なのですか?」
ウィルの父は帝国軍の総司令で王位継承権一位。つまり次期ガレイ帝国国王である。王子としては八番目の息子で継承権とかはかなり下位だと謙遜していたが、このバルバロッサ将軍のこの狼狽えよう。やはりコネは大事だな。
「これは私個人での行動だ。だから問題がなければ報告の必要もないのだがな?」
「ほれ、王子殿もこう言っておるのじゃ。我らに礼の一つもないのかや?」
将軍は礼をと言うリリアを見て、再びウィルを見る。
「この方はエルフの第一王女、リリアーネ殿だ。バルバロッサ殿ほどの貴族なら、他国の王族に対する礼くらいは心得ていよう?」
ウィルにそこまで言われてようやく将軍も観念したようだ。リリアに向き直り、居住まいを正した。
「……リリアーネ殿の度重なる助力、大変に有り難く思っておる」
そう言うとほんの少し、頭を下げた。
「時間もないことじゃ。まあ良かろう」
そう言ってリリアは立ち上がった。
「ああ、そうそう。私がここにいることは内密に頼む。父上に無用な心配はかけたくないのでな」
立ち去り際、ウィルもそう言ってヘルムをしっかりと被り直した。家出して冒険者になってる時点で相当心配されてると思うが。
「これで彼奴は我らに頭が上がるまい。良くやったぞ」
リリアの言葉に俺もウィルに頷いておく。弱みも握ったし、ウィルのことは外には漏れまい。まあ漏れても全然構わないんだけどな。
「兄貴、今のはめっちゃいいタイミングでしたよね!」
元に戻りやがった。
「お前は普段からさっきみたいに真面目ぶってればもっとモテるんじゃねーか?」
「あー、もうこっちのほうが素っていうか、楽なんすよね」
もったいない。
「なんていうか兄貴と過ごしたこの何ヶ月かは、これまでの人生全部合わせたよりも濃いんすよ。こっちが本物っていうか……」
「おお、わかる。その感覚すごくわかるぞ」
リリアの同意に皆もうんうんと頷く。まあ俺もこっちに来てからの人生は、日本に居た頃の何十倍も濃いけどな。
「よし、じゃあエルフの里に飛ぶぞ。救援を連れてくるからここらにスペースを確保しておいてくれ」
だが今はこれまでのことよりこれからのことだ。リリアが言った通り今はどこも手一杯だが、ここを守るためにエルフだけでは厳しいだろうか? 時間はなんとか制限以内に収まりそうだが、確実を期すには加護持ちを一人……転移を使えるルチアーナも必要だろう。
ただでさえ余裕がないところに更なる負担。どうかこれ以上不測の事態が起こりませんように――
「それはそうと兄貴。真面目にやればモテるってマジっすかね? 俺……この戦いが終わったらフランチェスカさんに告白しようと思ってるんすよ!」
おい馬鹿、このタイミングで死亡フラグを建てるのはやめろ!?
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