第5話 他のピース

 世界中から持ち込まれるカケラ。ほとんどは、ただの石だった。中にはプラスチックに自分で、文字の様なもの書いたものを持ってくるものまで出てきた。本物と偽物。その判別は難しい。隣接しなければ、2枚目のようにくっつくことはない。くっつかなかったからと言って、偽物とも断定できない。膨大に持ち込まれるカケラの整理と分別。そして、隣接してそうなカケラの選定。いつしか、研究チームは一つの世界的な組織になっていった。カケラ収集委員会というなんの捻りもない名前のその組織は、アメリカのカリフォルニアに拠点を置き、世界中から集めたカケラを整理、分類、そして接合を行なった。カケラは、あっという間に大きくなった。


 しかしながら、数年もするとある程度までは順調だったカケラ集めも、なかなか進まなくなった。後で分かったことだが、ロシアや中国といった大国が、独自に集めたカケラを囲って、独自で調査をしていたためだ。そのころには、だんだん大きくなっていくかけらに彫り込まれているそれは、文字の一種だと断定される様になった。何か有用な内容の様だが、その内容がわからない。


それは、最初の単語が明らかになるまで続いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る