第4話 サードピース

1枚目が見つかったのが、火星と地球の航路上にあったことから、まだ、「宇宙にカケラがあるのではないか?」との結論に至るものが出るのは、比較的早かった。どこかの富豪が、面白半分に、懸賞金広告を出したのが、騒ぎに拍車をかけた。世間から天体望遠鏡が消えた。

毎夜、多くの人たちが、睡眠不足になりながら、夜空を見上げた。私もその中の一人だ。そんな中で、3枚目をみつけたのは、ナントカ宇宙望遠鏡や国立天文台とかでなく、アメリカの田舎の小学生だった。「月の軌道を伸ばして、北極星のちょい左から、指五本分」という独特の表現であったが、確かにそれはあった。1枚目と比較して、倍くらいの大きさのそれは、1枚目が見つかった空間から、地球側に5万9千キロ離れたところにあった。それとわかってみればわかる。その小学生は、1万ドルの懸賞金を得ることができた。懸賞金の授賞式で、将来は、天文学者になると語った彼は、その20年後本物の天文学者になった。


 NASAが中心となって、カケラの回収に向けてのプロジェクトが動き始める。他にもカケラはないか。調査範囲は、さらに拡大された。候補のカケラがいくつか見つかり、3枚目と共に持ち帰えられることになった。スペースシャトル風の宇宙船が打ち上げられ、1年と6ヶ月程度の期間をかけて、3枚目とは別に、5つのカケラを持って帰ることができた。


 このころには、ナンバーをつけられるのは①ある程度の大きさのものであること。②カケラであることが明確にわかること。の条件が暗黙のうちに決まっていた。このルールで行くと、セカンドピースの様な大きさのかけらが見つかっても、これ以降はナンバー外になることになる。

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