第3話 セカンドピース

 2枚目のカケラが見つかったのは偶然だった。今思えば、①見つかった2枚目が本物であったこと。②それが1枚目と隣接するカケラであったこと。のニ点が奇跡的な幸運だった。

 それは、何度目かの会期の延長後、それもいよいよ終わりという日の、午後2時ごろに起こった。1枚目が展示されているパビリオン会場でだ。自宅に似たようなカケラのあったアマチュアの隕石蒐集家が、それとなく見比べようとして持ってきていたのが、2枚目のカケラだった。

 彼が、展示されているカケラに手元のカケラを近づけてみると、文字が光だし『ピッタリ』とくっついてしまったのだ。監視カメラの映像はその過程を写しており、それがネットに流出したものだから、大騒ぎになった。

 カケラ宇宙外生命体説、地球人の火星起源説様々な説に絡められた憶測が、飛び交った。オカルトブームにも火がついた。世界中のネットというネットにリンクが貼られた。一方でカケラの重要性を認識した当局は、まだ数日残っている万博を打ち切り、カケラを軍基地内の奥深くに隠匿しようとした。

 結果として、『地球外の文明とのファーストコンタクトとも言える物を、一国だけが囲い込んでしまってはいけない。』という世論が巻き起こり、当局も渋々それを認めざる得ない状況に追い込まれた。2枚目の発見から数ヶ月後、それは再度公開されて、全世界規模の研究チームが組まれることになった。


研究チームにどう潜り込むかが、世界中の学者の思いとなった。

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