俳句93:潮風が蠢くプールは空なり
潮風が蠢くプールは空なり
しおかぜがうごめくぷーるはからなり
季語:プール
NHK俳句に投句したものになります。
私の通っていた小学校は、海の近くにある。全校生徒で百人程の小さな学校には、プールは無かった。
夏休みの学校行事には、砂浜でキャンプや地引き網をした記憶がある。ほとんどの子供が、家から水着で海へと行ける。そんな環境で育ったのだから、プールの必要性は感じない。
しかし、学校のカリキュラムとして、プールの授業がある。その時は、近くの学校のプールを借りなければならない。海が近くにあり、泳ぎの練習が出来るのに、肩身の狭い思いをしてプールを借りにゆく。それに田舎者扱いされた気がして、子供ながらに嫌いだった。
私が小学校を卒業して十年程が経ち、小学校にプールが出来た。保護者や卒業生による寄付金が集まったらしいが、木造校舎と似合わない新しいプールは、最新鋭の設備にも見えた。
だが数年後、学校は統廃合により無くなってしまう。廃校となった木造校舎の隣のプールは、まだまだ新しいが、もう誰も使うことがない。
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