俳句82:退院の朝の苺に苺ジャム

退院の朝の苺に苺ジャム

たいいんのあさのいちごにいちごじゃむ


季語:苺



 自主企画の参加作品から、発想を飛ばした句。作品に出てくのは、「ピーナッツバター」だが、「苺ジャム」に置き換え。


 昔、入院していた時に、ピーナッツホイップやチョコ・苺ジャムをパンに塗って食べていた。ピーナッツバターではないが、その時のことを思い出す。


 「ピーナッツ」も季語になるが、加工品となり姿形を変えてしまうと、季語の力が弱くなってしまう。それに八音を使ってしまうので、五音の苺ジャムに。それでも加工品となれば、力が弱くなるのは変わらない。だから、「苺」と「苺ジャム」を対比してみた。



 食事制限がかかってはいないが、どこか地味で色味の少ない病院の食事。体調悪いこともあり、朝食のパンが中々喉を通らない。

 その手助けをしてくれたのが、ジャムやピーナッツホイップ。特に食べやすかったのが「苺ジャム」。パンを彩る鮮やかな赤は、沈んだ気分を変えてくれる。


 そんな入院を助けてくれた「苺ジャム」だったか、退院の日に出た「苺」と比べると、やはり鮮やかさが違う。甘いだけでなく、僅かに酸っぱさを残す苺は、ジャムとは違うなと思わせられる。

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