俳句56:五分刈りへ寄る髪の香に無月かな(タネ)

五分刈りへ寄る髪の香に無月かな


季語:無月



 カクヨム俳句コンテストの句を見ていて、改めて良いと感じた季語が「無月」。月が隠れて見えない状態であるが、雲の厚みや動きでは僅かに光が漏れる。時間経過と色の2つを持った季語。

 僅かに漏れる光で人物のシルエットが消えるのか、それとも見えてくるのかといった物語も感じた。


 「五分刈り」の男と「髪の香」の女のシルエットを想像させる。しかし、「髪の香」が寄っていくのは完全に月が隠れた無月となってから。髪の香「に」の助詞で、無月の状態であると固定してみた。


 まだまだ良くなる句に感じると思うが、今後の課題として残す。

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