俳句35:春雷よ消えぬノイズはボクの中

春雷よ消えぬノイズはボクの中


季語:春雷



 個人的に、一番表現したかった句。


 春雷が鳴る。轟音や振動は、体で感じる程に大きい。目で、耳で、体で感じた。そして落雷は、テレビもパソコンにも、ノイズという影響を与える。


 しかし、それは僅かな時間でしかないはずなのに、ボクにはまだノイズが見えるし、聞こえる。


 それは、最初からボクの体の中に潜んでいたもの。


 春雷の力を持ってしても、ボクの中のノイズを消すことは出来なかった。ボクの中で、ノイズはまだ蠢いている。

 



 私には、原因不明の耳鳴りがあります。ある日、突然始まって、後は慣れるしかない。加齢によるものか、ストレスなのかさえ不明です。

 ただ車の運転をしている、ロードノイズが耳鳴りを打ち消してくれます。今まで不快だったものに安らぎを感じる、不思議な感覚でもありました。

 車の運転時には、もしかして治ったのかと思うのですが、残念ながら車を降りれば再び耳鳴りが襲ってきます。

 せめて俳句のタネにしてやろうと思っていたのですが中々……。ですが、何とか形に出来ました!



 上五は、春雷「や」の詠嘆や「は」で迷いましたが、「よ」と呼び掛ける形にしました。


 中七も「止まぬ」か「消えぬ」で迷いました。春雷とかけて最初は「止まぬ」にしていましたが、やはり春雷に「消して欲しい」と願っているのだから「消えぬ」に変更。あまり盛り込み過ぎては、伝わらない気がしました。


 下五は、シンプルに「ボクの中」。ただノイズという言葉にあわせて「ボク」は片仮名に。その方が、思春期の葛藤なども伝わる気がします。


 春雷の光と音の光景から、ノイズの音や乱れた画像へ。そして最後は自身の中へと視点が移る。ここで春雷「よ」と呼びかけた意味が出てくる。

 春雷の大きな力を持ってしても、ボクの中にあるノイズを追い出してくれないのかい。



【推敲前】

春雷は止まぬノイズはボクの中

春雷や止まぬノイズはボクの中

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