俳句34:春の朝半分っこの焦げたパン

■■オリジナリティーのトレーニング■■


 例えばお題が「朝食」なら、これに「いつ」・「どこで」・「誰と」・「どのような」いった要素を追加する。

 しかし、最初から発想を飛ばさない。経験したことのあることをベースに、初期設定を決める。


 初期設定は、「毎朝、家族と食べている食パン」。この中から、まず一つの要素を変化させる。


 ここからは、朝食時の出来事でなくても良い。


 まずは「パン」を「焦げた食パン」に変えてみる。毎朝、家族と食べている食パンが、今日は焦げていた。


 なぜ、パンが焦げたのか? 焦げたパンをどうしたのか? とさらに深掘りしてみる。


 朝食の焦げていた食パンは、私と妻で半分ずつ食べた。「半分ずつ」という言葉は効率的で、「家族」や「夫婦」と書かなくても、2人居ることが分かる。こうなれば、もう俳句っぽくなってくる。


 「半分ずつの焦げたパン」だけで、すでに十二音。五文字の季語を付ければ、俳句っぽくなる。


■春の朝半分ずつの焦げたパン


 「朝」・「食事」・「複数人」の情報は入ったが、「季語の春」との繋がりが薄い。


■春寒し半分ずつの焦げしパン


 「朝」という明確な情報は消えるが、「寒し」と「焦げ」という失敗は、関係性が出てくる。上五の季語に対して、中七下五の十二音の取り合わせは良くなる。


■春の朝半分っこの焦げたパン


 春の明るい雰囲気ならば、言いまわしを変えてみた。これならば、若さや、失敗しても楽しいカップル感がある。


■春の朝一枚余るパンと皿

■春の朝四枚切りを五枚にす


 他にも、こんな感じでしょうか。発想のトレーニングとしては、面白いと思います。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る