明ける宵闇、夢から覚める日編
エンディング2
話し終えると、少女は気持ち悪そうにこちらを見ていた。
「あなたの人生って何だったの?」
そういわれても、困る。
「うーん。なんだろう。一般的な人生かな。」
そういうと、さらに蔑みの目をこちらに向けた。
「それのどこが一般的な人生よ。吐き気がするわ。」
「ひどいな。」
吐き捨てるような罵声なのに。
少しだけ気が楽になった気がした。
「周囲のいいように使われて、要らなくなったら捨てられた。それを恨みもせず、後悔もせず、ましてや満足しているあなた自身が気持ち悪いわ。」
「共存はそんなものだろ?」
「あなたの場合は依存よ。負担を10背負わされて0の利益よ。共存なんて生易しいものじゃなく寄生の言葉の方が近いわ。」
そっか。
僕は、良かれと思っていたことでも。
相手のためにはなっていなかったのか。
「………どうすればよかったんだい?」
僕に出ない答えを、期待する。
そんなの決まっている、と少女は胸を張って答えた。
「助けて、って言えばよかったのよ。」
………え?
回答が斜め上すぎて、理解できなかった。
「あなたはすべてを自分の中で解決しようとしていた。だから、命の終点で解決しようとした。周りもそれに同調してしまった。けれど、あなた自身がその結末に納得せずに、生きていたい、死にたくない、助けてくれ、と懇願したのなら、話は変わったでしょうに。」
「それが最適解だったからだよ。」
「違うわよ。」
そういって、少女は僕を見つめた。
「あなた自身、もっと幸せになってもよかったのよ。」
その言葉に、救われた気がした。
「これまで、命を削って、ボロボロになって、助けたい人を助けられなくて、一緒に居たい人と離れなきゃいけなくなって、成長した姿を視たい人がいて、自分の生涯を使って守ってきた人を置き去りにしなきゃいけなくて、友達を悲しませたくなくて、全ての責任を自分が負ってでも、未来を守るために戦ったあなたは―——。」
そこで一泊置いて。
「目一杯の幸せがあってもよかったのよ。」
そんなこと考えもしなかった。
「そうだね。わがままを押し通せばよかった。」
そういうと、少女に向き直る。
僕がここにいるのであれば彼女も何かしらここにいる理由があるはずだ———。
「それで、君はどうしてここにいるんだい?」
純粋に、聞きたくなった。
目の前の少女のことを。
「私?」
「うん。君は、どうしてここにきているんだい?」
「………眠っていたらここにいただけよ。」
少し話ずらそうにしている彼女に促す。
「時間はたっぷりあるんだし、教えてよ。君のこと。」
「私は———。」
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