第25話 体質の真実
――確かに、僕はサビに注目していたが、よく考えれば他の部分の歌詞でそんなことを言っていた。ただ、基礎知識がないと分からないだろうな。
説明されながら
外見上ここに何かがあるようには見えないし、軽く押してみても痛みや違和感は全くない。
しかし、自身が一五年間苦しめられてきた
ふと
持っていたメモ帳に光速の速さでメモを取る田所。
椅子の背もたれに全体重を
その姿は
「私達にもその部位があるということですか?」
「
一度置かれていた水に口をつけ
「そして、それを知った上で伝えなければいけないことが二つある」
「一つはこの体質の治し方だろう?」
「無論。それはその部位を取り除くことで体質を治せるというものである」
「それなら」
「しかし……」
有銘の言葉を
そこに治るだけではない何か大きな副作用みたいなものが含まれていることは明らかだった。
「おじさん、私達だったら大丈夫だぞ」
有銘が軽く
「…………この体質を治すためにその部位を取り除くと」
次の言葉に一同が
「その人は例外なく死ぬ」
彼方は一瞬獅堂が何を言っているのか、理解することが出来なかった。
その上で信じたくなかったのだ。
「原理は分からないが、この部位が呼吸機能の
三人とも
「ただ、これは
「……要するに、仮設であって実証されていない、ってことだな?」
「そういうことだ」
「分かった。それで二つ目は?」
「うむ。二つ目はこの体質を持つが
そう言い、ホワイトボードに書かれた脳の側面図全体に赤丸をつける。
「何がどう働いてそうなっているかはやはり不明だが、この体質を持つ者は
その事実を聞いて、三人が同時に目を
その後のことを誰かが
不死身の体を持つ彼方はその例外に当たる存在なのかもしれない。しかし、それでも有銘と田所がそれを受けることは自分のこと以上に辛いことだった。
「……具体的にどれくらいなんだ?」
代表して有銘が訊く。
獅堂が一度唇に力を入れ、おもむろに口を開く。
「およそ二〇年から三〇年といったところだ」
――二〇年から三〇年……。それでは今、この段階でいつ心臓が止まってもおかしくないということじゃないか。
その事実に彼方は
それは田所も同様であった。
「……そうなんだ。……うん。それだけ聞ければ十分だ。ありがとう」
有銘が言う。
そして、その後、すぐに国立中央図書館を後にした。
外に出て彼方は改めて
――有銘さんが考えるように
聞いた情報が確かかどうかはひとまず置いておいて、ひとまず知りたい事実を知ることは出来た。
目的を果たすためにはこの体質の
より良く生きるための行為が死を
突き付けられたのは
彼方に
この体質を治さずに不死身のまま一人でこの世を生きていくか。
取り除いても死ぬことがないかもしれない、という
そして、さらに考える。
――有銘さんと田所さんは治さないと明日にも死んでしまうかもしれないんだ。時間に余裕はない。僕に何か出来ることはないだろうか……。
彼方は考えても考えても現状を
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