第16話 三人のやる事
「……これは……」
五日ぶりに部屋に来た
「…………
空の段ボールと
テーブルの上には無数に
本来、田所も一緒に参加していればこんな惨状にはならなかったのだろうが、田所には本職があり、また
二人が寝ていることなど全く気にせず足元のゴミを片付けていく。
百歩
カーテンを開け、
「……んー、うるさいな」
有銘が、ふわー、と大きなあくびをしながら体を
「おはようごいます、田所さん。……そして、大変申し訳ありませんでした」
彼方は寝起きにもかかわらず、すぐに布団を
それはもう
「彼方君、あなたには失望したわよ」
「…………すみません」
彼方が出来ることはただただ平謝りすることだけだった。
「……ぷ、冗談よ、冗談。ほら、早く顔を洗ってきなさい。あーめは二度寝しないで起きなさい」
その後、彼方も片付けに参加し
「
ホワイトボードを
「いつも思うけど、なんであんたはそんなに偉そうなのよ」
「だって、こっちの方が
有銘が、がっはっはっはっ、と腰に手を当て笑う。
「もう、いつものことで慣れてもいるけど……今日はなんか
「…………全力で否定したいところですが、激しく同意します」
二人はそう思いながらもそれを正式に
有銘が
「まあ、それは少し冗談として……とりあえず私と彼方君の方から結果報告をするぞ」
そう言って有銘が改めてホワイトボードを指す。
「
『川崎駅
『茅ヶ崎一家
『品川小学校全焼事件』
「この三つとも未解決事件としてお蔵入りしている。そのどれもが不可解な手口で犯行がなされているというのが共通点。まさに超能力か魔法じゃないと説明できないと
呼ばれた田所が胸の前で腕を組み、うーん、と
「ん? あんまりいい結果じゃなかったか?」
有銘が考え込む田所を見るが、うーん、と唸りながら田所が姿勢を
「いや、そういうわけじゃないんだけど……というより、何の偶然か、私が見た夢でも候補に挙がったのが、この三つの事件だったのよね」
有銘が瞳を
「えっ、そうなのか⁉ それじゃあ、絶対この三つの事件の中に何かあるってことじゃないか。なんでそんなに悩むことがあるんだ?」
目を輝かせ
「よく考えて見なさい。私達が調べようと思って
「裏で誰かに
「そうね、その可能性も頭に入れといた方がいいわね」
――もし誰かが裏で手を引いているのであれば、それは誰なのか。その目的は何なのか。僕たちに何をさせようとしているのか……。
ここで彼方が考えても分からないことだらけだったが、考えても
「でも、いずれにせよ、今はこの三つの事件を調べてみないと何とも言えないことは確かだろう?」
彼方と田所が
一つ、二つ、三つ……。
若干の
「……まあ、それもそうね。考えるのはそれからにしましょう。じゃあ、各自助け合うのは前提として、ざっと担当を決めておきましょうか。たぶんそっちの方が効率がいいわ」
田所がそう言ってホワイトボードに書き込んでいく。
『川崎駅爆破事件:小波有銘』
『茅ヶ崎一家惨殺事件:田所静江』
『品川小学校全焼事件:坂田彼方』
「とりあえず各自で調べてみて、一週間後のこの時間にまた報告しましょう」
「オッケー!」
「了解しました」
そして、各々が各々の方法で調査に乗り出していった。
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