決着
「はぁ……はぁ……はぁ……」
僕は息を切らしながら、全身より力が抜けた体を動かそうともがく。
さっきまでの絶好調ぶりが嘘のように、体が動かない。まるで体が鉛にでもなったようだった。
「ボーナスタイミングは終わったようだな」
絶対絶命……。
「ぐふっ……クソ、何だこれは」
かと思われたのだが、ノロストロイの方も無傷ではなかったようだ。
「へへっ」
どうやら僕は特殊に培養しているウイルスに細菌がしっかりと彼の体を蝕んでくれたらしい。
「……煩わしいっ」
僕が与えた大量のデバフ。自分由来だけでなく、強力な魔道具をいくつも使って幾重にもデバフをかけている。
その上にウイルスや細菌での攻撃も合わせている。
ノロストロイの弱体化はもう決定的なレベルだろう。
「……きっついなぁ」
ここまで著しく下げたとしても、それでも僕の勝ちは薄いだろう。
だって、もう僕の体はほとんど動かないのだから……まぁ、完全回復状態でも勝てるかどうか怪しいけど。
「だが、さすがに負けぬぞ」
未だ立ち上がれない僕の情へとどんどんノロストロイの足跡が近づいてくる。
「……っ!」
そして、自分のすぐ前へとやってきたタイミングで僕は何とか体を動かしてノロストロイの足元めがけてとびかかかる。
「二度はないっ!」
だが、それを読んでいたノロストロイは近づく僕の顔面を蹴り飛ばそうと足を踏み込み、その瞬間。
「……っ!?」
地面が爆発し、ノロストロイの態勢が大きく崩れる。
今のは僕が罠として地面に仕掛けた魔道具による爆破だ。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああっ!!!」
態勢を大きく崩したノロストロイは飛びかかる僕を回避することは出来ず、そのまま自分が彼の馬乗りになることに成功する。
また掴めた絶好の好機。
「ぐごっ!?」
それへと縋るように僕はただただ夢中でノロストロイの首へと手を回して力いっぱいしめていく。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああっ!」
「ぐぅ……ぬぁ」
魔道具に魔法、毒。もう手の中にある物全部使ってノロストロイの動きを止めてちぎれそうな手に力を込めて握り続ける。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
その果てで。
「ははは……なんだ、勝てるじゃん」
僕はゆっくりと空を見上げながらポツリと言葉を漏らす。
「───ぁ」
そして、もうとっくの昔に限界だった僕はそのままゆっくりと体を倒していく。
あぁ、心地いい。
これが勝利か。
僕だって出来るじゃないか、もし次があったのなら、もっと……貪欲に───。
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