急転
痛み。
僕の体を遠慮なく切り裂いたノロストロイの刃によって僕の身体は大きく切り裂かれ、悲鳴を上げている。
だが、それでも。
「……」
これくらいならば問題ない。
治癒の術も僕の手にあるし、それを支援するための魔道具もある。ここで僕が倒れることはないだろう。
「……うーん」
それでも、地力が違い過ぎる。
このままやっていても勝てる気がまるでしない。
「……存外生きる。少し、舐めていたことを謝罪しよう。貴様の実力は俺の想像以上であった」
斬られたことによる傷の大半を何もせずとも魔道具だけで既に治している僕に対して、ノロストロイが本気で関心したように口を開く。
「だが、その身はもうすでに限界だろう……俺の敵ではないな」
そして、その次の瞬間には既にノロストロイの身体が。
「ぐっ!?」
半ば無意識下による反応、己の身体に刻みこんだ技量と経験によって、ノロストロイの剣には何とか反応した。
だが、その衝撃だけで僕の身体は大きく崩され、刀は大きく空を斬る。
「ぐほっ!?」
刀を上に向けて態勢を崩す僕の腹へとノロストロイの蹴りがねじ込まれ、そのまま無様に地面へと転がる。
「がはっ!?」
今の一撃で内臓の方まで著しいダメージを負った僕は口から血を吐く。
「……ちょうど良い。ここであの三人も殺してしまうとしよう」
そんな僕の元へとゆっくり、既に勝ちを確信しているノロストロイが口を開きながら近づいてくる。
「……ッ!?」
「この死体を利用すればあの三人を嵌めること容易にで」
「ざっけんなっ!?あいつらに何かしたら僕が許さな」
思わず激昂してノロストロイへと掴みかかった僕は、すぐさまに態勢を立て直した彼の拳を受けて地面に再び倒される。
「まさか、ここまで……だが、どれだけ心がおらがおうとも俺に勝てることは───っ!」
「……隙」
そんな風にご演説賜るノロストロイ、その隙だらけな身体を晒す彼の身体へと僕は突撃。
「ぬおっ!?」
足に掴みかかり、そのままノロストロイも僕のように地面へと倒すのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます