グロッキー
僕が発動させた恐らく、歴史上類を見ないほどの大規模なネクロマンス。
ぶっちゃけ、ただ数が多いだけのゾンビと感染力は高いが割と治癒もしやすい病魔をばら撒くだけという相手を殺すことには全然特化出来ていない魔法。
だが、それでも何とか相手の足止めすることは出来た。
無事に人類側が撤退して防衛のための時間を稼ぐどころか、そもそもとして魔族側の第二陣での攻勢の計画をとん挫させることまで出来た。
「おぇぇぇぇぇぇぇぇええええええええええええ」
だが、その代わりとして。
「……うぅ、死にそう」
自分の魔力の限界を超えるどころか、生命力を一切の容赦なく削って魔法を発動させた僕は完全にグロッキー状態だった。
「うぅ……世界が回る。視界で精霊が躍る」
もう僕の視点での世界はめちゃくちゃである。
「さすがに、やりすぎた」
これくらい、ネアンたちであれば容易に出来るはずなのだけど……たったこの程度でグロッキーになってしまう僕の保有魔力が憎い。
「うぅ。寒い」
視界がぼやけ、音が躍って何かを判別できなくなる中で。
「……ありがとう」
それでも僕の身体が急に暖かくなったことから、ルーエ、ネアン、フィーネの三人が僕を支えてくれると判断してお礼の言葉を口にする。
「……どうなったのだろうか」
ある程度の状況は強引に荒ぶる体を押さえつけながら我慢し、情報を精査してから倒れているので……今が、そこまでヤバい状況にはならなそうなのはわかっている。
それでも、倒れてしまってから情報の更新は出来ていないので……何か、あるのではないかと僕は不安は抱いてしまう。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
辛い、吐き気がする。
だが、其れよりも何も出来ずにここで眠っていることしか出来ない自分が憎くて、辛い。
「……あぁぁ」
そんな中で、習得難易度の高いネクロマンスを使いこなして敵の攻撃を止めた自分はその後に倒れて何も出来なくなろうとも、凄いのだ。
そう自分を言い聞かせながら、言うことを聞いてくれない体の悲鳴に意思をゆだねるのだった。
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