ネクロマンサー
既に人類側の撤退が大方完了し、今。
一旦、魔族が人類側の砦を占拠して中を調べると共に次の攻勢までの準備をしている最中であった。
今回の撤退劇で、我々はかなりの痛手を被ったが、それでも急な襲撃を受けた割には被害を少なく抑えることが出来た
だが、問題はこの後に続く敵の追撃だろう。
未だに後方にある砦にまで退避出来ていない部隊も多いし、そもそもとして後方の砦で敵の攻勢を止める余力もない。
このまま魔族の再侵攻を許せば更に撤退を強いられる可能性も大いにあるだろう。
「ふぅ……」
そんな中。
僕はルーエたち三人に見守れる中で一つの魔法を唱えていた。
「だ、大丈夫……?」
「大丈夫」
全然足りない僕の魔力。
それを魔道具並びに、フィーネから僕の器が破裂しない程度に魔力を補充してもらいながら魔法を唱え続ける。
「……起きろ、眠れし亡者たち」
僕が発動させる魔法はネクロマンス。
この場に転がっている大量の人並びに魔族たちを死者として、ゾンビとして復活させていく。
「ごふっ」
今回、対象にしたものたちの数はあまりにも多い。
限界を超えた稼働に僕は血を吐いて床に膝をつくが、それでも魔法だけは維持し続ける。
「だ、大丈夫っ!?やっぱりやめた方が!」
「良いから……っ!」
僕は自分の力を振り絞ってゾンビを復活させ……そのまま、ゾンビの中に大量の病原菌を仕込んでいく。
既に腐り始めている死体であるゾンビに病原菌を仕込むのはそこまで難しくないのだが、それでもやっぱり数が多かった。どうしても。
「よ、よし……出来た」
それでも、僕は苦しみながらも何とか魔法の発動を完了させる。
これで、相手は大量にいるゾンビの対処並びに病原菌の対処に苦しみ、追撃の手を大幅に緩めることができるだろう。
「そ、それじゃあ……引き上げようか」
目的を終えた僕はルーエたちへと弱々しい声をかける。
「うん、そうだねぇ……私が持っていくからぁ、揺れても我慢してねぇ?」
そして、僕たちは大量のゾンビを前に混乱の広がる魔族たちを残して撤退していくのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます