日々

 星霜の風が来て早々に受けた魔族側の夜襲の時以来、僕が寝る時間を取れないほどに忙しくはなくなっていた。

 その理由は簡単。

 自分が盛った毒が尾を引いているのか、それとも僕が魔族側の砦から入手した情報を元にたてた人類側の作戦が想像以上にハマっているのか、はたまた純粋にルーエたちの圧倒的な暴力のおかげか。

 何が原因なのかはわからないが、魔族が攻勢に出ることがなくなったおかげで僕はそこまで忙しくはなくなっていた。


「ねぇ、僕はまだ仕事をしているんだけど?」


 それでも、だからといった僕の仕事がなくなるわけではない。

 事務作業を自室でしていた自分の部屋にやってきたルーエ、ネアン、フィーネ、ウルティの方へと視線を向けながら、僕は声を上げる。


「別に邪魔しにきたわけじゃないわ!それでも、そろそろもう仕事も終わりでしょう?だから、それが終わった後に私たちと遊びましょう?コーレンの仕事が終わるまでは大人しくしているわ」


「ふっ、僕にはわかるとも。今の仕事であれば話しながらでも完遂できるだろう?コーレンのマルチタスク能力であれば!」


「なんか、ごめんなさいね?」


 僕の言葉に対して、ネアン、フィーネ、ウルティの三人は半ば呆れながら言葉を告げる。


「もー、お酒はほどほどにしなきゃだめですよぉ?」


 そして、ルーエは僕の部屋に転がっている酒の空き瓶を見ながら呆れた様子に口を開いている。


「別に自分を失うほどには飲んでいないのだから良いでしょ」


 僕は自分の手元は動かしながらも、ルーエの言葉に言い訳がましく口を開く。


「それでもまだ若いのだからぁ」


「別に法律的には問題ありませーん」


「それでも!コーレンはちょっとお酒を飲みすぎだわ!」


「代わりに僕のおっぱいでも吸うかい?」


「「黙れ」」


 この世界だと酒は何歳でも飲んで良いことになっている。

 なので、僕が今の年齢で酒を飲むことも合法だ……おっぱいを吸うのは惹かれるけど、我慢しよう。

 最後までいってしまう。まだ清くあるのだ。


「……なんか、本当にごめんね?仕事の邪魔だったかな?」


 そんな風に僕がルーエたちと会話をしていると、ウルティが申し訳なさそうに口を開く。


「いや、ネアンの言う通り。これくらいの仕事なら話をしながらでも出来るから気にしなくていいよ。これでもマルチタスクは得意だから……どうせ、簡単な仕事しか残っていないしね」


 そんなウルティに対して、僕は事務作業を行う手は止めずに答える。

 これくらいであれば簡単だし、疲れることもない。

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