脈あり…?
僕が料理を作り終えると共に未だに、庭の方にいたルーエたち四人がリビングの方へと戻ってくる。
「外、さむいぃ」
「まったくもってその通りだね」
「そうねぇー」
「……ほんとよ」
口々に外の寒さを語りながらリビングの方に戻ってくる四人。
「あっ」
「……っ」
その中の一人であるウルティと視線が合ってしまった僕はつい、反射的に視線を逸らしてしまう。
「……」
先ほどの会話を思い出すと、どうしてもウルティのことをまともに見える気がしない……セリフはまだ良いよ、あれも十分痛いけど……まだ、イケメンだから許される気もするんだ。クソイケボだし。
だからと言って、相手が吸っていた葉巻を奪い取って堪能したあげく、再び咥えさせるとか最高にきしょいと思う。
いくらイケメンであってもあそこまで行ったら流石にきしょいと思う。
「……」
そんな風に引け腰になる僕ではあるが、星霜の風の顔として方々に顔を見せる僕がいつまでも顔を伏せているわけにはいかないと自分を戒める。
そして、意を決して視線を上げればそこに映るのは照れくさそうに頬を僅かに赤らめながら視線を逸らしていたウルティであった。
「「……ッ」」
何、その反応……?
予想外とも言うべき反応を見せたウルティの方へと呆然と視線を送っていると、逸らしていた視線を再び持ち上げた彼女とそのまま視線があってしまう。
不意打ち気味であってしまった視線。
それに対して思わず再び視線を逸らしてしまったことは許してほしい……ッ、いや!?何、あの反応!?
というかこの状況!なんか、ラブコメみたいじゃん!?
何か、こっちまで頬が熱くなってくるのだけど、こ、ここまで僕とウルティに恋愛フラグなんてなかったよね???
や、やっぱり……イケメン、イケメンが悪いのか!
「わー、おいしそぉ。また、見たことない料理だぁ……これは何を作ったのぉ?」
僕が内心で慌て、あわあわしていると横からルーエの言葉が耳に入ってくる。
「んぇ、あっ、あぁ!」
僕とウルティがもたついている間にさっさとダイニングテーブルの元に向かっていたルーエの言葉でようやく現実感を取り戻して声を上げる。
「えっと、ねぇ……今回作ったのはローストビーフ丼っていう自分のオリジナル料理で……」
そして、そのままウルティの方へと背を向け、ダイニングテーブルの方に集まっているルーエたち三人へと勝手にローストビーフ丼を自分のオリジナル料理にしながら、彼女たちの方へと僕の声を届けるのだった。
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