辺境の村
魔王についての関心が一切なかった僕たち四人に対するウルティの全力のツッコミ。
「そんなこと言われてもわからないものはわからないしぃ」
「魔王なんて聞いたことがないしな」
「知りもしない相手のことなんて中々警戒出来なくないかしら?」
だが、それに対するうちのパーティーメンバー三人の答えは実に適当なものであった。
「三人とも知らないの!?ほ、本当になんでよ!?流石にコーレンであれば知っているわよね?」
「いや……自分も魔王についてはイマイチ何か把握しておらず」
「貴方もなの!?」
そんな僕の言葉を聞いたウルティは驚愕の声を漏らす。
「……そ、そんなに有名なんですか?自分、これでも教養とか身に着けるために様々な本を読んだりして勉強しているつもりなんですけど」
星霜の風の顔として様々なパーティーに参加することもあって、何処に行っても恥ずかしくないように僕は色々と勤めていたので……そんな知らなくてすごく驚かれるようことがあると言われると、正直かなり凹むのだが。
「いや、魔王に関しては基本的に母親が『いい子にしていないと、魔王がやってきて連れ去っちゃうよ?』みたいな感じで躾に使うような感じの存在で、勉強して知るような存在じゃないのだけど……え?本当に一度も聞いたことないの?」
「ないですね」
前世でなら腐るほど聞いているが、この世界で魔王などという存在がいるなんて話は聞いたことがない。
「私もないわねぇ」
「僕も知らないぞ?そんな存在……やはり、僕のことではないのか?」
「少なくとも私は魔王なんて一回も聞いたことないわ」
それは基本的に僕と行動を常としている三人も同じである。
「……えぇ?どういうことなの?」
「自分たちの村がとてつもない辺境の地なので、それが関係しているかもしれないですね」
「あぁ、それはあるかもしれないですねぇ」
「いや、どんな辺境の地よ……それは」
「本当にひどい辺境だぞ?国の外れも外れだ」
「大きな街の方に出てくるのも苦労したわよね」
ルーエたちは故郷についての話で盛り上がり始めてしまう。
「……というか、今更だけどあなたたち四人を輩出した村ってとんでもないわね。しかも同年代で。世界のバグかしら?」
そんな中で、ウルティは今更なような気もする疑問に首をかしげている。
「いやいや、普通の村でしたよ……確かに、ルーエにネアン、フィーネが揃っているのは奇跡という他ないと思いますけど」
「コーレンの方も大概だけどね?それじゃあ、仕方ないか……貴方たちに魔王が何なのか教えてあげる。まずはそれをしてからじゃないと、話にならないでしょうし」
そして、何も知らない僕たちを見かねてウルティは色々と説明すると話してくれるのだった。
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