勢ぞろい
星霜の風で唯一、王家主催のパーティーへと参加した僕は自分の元にやってきた多くの人との挨拶を終え、ひと段落したところで会場に出されている食事にも手を付け始めていた。
「(……にしても、人が多すぎるだろ)」
王族や貴族が集まってパーティーを行うなど、そこまで珍しいことでもなく僕もかなりの数のパーティーに招待されて参加している。
そのためにパーティーには慣れっこであるとも言えるのだが……今回はその規模がいつものそれではなかった。
会場には普段顔を見せるはずのない世界各国の王族がいたり、アエロポリア王国と関係が良くない大国の人間までもが顔を見せている。
この場にいる貴族は最低ラインで大国の侯爵家であり、貴族以外のメンバーも豪華の一言。
それぞれが世界で三本の指に入ると言われている大商会の商会長が勢ぞろいしていたり、冒険者ギルドなどの世界規模の巨大組織のトップも勢ぞろい。
その他も異常なレベルの重鎮であり、最強格の冒険者パーティーを代表としてやってきている僕が肩書きだけではパッとしないレベルであると言える。
「(なのに僕のところに来過ぎだよ)」
その癖に僕と挨拶をかわそうとする人の数が多いこと、多いこと。
確実に、戦力を欲しているのだろう……グランドマスター。どうやら貴方の勘が当たっていそうで僕としては憂鬱ですよ。
「この場にお集まりの皆様。少々、こちらの方へと注目を向けてもらえるでしょうか?」
そんなことを考えていたところ、突然パーティー会場の照明が一段下がって少しだけ暗くなり、その代わりとして壇上の光が強くなる。
「ありがとうございます。それでは、ご入場なさってください」
壇上のすぐそばでパーティー会場全体に声を届かせていたアエロポリア王国の宰相の言葉に従って壇上へと多くの人が姿を見せる。
「……えっ?」
壇上へと上がってきた面々。
それはアエロポリア王国の国王陛下を始めとする、世界各国の国王陛下。
大国も、中小国も、等しくその国王陛下がこの場へと姿を現す……待て待て、これ、すべての国の国王陛下が揃っているんじゃないかっ!?
「……」
明らかに普通じゃない。
僕は動揺のあまり、思わず一瞬ばかり表情を歪ませてしまった。
そして、それは僕だけではなく、ちらほらと動揺を思わず表に出してしまった人たちの姿も確認出来た。
「さて、諸君。本日はこの私が主催させてもらったパーティーを楽しんでもらえているだろうか?」
騒然とするパーティー会場の中で壇上の中心に立つアエロポリア王国の国王陛下が尊大な態度で口を開き、言葉を話し始めるのだった。
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