交流
星霜の風の名に見合わぬ印象とインパクトを。
パーティーに出席している彼ら、彼女らが求めている実力者であるルーエたち三人のことなど忘れさせるような感動を。
「……」
常にその心意気でパーティー会場に立つ僕は堂々たる態度でパーティー会場の中央に立ち、ワインの入ったグラスを傾けて喉を潤わせていた。
「やぁやぁ、コーレンくん。今日も綺麗だね」
そんな僕へと真っ先に接触してくるのはすべての冒険者を、すべての冒険者ギルドを統括する冒険者たちの頂点。
グランドマスターである一人の老人、アクシスである。
「お褒めに預かり光栄にございます。グランドマスター」
自身の立派な白髭へと手を与えるグランドマスターに対して僕は丁寧かつ完璧な所作で一礼して見せる。
王様のように立つ僕が、一人の紳士であるかのような丁寧な礼を見せる。
「ふぉふぉふぉ、なんのなんの。君たちは今や世界中の人たちからの尊敬を集めるトップ冒険者パーティー。君もその一人なのだから、わしくらいの
「そのご期待に添えるようこれからも精進してまいるところです」
「して、若人よ」
「何でしょう?」
「わしの見立てでは、じゃがのぅ……世界の変革が近づいてきているように思う。今、君たちを始めとして世界中に際立った、天才たちが活躍の産声を上げ始めている。生まれてから百と少し。ボケ始めた己の頭であるが、それでも過去を忘却することはない……わしがまだ少年じゃった頃、多くの戦争に溢れた困難な時代を生きていた、不自然なほどに多い天才たちを知っておる……何か、嫌なことを思い出させるのじゃ、今回のパーティー、何かきな臭いぞ?何か、あるじゃろうなぁ」
「……ご忠告、感謝いたします」
ボケ老人のふりをしながら一切頭はボケず、今も最新の情報を常に集め、誰よりも柔軟な思考を持つ怪物。
ただの小さな自警団でしかなかった冒険者ギルドを一代で世界規模の組織へと変革させ、己がいつ死んでも組織が正常に回るよう根回しを完了されているまさに怪物と呼ぶべき傑物、その人物から受ける忠告に僕はゾッとしたものを感じる。
「じゃが、お主はそれよりも前に多くの者と交流からじゃのぅ、頑張るのじゃぞ?」
だが、それを断ちきるかのようにグランドマスターは話を切り替える。
「それに関してはご心配なく。しかと己の職務は果たしますので」
「ふぉふぉふぉ、それならいいのじゃ、それではまた言葉を交わそうぞ」
「えぇ、ぜひとも」
僕は自分の元から離れていくグランドマスターの言葉に笑顔で頷く。
「コーレン様」
「はい、なんでしょうか」
そして、次々と自分の元へとやってくる世界各国からこのパーティーに集められた有力者と言葉を交わしていくのであった。
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