パーティー

 僕たち星霜の風が本拠地としている世界の中でも有数の大国、アエロポリア王国。

 古き時代より残る歴史の長い王国であり、農業に適した肥沃な大地に多くの海産物をもたらす漁港、様々な資源が取れる鉱山など、多くのすぐれたものをその国内に有し、それらを長年保持するだけの強力な軍事力を併せ持つ圧倒的な大国だ。

 

 そんなアエロポリア王国の首都、ジュビア。

 国内だけにはとどまらず、世界各国から様々な人と物が流れ込む世界有数の大都市であるジュビアの中心には摩天楼の如くそびえたつ巨大な王城が佇んでいる。


「本日はよくお越しくださいました。コーレン様」


 そんなジュビアに存在している王城の中で行われているパーティーへと今、僕は招待されてやってきていた。


「こちらこそご招待に預かり光栄にございます」


 王城へと招待状をもってやってきた僕を猿臂服に身を包んだ所作の美しい執事に出迎えられ、彼の案内でパーティー会場の方へと進んでいく。


「会場はこちらの方になります」


 こう言っては何だが、僕はイケメンである。

 前世の冴えなかった男とは違い、今世の僕は目に入れても痛くないイケメンだ。

 すらりとした高身長に白い髪と蒼い瞳を持つ神が作ったのかと勘違いするほどに整った圧倒的美形。

 耳につけた多くのピアスなどから病んでいる感じの、ダークな男の子だ。


「ご案内感謝いたします」


 そんな僕は今、完璧にパーティー用の衣装を着こなした状態で立っている。


「いえいえ、これが私の職務にございますから、それでは本日はご存分にお楽しみください」


 だからこそ、僕が少し顔を見せるだけで雰囲気をすべて奪い取ることが出来る。


「……ッ」

 

「……彼が」


「おぉ……」


「な、なんと美しい……」


 ただ足を一歩、動かすだけで婦人方からため息を漏らさせ、それから少し歩くだけでこの場にいるすべての者の視線を奪い去ることが出来る。


「……」


 歩き方、一つ一つの所作、息遣い、雰囲気の出し方。

 ありとあらゆるものに気遣いに加えて、それをするに相応しいだけの美貌を生まれ持った僕は一瞬にして既に多くの者が押しかけていたパーティー会場の主役になってみせる。


「ふぅー」


 星霜の風に属する三人。

 ルーエ、ネアン、フィーネもそれぞれが毛色の異なる凄まじい美貌を持っている。

 だが、それでも努力によって磨き上げてきた天性のものでありながら、努力のものでもある僕の持つ美貌はダークでありながらも、彼女たちよりも華やかで、彼女たちよりも人を引き付けるものであった。

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