実力
「あっ、これは例の彼……」
星霜の風。
その冒険者パーティーは圧倒的な力によって近年、その名を世界に轟かせ、今や冒険者最強の一角とまで評させるようになった最高位の存在である。
「コーレンさんに関する資料ですか?」
そんなパーティーの中心に立っているとも言えるような一人の少年、コーレンに関する資料。
それらが散らばって置いてあるギルドマスターの机を見て、彼の秘書官である女性が口を開く。
「んっ?あ、あぁ……そうだとも。それはコーレンに関する資料だ、簡単な情報ばかりだし見てもいいぞ、あいつは嫌がらんだろう」
「改めて見るとすごい来歴してしますね、彼……これで凡人は無理がありますよ」
秘書官がざっと眺める資料。
そこに書かれているのはコーレンが辿った努力、様々な分野の基礎を一ヶ月とかそこらでマスターし、数多の技術を極めて行った歴史だ。
「……間違いねぇな。だが、あいつの周りにいるヤツらが不味かった。コーレンは器用なだけだ。覚えるのは早くとも、それを極める才能はない。しかし、周りの三人はそれぞれの道を極めた者たちだ。そんな彼女たちと比べたら遥かに下の下だ」
秘書官の言葉に対して、ギルドマスターはつまらなさそうに言葉を返していく。
「応用出来ねぇ、されとて基礎を極めようと努力しても伸びず、基礎を技に昇華することも出来ねぇ……なんとも哀れな餓鬼だ。全てのものに手を伸ばせるだけで、全てのものからそっぽ向かれているのだから」
「なるほど……では、彼に関しては周りからの侮り通り、さしたる強さはないと?」
「そんなわけないだろ、あれは器用貧乏で、器用貧乏を極めたとも言えるやつだ。アホみたいに飛んでくる何十もの技の洪水が弱いわけないだろ」
コーレンはソロとなっても問題なく活動出来るだろう。
それだけの実力はある。
「だかまぁ───」
そう断言したギルドマスターではあるが……その最後に言葉を濁すのだった。
■■■■■
僕の戦闘方法は至って簡単だ。
何者にもなれなかった僕が、ゴミのように積み上げてきた何ら特別な才なき技の全てを使う。ただそれだけ。
剣も、魔法も、回復も、防御も察知も秘匿も毒も幻影も精神干渉も召喚も、ありとあらゆる技術、ありとあらゆる戦闘手段。
その全てをただ無秩序に、何の美しさもなくぶちまけるのが僕の戦闘方法であり、それ以外の術を己は有していなかった……特別なものは何もない。
「───天才たちには遠く及ばない、凡人の汚い踊りをとくとご覧あれ」
だが、積み重ねに積み重ねた僕の技、初見殺しの洪水は、時間稼ぎくらいの働きはしてくれるだろう。
新作です!
読んでぇぇぇぇぇぇぇええええええええ!
多い?うるせぇ、PVが伸びないんじゃい!カクヨムは僕の大事な収入源だから困るんだよ!
『悪役貴族に転生した僕は追放されたいのに、ヤンデレ化した王女様が許してくれません!』
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