フィーネ
ネアンが時折行う珍行動。
その一環として行われたトイレでの珍事件を片付けた僕は外出の為の準備を整えていた。
「ねぇ、何処に行くの?」
外出の為の準備を整えて玄関の方に向かおうと自分の部屋から出てきた僕は後ろから声をかけられる。
「……ん、ファーネか」
後ろの方へと視線を向けるとそこに立っていたのはピンク色のツインテールを揺らし、同じくピンク色の瞳を不安げに揺らす少女、フィーネが立っていた。
彼女はうちのチームの回復担当であり、天使だと勘違いされるほどに格別の治癒魔法を持っている……いや、天使扱いされている理由の大半はたた純粋にフィーネが驚くくらいに美少女だからかもしれない。
「……女?女に会いにくいの?私たちを置いてどこに」
そんなフィーネはこちらへとハイライトの失った瞳を真っ直ぐにぶつけてきながら疑問の声をを上げる。
「いや、まぁ……確かに女ではあるけど」
「やっぱり!?やっぱりそうだ!?私たちなんかよりもっと別の女が良いんだぁ。あぁ……私がいつも自信なくてうじうじしていつも嫌な気分にさせちゃうからだらぁ。うぅ、慣れ親しんで飽きた私たちを置いてコーレンは別のところに行っちゃうんだ。コーレンを誑かせて騙そうとする雌どもの魔の手にかかってぇ」
僕の言葉を聞いたフィーネはもはや見慣れたとおりにヒスり始める。
これが彼女の通常運転である。
「……常々思っているけど、君は一体何だと思っているの?いつも依頼を取りに行ったり色々な人と会談したりするのは僕でしょう?明日のための依頼を取りに行くだけだよ」
別に僕はヤリチンでもないよ?
前世はともかくとして、こちらの世界ではまだ童貞でもあるし。
そして、美人局に捕まるほど馬鹿じゃないよ?
本気でフィーネには僕をどう思っているのか問いただしたくなってくる。
「……でも、冒険者ギルドには女もいるよね?」
「そりゃあねぇ」
冒険者ギルドにはフィーネたちのような女性の冒険者もいるし、受付嬢として働いている人たちもいる。
「私も行く……!コーレンに邪魔な雌を近づけるわけにでも行かないもの!貴方は私が守るわ!」
僕の言葉を聞いたフィーネは両手を力強く握りしめてそう告げる。
一体何から守るつもりなのかというツッコミはしておかないでおく。
「はいはい、何時ものようについてくるのね。それじゃあ、速く外出の為の準備を整えてきてね。そこまで暇というわけでもないから、なるはやでお願い」
それを軽く受け流した僕は彼女に外出の為の準備をするように告げる。
「はーい!」
それに頷いたパジャマ姿のフィーネは慌てて自分の部屋へと向かっていくのだった。
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