第488話 【驚天動地】都心緑地公園戦線
魔王メイルス配下、【
その権能は単純にして強力無比、とにもかくにも『喰らうこと』に特化している。
彼女が『喰える』と認識したものであれば、食材や生物はもちろん鉄骨やコンクリートだろうと……そして『魔法』や『術』、そして『魔力』だろうと喰らってしまう。
またどうやら、その権能の起点となるのは彼女の『口』だけではなく……自分の身体から離れた任意の地点に、いきなり『口』を開けることも出来るようで。
いきなり闇色の魔力が滲み出て来たと思ったら『口』が出てくんだもんな。怖いわ。
(……なるほどね? ボクの【
(やり難いったら無いね。遠距離攻撃がまるで用を為さないし……ッ!!?)
(…………距離を詰めたら詰めたで、いつどこに『口』が出てくるか、わかったもんじゃない。一応【
(じっとしてたら【
悠然とその姿を晒したまま、ゆっくりと歩を進めてくる【
その歩みを止めようにも……防御貫通の『口』がそこかしこに現れるというのなら、危険すぎてどうにも攻めあぐねてしまう。
彼女を無力化するためには……あの『口』では喰らいきれないような規模での魔法をぶつけるか。
あるいは……どうにか『口』を掻い潜って接近し、【昏睡】の類いの魔法を叩き込むか。
もしくは……彼女を殺す気で仕掛けるか。
「……、…………ッ!! ………!!」
『ちょ、待っ!? ……っとォ!?』
一歩一歩と着実に歩を進め、小さな身体に強大な脅威を秘めた少女がじりじりと迫ってくる。
夥しい数の『口』を周囲に展開されてしまっては、こちらも迂闊に手を出すことができない。飛び道具は呑み込まれ、かといって近づけば削り取られるという……即死性のトラップをそこかしこに仕掛けられたようなものだ。
しかも厄介なことに……そんな彼女の現在の標的は、認識阻害の【霧】の術を行使している
どうやら『魔王』と愉快な仲間たちは……神様が不在となるこの
そのために……この大規模な魔物の侵攻を、都心の
まったく、やってくれる。
≪―――辟シ縺肴鴛縺!!!!!≫
≪―――阮吶″謇輔≧!!!!!!≫
(っ!? やっぱ『龍』出てくるよなぁ!!)
(マズいね……! キリちゃんの術は認識撹乱……物的被害は防げない!)
現在、かろうじて『神秘』を守り通してくれているのは……
この
どうやら【
結界が開かれようとして……しかしその直後術式が無惨にも食い荒らされる様を、この僅かな間に何度か目にしてきた。
対【
「……!! …………、……!!」
『ッッ! まぁまぁまぁまぁ、ちょっと落ち着きたまえよツクシちゃん! 仲良くしようじゃないか。何をそんなに怒ってるんだい!?』
「…………、ッッ! ……っ! ……!!」
対策を講じられ【
そのためには彼女をこの
当然、
だから……仕方ない。
この場は
「…………【『
足踏みをすればするほど、事態は刻一刻と悪化するばかりだ。
未だ
単純に、こちらの頭数を増やすのが、いちばん手っ取り早い。
「【
『オッケー。そっちは頼んだよ、ノワ』
「なる
突如として開かれる『口』は確かに脅威だが、何らかの魔法を代わりに突っ込めば無力化させることは可能だ。
そのへんの器用さを優先し、単純な防御力に秀でた『
そうして……【使徒】の無力化作戦に、万全の体制で当たらせる一方で。
それで、この場はなんとか凌ぎきれる。
……そう思っていた。
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