第485話 【恒常配信】underground……



 配信開始からこちら、他責自責含む様々な事故により……現在のおれの衣装ライフは『半袖シャツ』と『ホットパンツ』を残すのみだ。

 当然その下は、いわゆる最終防衛ラインなので……常識的に考えれば、これ以上の脱衣は認められない。


 ユースクYouScreenさんがいかに慈悲深い配信サービスだとしても、上半身裸だったりパンツ丸出しだったりな配信者なんて、さすがに追放BANされる危険が危ない。

 やらかし手が男のひとなら、もしかすると慈悲してもらえるかもしれないけど……身体が女の子だったらえっちなので、間違いなくアウト。おれはおとこなのに。げせぬ。

 しかしとはいえ、ここまで大切に育てた『のわめでぃあ』だ。さすがに危ない橋は渡れないし……ユースクYouScreenさんに迷惑は掛けたくない。



 ……などといった危機的状況であるにもかかわらず、どこか余裕さえ窺わせる立ち振舞いの若芽ちゃん。

 自分の立場を理解わかってないのではないかと思わせるようなその余裕の正体、そして待ち受ける更なる強敵とは……ここから先は、キミ自身の手で確かめろ!




「はい勝ち~~~~!!(なぜなら三位は四位ではないため)」


「や……やりました! わかめさまっ! 霧衣きりえめが一番にございまする!」


「えらいぞ霧衣きりえちゃん! 後で何でも言うこと聞いてあげる!」


「……!! わ、わぅぅぅぅ!!」



『ん?』『ん?』『エッッッ!!』『いま』『ん????』『キマシタワアアアア!!!』『ん?』『こっわ』『お前らじゃねえ座ってろw』『ん?』『あーっ!あーーっ!!えっちです!!』『#もっとイチャつけのわめでぃあ』『末永くなかよししろ』




 つまりは、おれか霧衣きりえちゃんが四位にさえならなければ良いのであって。

 このように三位を取ったとしても、それは当然『かち』といえるのであって。


 せっかくの脱衣チャンスを棒に振る形となった挑戦者二名が、視聴者さんから盛大にブーイングを受ける中……おれは素晴らしい活躍を見せた霧衣きりえちゃんとイチャつきながら、視聴者さんからの挑戦を募る。



 既に時刻は二十三時を回っており、どうやらいつもの定例配信の枠に収めるのは不可能そうなのだが……べつに『二時間』という線引きをしたのもおれなわけで、そこんとこを延長するぶんにはべつに問題ない。



 それに……ここまで盛り上がってくれているのだ。

 ここで水を差すような、それこそみんなが『興醒め』するような悪手は打ちたくない。




「しょぉぉぉがないですねぇー! そんなにわたしを剥きたいんですか視聴者さんは! でもいいんですかぁー? そんなんじゃいつまで経っても剥けませんよぉー? 朝になっちゃいますよぉー?」


「ぐぬぬぬ……会場のみんなぁー! このままだとノワが調子に乗ったまま終わっちゃうよぉー! 会場のみんなで麻雀戦士を応援して、えろいノワをこらしめてあげるんだ!」


「おいこらなんつったエッチ妖精」



『うおおおおお!!』『がーんばれ!がーんばれ!』『プロ先生を……プロ先生の奇跡を再び』『もうゆるさねぇぞ……(イラッ』『がーんばれ!!がーんばれッ!!』『ラニちゃんひでぇwwww』『ゆるせねぇよなぁ!!』『ちょっと本気出す』『任せろ絶対ぇ泣かす』『まず部屋入れねぇんだよな』『麻雀に自信ニキ以外自重』『ここまで来て終われるかよォ!!』『ラニちゃんがコッチがわなの笑う』



「じゃあ……しょうがないですね。正直わたしも徹夜麻雀はちょっと厳しいので……次でラストにしましょう。……その代わり」



 最終戦の宣言を受けて、盛り上がりを見せると共に慟哭が散見されるコメント欄。

 ストレートな欲求と好意が大いに見てとれて……たまにちょっと『濃い』ひとはいるけど、おれは総じて嫌いじゃない。


 どうせ終わらせるなら……みんな満足してくれた上で、気持ちよく終わらせたい。



 ……よって、そんな彼らの期待に報いるため。

 更なる盛り上がりを期待するがため。





「その代わり、ラスト負けたら…………、いきます」




 おれは、特大のエサを取り付け……全力で竿を投げる。




 

『言ったァァ!!!』『プロ先生を!』『いいなお前ら空気読めよ!?自信ニキに任せろよ!?』『【¥11,082】祝・わかめちゃんぱんつ解禁』『これはワンチャンあるのでは』『二枚ってことは!!二枚ってことは!!』『いいの!?』『やべーぞ全裸エルフのパンツだってよ』『ちょっと拡散してくるわ』『すごい!タダでえっちみせてくれるの!?』『【¥4,545】』『ありがとうのわめでぃあ』



「ま、まだわたしが負けるって決まったわけじゃないですが!! アッ、それはそうとしてすぱちゃありがとうございます。仮にわたしが脱がなかったとしても大切に使わせていただきます。たぶん脱ぎませんけど」


「えー脱ごうよノワ、みんなよろこんでくれるよ?」


「何もなく脱ぐわけないでしょおばか! えっち! へんたい!」


「ありがとうございます!!!」




 ラニの盛り上げ(?)と視聴者さんたちの必死の牽制により、どうやら最終局の対局相手が決まったようだ。

 おれがメンバー募集を開始したと同時に入ってきたお二人は、ご両名ともなんか強そうな称号をつけている。たぶんだけど歴戦の証のようなものだと思うので……これはひょっとするとかもしれないな。


 ある程度予想していたこととはいえ、やっぱ自分わかめちゃんの柔肌が餌だと反響がすごいな……視聴者さんたちもさすがの食い付きだ。嬉しいんだけどなんか複雑。



 いや、うれしいんですが!



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