第474話 【第四夜目】大トリおーりとーり
「のわッッッ! ちゃァァァァアん!!」
「かめッッッ! ちゃァァァァアん!!」
「うわあーーーーーーーー!!!?!?」
今週早くも四度目となる、東京都は渋谷区某所『にじキャラ』さん事務所。
嬉しいことに各方面で話題沸騰大好評だという『実在
会議室の扉を開けるや否や……可愛らしい女の子に急襲を受けましてですね。思わず悲鳴を上げてしまったわけですけどもね。
いや、女の子相手に悲鳴上げるって非常に失礼なのかもしれないけど、これおれ悪くないよね。不可抗力だもん。
「ご……ご無沙汰してます。うにさん、くろさん」
「んへへェー」「んふゥー」
「オイこらそこのうにくろ。若芽ちゃん困ってるだろ。離してあげなさい」
「「はぁーい」」
「…………恩に着ます、
さて、今回のキャンプコラボでございますが、めでたく【
「えーっと、では……恐らく鈴木本部長さんのほうから注意事項はご説明受けてると思いますので」
「そやで! 口頭でも書面でもバッチリやよ!」
「そやなぁ! それに先パイ達の配信ずーと見とったし!」
「待ちに待った、って感じですもんね。……ぼくも他人のこと言えませんけど」
「わ、私も……ここ一週間くらい、ずっと楽しみで!」
「じゃあもう……行っちゃいますか!」
「「「「「「いぇーーい!!」」」」」」
おれたちの『副業』をミルク・イシェルさんに手伝っていただいてること、また『実在
実際、うにさんやミルクさんなんかは度々遊びに来てくれてるので……もはや『勝手知ったる』といった感覚なのかもしれない。ありがたいことだ。
というわけで前置きもそこそこに、わくわくを隠しきれないご一行様に【門】をくぐらせ、本日の会場である『わかめ沢キャンプ場』へとご足労いただく。
マネージャーの
「『おすすめメニュー』のボードは、配信始まったらお持ちしますね。なんならサイコロもお付けします。興味あるの幾つか見繕っといてもらっても良いかもしれません。……あ、ロープとかブランコはⅡ期の方々が作って、そのままですが……」
「いや、いーよ。大丈夫大丈夫。ふつーにそのまんま遊ばしてもらうし」
「ウチらなぁ、カレー……ってか、お料理対決やろうって話してきてん。そんでな、ちょっとかめちゃんに相談なんやけんど」
「おお、『対決』はおもしろいかもしれませんね! じゃあ急いで材料買いに……あっ、多めに調達し」
「そう、そこなんですよ若芽さん!」
「てぅおおぅ!?」
「実はですね、こちらに食材もう用意してあってですね!」
「えっ!? この発泡スチロールぜんぶ!?」
「ふっふっふ。ちょーっとお耳を拝借やよ……アッ、みみ
「んヴーーーー!!?」
……なるほど、材料の種類を増やして。
……ふむふむ。さいころで。ほうほう。
……へえー。ボード八枚に六種類ずつ。
なーるほど、八人が提案しあって公平に。
…………いや、すごい。とてもおもしろそうだ。
大人数ならではの企画ってものを、しっかり理解している。さすが『にじキャラ』の精鋭だ。
ならばこそ、われわれ
……………………………………
……………………………
……………………
「…………というわけで、取り急ぎボードの準備完了いたしました!」
「すみません若芽さん、ウチの子達が。……助かります」
「いえいえ。材料持ち込みしてくださったので、こちらとしてはむしろ楽でしたよ」
「後は……どう転ぶか、って所ですけど」
「いやあ、でも……どう転んでも面白くなりそうですもん。すごいですよこの企画」
食材の搬入もあるので少し早めに現場入りしていただき、彼らの『お願い』を聞き届け、超一流の技量を誇るわかめちゃんの手によって必要な小道具の準備(※ボードのデータは作ってくれてあったので印刷して貼っただけ)が整えられ……持ち込み企画をおっ始める準備は整った。
一方の主役である【Sea's】の皆さんは配信会場であるキャンプ場にて、もう間もなくである配信開始時刻を今や遅しと待っているところだ。
……というわけで!
配信スタートの直前だが……ここで【Sea's】の皆さんによる持ち込み企画『お料理
このイベント、平たく言えば『二組に分かれてお料理対決をする』というものなのだが……もちろんそれだけじゃない。
『
ただしごはんに限っては……まぁ、みんな危ない橋は渡りたくないのだろうな。お米は基本装備として配給されるらしい。
用意されたボードは八枚、ボード一枚ごとにサイコロを振り、出た目の示す食材をゲット。つまりは八種類の食材が手に入るわけだ。ちなみにルウ以外の調味料はフリーらしい。
『1.にんじん』『2.じゃがいも』『3.豚バラブロック』『4.たまねぎ』『5.カレールウ(甘口)』『6.キャベツ』『7.ホールコーン』『8.シーチキン』といった感じで……恐らくはこの組み合わせが理想形。
運が良ければ、カレーとサラダが美味しく作れる食材がゲットできるのだという。
しかしながら……引きによっては『3.豚バラブロック』が『3.メロンパン』になってしまったり、あるいは『5.カレールウ』ではなく『5.クリームシチューミックス』になってしまったりする可能性も当然あるので……サイコロの目によっては、果たしてシチューができるのか筑前煮ができるのかハンバーグができるのか、全くもって予想ができない。
いちおう模範解答として『カレー』と『サラダ』は存在するが……食材を活かせるのなら、なにもゴールとなるメニューはこの限りではないのだ。
料理の腕はもちろん、引きの強さや運だけではなくアドリブ
……いや、めっちゃたのしそうだが!
「……というわけで! 『実在
「うちら【
「村崎は黙っとれ」
「ほァなォッ!!?」
「んふゥー。辛辣やんなぁ」
……おっと。どうやらあちらのほうでは、オープニングのあいさつが終わったみたいだ。
この後はテントを拡げたり焚き付けを行ったりと『キャンプらしい』準備を整えたあと……ドキドキのチーム分けを行い、いよいよ『お料理
なお別にシーフードにこだわりがあるわけでは無い。
紅白の組分けを行い、食材の抽選を行い、そこから作戦会議とメニューの設定を行い……いよいよもって、調理開始となる。
タイムリミットは十八時。遅れたことによるペナルティとかは特に無いが、その分食事が遅くなるぞ。
とはいえ時間は充分に確保されているので、ミーティングや作戦会議も重要になってくる。多少アレな組み合わせの食材でも、知恵を出し合えばなんとかなる……かもしれないな。
ともあれ、まずはテントと焚き火けだ。男女に分かれ、また役割を分け、みんな一斉に動き出した。
Ⅰ期生と同率最多となる『八名』という頭数を活かし、てきぱきと――それでいて楽しそうに――作業を進めていってくれている。
みんなとてもたのしそうだ。もちろん見てるおれも楽しいぞ。
がーんばれ、がーんばれ。
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