第470話 【第二夜目】まーじかまじか
『にじキャラ』Ⅲ期生【
メンバーそれぞれに赤青緑黄桃のイメージカラーが割り振られ、そのカラーにちなんだ名前とデザインを授けられているため、割と『顔と名前が一致しやすい』ことが特徴でもある(※個人的な意見です)。
そのためおれにとっては……なんというか、プリティでキュアキュアな感じというよりかは、どちらかというとレンジャー戦隊なイメージのほうがつよかったな。まぁ巨大ロボは無いんだけど。
そんな女の子の五人組ユニットが、『実在
スカートの裾とか枝に引っ掛けちゃったら大変なものが見えちゃうかもしれないし、単純に肌を傷つけちゃう危険もある。キャンプには必須とも言える焚き火を行う際は、引火や火傷の危険だってある。
そのため誠に遺憾ではあるが……オープニングのあいさつとキメポーズと
……というわけで。
ホワイトをベースにそれぞれのイメージカラーを随所にちりばめた、可愛らしい魔法少女ドレスふうの衣装は……現在はイメージカラーはそのままに肌の露出も少ないキャンプ向けの服装へと、堅実なドレスチェンジを行っている。
女の子らしさを大幅に減じたデザインのウェアではあるが、それでも可愛らしさをほとんど損なっていないのはさすがというか、髪型を含めたキャラデザインと演者の優秀さのなせる技なのかもしれない。しらんけど。
そしてですね、山中用装備に着替えた彼女達がですね。
荷物を下ろしてテントを二張り設営し終え、例の『おすすめメニュー』をもとにアクティビティを選択し、今なにをしているかというとですね。
「
「あ
「みどが
「青ちゃんに
「仲良いなお前ら。これ『自分以外みんな敵』なサバイバル戦のハズなんだけど」
「…………」「…………」「…………」
「「「おらぁ!!!」」」
……ちょっとだけ、ちょーっとだけ女の子らしからぬ怒声を上げながら……黒光りする物々しい物体を手に手に携えたカラフルヘアーの少女達が、木々を挟んで銃口を向け合い罵り合う。
普段のガーリーな立ち振舞いとは(
「んにゃろォテメー!! 誰だァいま撃ちやがったのはー! チョーシ乗りぁゃがってブッ
「あだじじゃないっでばああああ!! あああやだあああああ!!!」
「痛い痛い痛い痛い!! ヒット!! ねぇヒット!! ヒットだって!! ねえ!? 私『まいった』って言ってんだけど!?」
「ふぅははー! 今宵のPS90は血に餓えてるぜー! ハイサイクルだぜー!」
「ちょっと落ち着けもも! ちくしょう三〇〇発マガジンはズルいって!!」
…………はい。もうおわかりですね。
白熱しすぎてそろそろ収集つかなくなりそうですが……彼女たちは厳正なる
女の子がバリバリ男の子っぽい遊びしてるのも……なんていうか、良いよね。ギャップもえってやつかな。
「オッケーこの試合ノーカンね! 仕切り直し! 無かったことにしよう!」
「だいたい青ちゃんのせいだって! 平然とゾンビすんだもん青ちゃん!」
「んだとテメェ生意気なくちききやがってよぉ! みどのくせによぉ!」
「ゲームになんないから! 今日のところはルールに従え! 青もみどもわかったか!? 晩飯抜きにすんぞいい加減!」
「わだじはわるぐないでしょおお!!」
「でも……きーちゃんもルール理解してなかったよね」
「……とりあえず撃てば良いのかなって」
……はい。以上がチュートリアルとなるみたいです。泥沼の試合なんて無かった。いいね。
というわけで、いよいよゲームが始まろうとしているわけなんだけど……とはいっても参加者は五名だからね。どうしても二名対三名の組分けになるわけですが、そこは仕方無いと割りきっていただくほかない。
今回はご覧の通り、山林フィールドでのチーム戦。敵陣の風船を割ったほうが勝ちというシンプルなゲームだ。
通常はもっと大人数で
「おらおらおらおらァ! 行くぜ行くぜ行くぜ行くぜェ!! ドゥゥララララララララァァィ!!」
「がははー。三〇〇発ハイサイクルは伊達じゃねえのだぜー」
「もうやだこのチーム!!」
キャンプ場エリアを中心に、沢の下流方面から攻めてくるのは、青桃緑の三人組……ノリノリでヒャッハーな感じの
戦略上の重要拠点であるキャンプ場を先に押さえるべく、数にものを言わせて三人まとめて突っ込んでくる。
「あー……思った通り、馬鹿正直に突っ込んできてるみたいね」
「だろうなぁー、あっちは数で勝ってるし。こっち二人なら別動隊とかも考えにくいだろうし。……とりあえず作戦通り、迎撃優先で」
「おk把握」
「それにしてもうるせぇなあいつら。てか青」
「草なんだがwww」
猪突猛進気味の敵チームに溜め息をこぼしながら上流チーム(というかペア)の指揮を執るのは、Ⅲ期生【
こちらは無理に攻め込もうとはせず、風船を守りながら拠点に籠る迎撃主体の戦法のようだ。
今回は参加総人数が少ないゲームなので、一人の脱落は大きな影響を与える。一人脱落で戦力が半減する上流チームは言わずもがな、全員で攻勢に出ている下流チームも下手な動きを取りづらいだろう。
しかしながら、Ⅲ期生はそもそもが全員女の子だ。オモチャとはいえ銃を構えて駆けずり回るサバゲーなんて、全員が全員初めての挑戦となるわけだ。
……なので、まぁ……うまく物陰に隠れたつもりでも、じつは隠れられていなかったり。
「あ痛ぁ!! ひっとぉー」
「ああ! ももちゃんがやられ痛ァ!?」
「ちょっ!? おまっ……お前らぁ!? バカやろぉあとおれ一人だけじゃねーか! 真面目にあ
「ヨッシャ」
「ナイスゥ」
……あー、うーん…………これはなんていうか、ある意味仕方ないっていうか。
秋の色に染まりつつ山の中で、彩度マシマシのピンクやら水色やらがもぞもぞしていりゃあ……そら目立って当然というか。たとえキャップとフェイスシールドで防護してても、そもそも髪が長いんだもんな。仕方ない。
本人たちはうまく隠れてるつもりだろうけど、青やらピンクやらといった彼女らの頭髪は、この山中にあってひたすらに目立つんだよなぁ。
緑色は…………うん、そうだね。いきなり立ち上がればね、そりゃあ撃たれるよ。
そんなこんなで、まぁ運も実力というべきだろうか。
初めてのチーム戦サバイバルゲームの結果は、上流の赤黄チームが数の不利を覆しての勝利となった。保護色ってすごい。
「ちくしょぉ!! もっかい! もっかいやっぞ! このまま終われぬぇー!」
「ぜーっ、はーっ、ぜーっ、はーっ」
「みどちゃ…………し、しんでる」
「全速力だったもんなぁそっち」
「みど……大丈夫?
「う゛…………う゛ん……ちょっど…………いっでくる」
はいはいはい。かしこまりましてございます。この木乃若芽ちゃんをお呼びでございますね。
マウスやキーボードで操作できるFPSゲームとは異なり、実際のサバゲーは何気に体力を使うのだ。
今回は早々にみんな撃ち取られてしまったが……身を屈めたまま走ったり、障害物から障害物へと動き回ったり、静から一瞬で動に切り替えたり、銃をホールドする上半身に力を入れすぎたりと、じつは結構疲れるわけで。
かくいうおれも、昔ちょこっと知人と嗜んだときは……翌朝ね、寝床から起きれなかったね。金縛りかと思ったもん。
「お疲れ様です、みどりさん。エナドリします?」
「おねがいじまずぅぅぅぅ! ふとももやばいんでずぅぅぅぅ!」
「はいはい。げんきになーれ、げんきになーれ……【
「あ゜あ゜あ゜あ゜あ゜あ゜」
えぇ、けっして怪しいものではございません。副作用も後遺症も依存性もないので、安心安全でございますとも。
安心安全合法なわかめちゃんはですね、こうしてセーフエリアでありカメラの無い休憩小屋の中でですね、疲労をPONっとトバすお手伝いをさせていただいております。……はい、ひととおり施術が完了いたしました。
彼女たちはいちおう共犯者であり、おれたちのひみつを朧気ながら知っている半ば身内でもあるので、これくらいのお力添えなら問題ないとのこと。
それに……あんなに小さな可愛らしい女の子の弱った姿を至近距離で堪能させていただけたので、おれとしても役得である。ふふふ、いくらでも頼っていいのよ。ウフフ。
それにしても……涙目のみどりさん、正直めっちゃそそる。もっとキャンキャン泣かされてほしい。言えないけど。
小さくて可愛い美少女たちのあられもない姿(※語弊あり)を、合法的にもっともーっと堪能させていただきたいので……欲を言うと、みんなもっと疲労困憊になっていただきたいものだ。
……あっ、いいこと思い付いた。
ねえねえみどりさん。ちょっとお耳を拝借。
「ねえみんなー! 管理人さんから賞品の差し入れ! ダッツだって!」
「「「「まじで!!?」」」」
「まじまじ! ただし三つだけね! ダッツがみっつ、なーんつって」
「「「「は?」」」」
「ヒッ」
ふっふっふ……疲れた身体に濃厚バニラと芳醇いちごとすっきりチョコミントは、それはそれは効くだろう。
魅力的きわまりない賞品を求め、みな精一杯たたかいあらそうがいい!
そしてぞんぶんに疲労し、わかめちゃんの合法施術を受け、たまらん表情をするがいい!
はーっはっはっはっは!!
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