第459話 【戦後処理】待遇悪化と環境改善
結局あのあと……警察署の取調室での事情聴取(という名目の女子(?)会)を終えた
封魔結界の座敷牢は『巨人』の一件で盛大に破壊されたそのままだが、
以前のバストイレつきワンルーム座敷牢より、ぶっちゃけお世辞にも良いとは言いがたい環境だが……
四畳半、トイレつき、洗面水栓あり……しかし風呂なし。
お風呂や外出したいときには、監視(兼護衛)の神使に同伴してもらう必要があるので、利便性は格段に下がってしまった。
ビジネスホテルから格安ワケアリ駅前旅館へと変わってしまったわけだが……とうの
「生活の面倒見てくれるなら、それだけで助かるし…………それに、アンタが遊び来てくれるんでしょ?」
……なーんて、意外や意外『けろっ』としていまして。
そんな澄ました顔で、平然とこっ
まぁ
ぶっちゃけ監視下に置かれてるようなものなのだが……意外なほどに協力的といえた。
……まぁ、
とりあえずそんなわけで。
今後彼女には
春日井室長は『事情が事情ですし、悪いようにはしません』と約束してくれたが……数十億規模の損害と、若干とはいえ人的被害を生じさせた責任は、何らかの形で負わなければならないのだろう。
それら全てを理解した上で……あの子はこうして、大人しくしてくれている。
少しでも早く自由の身にしてあげるためにも、『魔王』の計画を阻止しなければならないのだ。
そして……可能であるならば、
彼女と同様、絶望的な境遇から『魔王』に引き上げられ、【使徒】としての立場にその身を
まあ、それはそれとして。
『魔王』こと山本五郎氏の身辺調査や張り込みなどは、そのテの専門家であるおまわりさんに任せておくとして。
人々に明日への希望を抱かせる専門家であるおれたちは、おれたちの本業に関してもそろそろ本腰入れなきゃならないわけでして。
「すみませんご無沙汰してます
「……おや。これはこれは。……御疲れ様で御座います、御館様」
「あっ御館様! どーですか手前の華麗なる煉瓦積みテクニック!」
「…………手前も……がんばった。ほめて」
「進捗は概ね順調に御座います。御安心を」
「おぉ…………いえ、ホント……ありがとうございます。すみません、お任せしっぱなしで……」
いよいよ来週に控えた『実在
例によって作業の模様は固定カメラと
『スタジオえびす』の皆さん、いつもありがとうございます。今度菓子折でも持ってきます。
最近ではDIY系の
四人が四人ともキャラが立ってるし、みんな可愛いし、かっこいいし……一見すると作業に向かなさそうな格好(ロングメイド服と一本歯の下駄などなど)で平然と一流の仕事をやってのける様が、国内外問わず大人気なのだという。
ジャパニーズクールテングメイドクラフターガールっつってな。相変わらず属性多すぎやろ。
……っていうかぶっちゃけ、海外の視聴者さんからの支持がすごいらしい。まぁDIY動画とかものづくり動画とかは、言葉がわからなくても何やってるのかわかりやすいもんな。
それにアメリカとかカナダのほうとかはよくログハウスとか作ってるもんな、きっとみんなDIYが大好きな国民性なんだろう(※偏見です)。
「……それでは……御願い致します、御館様」
「了解です。……あっ、
そんなこんなで大活躍してくれていた『おにわ部』のフォローに入るべく、おれもきちんと(カメラの回っていないところで)お仕事をこなしていく。
今回の設備拡充計画の要でもある、水洗トイレ……その排水機構を埋め込むための、穴堀り作業だ。
「んーんーんー……深さこんなもんですかね?
「…………念の為、もう少々掘り下げて戴いても宜しいでしょうか。排水勾配は砂利敷にて調整致します
「了解です。んむぐぐぐぐぐぐ」
「「「おぉーー」」」
この世界で(たぶん)おれのみに許された、地属性魔法を使っての土木工事。
ユンボや
先んじて『おにわ部』の方々の手によって建てられたトイレ小屋の裏側に、排水を処理するための【転送筒】を埋め込む穴を掘り込む。
小屋から出ていた排水パイプと【転送筒】を充分な長さの塩ビパイプで繋ぎ、ちゃんと流れるように勾配をつけて……きっちり固定して、埋め戻す。
はたから見れば、地中に『行き止まり』を作っただけ。住宅設備や上下水道を多少なり理解している人からはツッコミの嵐だろうこの独特な構造だが……しかしこれで問題ない。はず。
「……受信側は、先んじて御屋敷の排水配管に組み込んで居ります」
「ありがとうございます。……すみません、大変なお仕事お任せしてしまって……」
「……いえ。……御館様に【浄化】の
受信側に加えて、送信側もセット完了。つまりはこれで準備が整った。
あとは送信側の【転送筒】内に……えーっとあのーそのー、
気になる魔力の供給手段に関してだが、当初はおれのおしっ…………おれが使うことで魔力を補充しようかと考えていたのだが、考えてみればこの水洗トイレの上水は屋根に降る雨水を有効活用したタンク式である。
つまりは例の『含光精油』先生をですね、流す水を貯めるタンクにぶち込み差し上げればですね、おれがおしっこしに行かなくても【転送筒】を発動させてくれるってぇ寸法なわけですよ!
かんぺきかな!!
「じゃあじゃあじゃあ御館様、さっそく試してみて戴けますか? ほら、お客様が使ったときに事故らないように」
「えっ?」
「確かに……御館様と頭領の計算に誤りがあるとは思えませんが、念の為動作確認を行っておいた方が宜しいかと」
「アッ、エット」
「……御館様、おしっこ……どうぞ」
「ファッ…………」
…………はい。
ちゃんと……作動しました。
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