第433話 【夜間修練】わいらのワイルドわいだーん
そもそもおれとモリアキは、女の子(※ただし二次元に限る)の好みがけっこう近かったりするわけでして。
つまりは……小柄で華奢なエルフの美少女。しかもじつは緑髪っこが好きな点も、地味に被っていたりする。
世間では『小柄華奢ヒロインといえば金髪もしくは銀髪が正義』だとか『緑髪は不人気ヒロインの象徴』だとか『エルフ属性はもう下火』だとかいう声も多く耳にしたけれど……おれたち二人の理想とする女の子(※ただし二次元)である『緑髪小柄華奢ロリエルフ』で天下を獲る(とまでは行かずともポテンシャルを世に知らしめる)ために、おれたちは『木乃若芽ちゃん』を作り上げたのだ。
ただ年齢設定を行う際には『性癖に忠実に行くべきだ』と主張するモリアキと『老若男女に受け入れられることを優先すべきだ』と主張するおれとの間で、ちょっとした意見の衝突があったのも事実だ。
だがそれを差し置いても、『木乃若芽ちゃん』を構成する要素のほとんど全ては、おれとモリアキ二人にとってストライクゾーンである点は間違いない。
営業方針によって『十歳程度』という形で設定したけれど……
なんの数字かはあえて言わないけど。
今だからこそ言えるのだが……
……ていうかなんなら現在進行形ですきすぎてつらい。
っとまあ、ちょっと話が逸れたけど……要するに『若芽ちゃん』が外見年齢十歳程度なのはあくまで営業戦略上の判断によるものなので、
……まぁこの身体で過ごしているうちに『これはこれで』と感じるようにもなってきたのだが。
とにかく、なによりも今問題なのは……そんな『もうちょっと成長した体つきの若芽ちゃん(※褐色肌)』が、おれの目の前で無防備な格好を曝しているということだ。
「モリアキ、おま、おまっ…………もっとさあ! 格好とかさあ!!」
「ホェ、なにが不満なんすか? なんの変哲もない部屋着シャツとスパッツっすけ…………あっ! ブラパンツのほうが良かったっすか!? そりゃ申し訳な」
「ちげえよ!! ばかじゃないの!? ちがうわよ!! やあねえ!! なに考えてんのよまったくもう!!」
「じゃあなにが不満だっていうんすか? ちゃーんとブラもパンツも着けてるんで
「なんでそんな準備いいの!? モリアキでしょ!? なんでブラとかパンツとかもってんの!!?」
「いやまあ、ほら……職業柄? 資料っすよ資料。……っていうか『若芽ちゃん』の初めてのパンツ提供したのオレっすよ?」
「なるほどそっかぁ………………いやだから
「ノワがいつにもまして情緒不安定な件」
いやちがうんですよ、確かにモリアキ……ていうか『初芽ちゃん』の格好は、決して露出度が高かったりセクシーな格好をしているわけではないんですよ。
でもですね、でもですよ。おれが性的にとてもすこな緑髪エルフの美少女が、とてもラフな格好であぐらかいでニコニコ笑みを浮かべているわけですよ。すぱっつ越しとはいえおまたとか内ももとかが丸見えなんですよ!
それに……『緑髪褐色美少女エルフ』とかいうファンタジーきわまりない格好の子が、和室の布団の上で警戒心の無い笑顔を浮かべてるというギャップがですね、おれの興奮を掻き立ててやまないわけなのですよ!!
「ははぁ、なるほど。…………よーく解ってくれたようで良かったっすよ、先輩」
「……?? ……………あっ!!!」
「ははぁーん? なるほどね、ノワはモリアキ氏に対して警戒感ゼロだったから」
「そうなんすよ。オレとか『初芽ちゃん』でも無きゃ普通に勃ちますし。そんななのに距離ゼロですし警戒心無いですし軽率にパンツ見せてきますし、実際何度かポッチ見えちゃってましたし」
「よ、ッ、……よく…………大丈夫だったね?」
「いや実際ギリギリのギリギリで。中身が先輩だったから(そんな失礼な目で見るわけにはいかないので)なんとか堪えきれたって感じで」
「そ、そっか…………まぁこの件に関しては、中身がおれだったことが(萎えを助長して性的魅力も消えたので)よかったのかもな」
「……?? まぁ、とにかく。オレの苦悩が解って貰えたと思うので」
「お、おう」
「話元に戻りますけど、先輩の美少女耐性を高めるためなんで……腹くくってください」
「んグゥーーーー!!!」
なるほどな。中身がおじさんだと解ってはいるけども、視覚的にはとても好みな女の子がすぐそこにいる、と。
今おれが感じている葛藤こそ、そっくりそのままこれまでモリアキが感じていた葛藤なのだろう。いやほんとよく堪えたなあいつ。ち◯ち◯機能してるんだろうか。……してたって言ってたな。聖人かよ。
しかしまぁ、確かに、美少女耐性をつけるにあたっては効果的なのかもしれない。
初芽ちゃんとて要するにモリアキなので、おれは以前のようにモリアキと合宿する感じでいいわけだ。ハード面から
そうとも……相手がモリアキである以上、おれにとってデメリットはもはや存在しないに等しい。
おれが
見た目美少女、中身はおじさん。今となっては完全に性別が同じ二人(ラニちゃんも含めれば三人)であるからして……つまりおれたちが同じ部屋で寝ることには、何の懸念も問題も生じ得ないのだ。
「はいじゃー電気消すよぉー」
「はーい」「ほーい」
和室の照明が落とされ、微かな明かりがふわふわとおれの枕元の
いつものベッドとは違う寝具の肌触りと、いつもはすぐ隣で眠ることができない同志の存在……自宅であるはずなのになんだかとっても新鮮な寝付きだが、しかしなかなかわるくない。
「あ……そうだ、先輩」
「んえ、どしたモリアキ」
「お願いですんで寝ながら服脱がないでくださいね?」
「え、何それ待ってちょっと詳しく」
「おま、っ……! いつの話引っ張り出してくんだよ!? ってかそれは男の頃の話だしノーカンやろ!!」
「いやぁ、癖って案外抜けないモンっすよ? 朝んなって素っ裸だったら
「じ……上等だよ! ヘーキだもんね、おれべつに裸族じゃねえし!」
「……まぁ…………確かに、素っ裸で恥じらいがない子よりは存分に恥じらってってほしいっすよね」
「それな。オープンスケベもそれはそれで需要はあるんだろうけど……もっとこう、おもむきというか、ふぜいというか」
「へぇー? なんだ、二人ともなかなかイケるクチだね? そーだよねやっぱ最初はツレない態度だったりボクを拒絶するそぶりを見せてるような子が徐々にボクを受け入れるようになってって最後には恥じらいながらも全てを委ねてくれるっていうその変化がまた可愛らしくもあり嬉しくもあり」
「おだまり! ヤリ◯ンぷ◯あな勇者め!」
「このリア充プレイボーイドスケベ妖精め!」
「ええええなんでえええ!!?」
こういう……おとこどうしでえっちな話をしながら眠りに落ちるとか、長らく出来てなかったもんなぁ。
女の子にはとてもとても聞かせられないような、本能に忠実な話ができる相手というのは……やっぱり必要不可欠なのだ。
久しぶりに『満たされる』感覚を感じながら……おれはいつのまにか眠ってしまっていたようで。
たぶんだけど……とても寝付きがよかったんだと思う。
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