第428話 【神前会談】野兎神使の秘密
どうやら、
主神と繋いだ縁を絶やさずに、神力を伝達する
こちらの
セイセツさん率いる
ともあれ、この首輪。これでヨミさまからの神力供給を受け続けることで……
この子はこうして、神域の外で好き勝手に振る舞うことが出来て(しまって)いるのだろう。
そりゃあもう……好き勝手に。
「お……お客人! お客人!! 小生にもう一つ『さくさく』を! 後生に御座いまする! 後生に御座いまする! 小生これまで、斯様に見目麗しく立振舞いもまた
「あーハッシュポテト気に入った? よかったね
「おやおやお客人、これはこれは……まぁまぁ随分とまた可笑しな事を仰有られます。ふふふ、ご案じめされますなお客人。此わざわざ足労を給わらずとも、げに神々しき黄金色たる『さくさく』はお客人の掌の内にて御座いますれば! ……ささ、ご遠慮めされるな、後は其なる『さくさく』をこの小生
「ラニさんナツさん。ヤってしまいなさい」
「えっ? あっ!? ちょ、っ!!? な、なりませぬ!! なりませぬ!! ほんの戯れに! ほんの戯れに御座いまあっ! だ、だめっ……お、お止めくださいませ、どうか!! あっ!? そ、そこは! さすがにそこは小生といえど、ッ! ッきゃんっ! あっ、あっ、お、お慈悲を、あっ、だ、だめっ! そこだめッやぁっ!? ふゃっ! お、お止め、やぇ、ッ……きゃぃッ!? ふゃあぁあーッ!!」
「ラニさんナツさん。もういいでしょう」
「ッ、…………ッ、はーっ、……はーっ」
「いや、あの、先輩……朝っぱらから何してくれてんすか……」
まったく。おれがちょーっと気を利かせて、赤色Mマークの『朝パック』をごちそうしてあげたら……すーぐコレだ。
性懲りもなく調子に乗ってしまったクソガキウサギちゃんには、ちょっと立場ってモンを
というわけで、おれの指示に従い
【
二人は巫女装束に包まれた小柄な身体を問答無用で後部シートへと押し倒し、無慈悲な私刑を執行する。
生意気な言動が尽きないイタズラウサギの
その小さな体を紅潮させ、とろんと宙を見つめるその大きな瞳には……それはそれは濃い『歓喜』あるいは『恍惚』の感情が、疑いようもなくバッチリと顔を覗かせている。
……うん、やっぱりこの子は
「ホントにもう……いきなり車内でドスケベおっ始めないで下さいよ。オレ事故ったらどうするんすか」
「
「食べながら喋んないの! お行儀悪いでしょう!! ……あとそういうこと聞いてんじゃないんすよ!! わかるでしょ!?」
「(ずぞぞぞぞぞぞ)」
「アッ、話聞く気ない! チクショウこのドスケベ寸胴エルフめ……」
「(つーーん)」
ここ
車通りも人通りも少し控えめの
後部キャビンでは……ベンチシートに座るウサギちゃんがなにやら緋袴の内腿をもぞもぞ擦り合わせ始めた以外は、特に特筆すべき問題は起こっていなさそうだ。
二列目シートでそわそわはらはらし始めた
駐車マスにキッチリと車を収め、エンジンの音と共に微振動が止まる。
無事に到着を果たしたことで、あからさまに『ほっ』とした気配を滲ませるそわそわ
「じゃあ…………思ってたより早く着いたし、ちょっと待機しよっか」
「ぇホォ!? なな、なっ……なんと!? 今なんと申されましたお客人!?」
「だからね、待機。待つの。車で」
「な、なっ、なにッ、……なにゆえ!? 何ゆえ斯様に無為な足踏みをなさると!?」
「だってまだ約束の時間まで三十分くらいあるし。五分とかならまだしも、三十分も早くついたらさすがに迷惑っしょ」
「さん、……ッ!!? な、なりませぬ! なりませぬぞお客人! それはなりませぬ!!」
「なんで?
「え゛ぉュ゛うぅうゥゥ……!!」
まあ、おれは全てお見通しなわけだけど。
そしておれは、そこまで鬼じゃないわけなんだけど。
だが、あくまでシラを切るつもりなら。傲慢で自分勝手で生意気な態度を取り続けるというのなら。
彼女の弱いところをバッチリ見抜いた
「まぁ……ちゃーんとした理由があるなら、行動予定を変えるのもアリだろうけど……なにか理由あるの?
「ふぐゥゥゥゥゥ…………!!!」
「ちなみに車内で漏らしたらそのまま即アラマツリさんの前に飛ばすから」
「んヒュ、っ」
ポリカーボネートの折戸の向こうから、なにやら勢いのよい水音が響いてくる。
運転席のモリアキには聞こえたかどうかわからないが……助手席のおれのエルフイヤーには、少なくともバッチリ届いていた。
どうやら……相当溜まっていたらしい。
彼女が密かに慕っているであろう人物の名前を出してやったことで、幸いなことに最後の一線を越えずに済んだ
性格は色々とアレだけど……本人も誇っているように、その容姿そのものは正直とても可愛らしい。
そんな子が、清廉さが形となったかのような巫女装束で、顔を真っ赤に染めてプルプル震えながら泣きそうな声で許しを乞いながら『おねだり』してくるのだ。
ちゃんと言うべきことも言えたし、おれもオイシイ思いをすることが出来たし……おれは恩着せがましく
いやぁ、いいもん見たわ。ごちそうさまってやつだな。
「ですから、先輩。あの……ちょっとばかし『やり過ぎ』では……?」
「大丈夫なんだなそれが。このへんもバッチリ折り込み済なわけよ」
「…………と、いいますと?」
「昨晩ヨミさまにお会いしたときにね……『明朝
「…………えぇ……………それはまた……
「アレな、真っ赤になって泣きそうな顔で震えてるやつな。……あの感情『歓喜』なんだわ」
「……てっきり虐められ過ぎて泣く寸前なのかなと」
「まぁ実際泣く寸前だわな。……歓喜に打ち震えて、だけど」
やがて……おトイレの処理装置が全てを終わらせた音を背に、
その表情はなんというか、安堵とか恍惚とかいろいろと入り混じった、簡単に表すと『うっとり』とした表情なのだが……
おれにはこれが、単純に『間に合った』ことによるものだけ
どうやらこの子……なにがとは言わないけど、
いやはや……末恐ろしい子。
――――――――――――――――――――
※のわめでぃあは健全です
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます