第425話 【急遽一泊】理性オーバーキル
※のわめでぃあは健全です
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改めて、おれのおうちで面倒を見ている(※ただし面倒とは感じていない)なかよし義姉妹ふたりぐみ。
白狗少女の
本日は一般のお方もご利用するらしい大浴場なので、可愛らしいお耳と尻尾を隠したスタイルだ。かわいいぞ。
つまりは我々は一般の方々からみると、キューティクルもバッチリな白髪美少女と、赤みを帯びた黒髪の美少女……そしてドギツイ緑髪のおれという謎過ぎる団体なわけだな!
なお女性用のお風呂に突入するにあたり、例によって視覚にセルフ
なぜならおれはおとこなので、一般のお嬢さんがたの艶姿を盗み見て鼻の下を伸ばすわけにはいかないし……なによりも
そう!! おれはおとこだから!!!
「そいえば
「んにゃ、姉上といっしょに調達した装束であるぞ。『たぶめっと』の『つーまん』で召喚したものである」
「あー、なるほど通販。すごいね霧衣ちゃん、ちゃんと使いこなしブップォ」
「はいっ!
み、みちゃった。直視してしまった。ほどよいふくらみだったし色白できれいなお肌だった。つまりは致死量。おれはしんだ。
ていうか……せっかく対策を講じていたというのに、棗ちゃんの装いをよく見ようとして
(はいはい
(おれは心はおとこだもん。……割りきる、ってなにを?)
(そりゃあ、ほら。可愛い女の子のすっぱだかだよ? オトコだってぇならグッヘヘそりゃあもーたまんないシチュエーションでしょエッヘッヘ)
(見る
(ゥエエ!!??)
そうこうしている間にも、なかよし姉妹は着衣をすべて脱いでしまっていたようだ。おれはあわてて
視覚はぼやけて『ぼんやり』としか見えないが……これで『ごっつんこ』とかの危険もない。
そわそわを隠しきれない美少女二人(素っ裸)に待たせてしまったことを詫びながら。
おれたち三人(とヨダレを垂らさんばかりの勢いでガン見している見えない一名)は、いよいよ大浴場へと足を踏み入れたのだった。
(※しばらく音声のみでお送りします)
「ひろいおふろ! ひろいおふろにございまする! わかめさま!」
「ひろびろだね。ほかのお客さんいるからね、イイコにしようね」
「やぬ、っ…………わかめどの! だっこを! だっこを所望する!」
「アッ、そっか。湯船めっちゃ広いもんね。ちょっと不安だったかぁ」
「ね゛ぇ゛ノ゛ワ゛ー!! つ゛め゛た゛い゛よ゛ぉ゛ーー!! ぶ゛え゛え゛え゛え゛ノ゛ワ゛ーーー!!」
「あー水風呂ね、それサウナっていう……あっつい部屋で汗いっぱいかいたあとに入るやつだから…………っていうか声……」
「わかめさま、お背中わたくしがお流しさせていただきまする!
「エッ!!?」
「んゅ。ならば我輩はおなかをお流ししてしんぜよう」
「ファッ!!??」
「わ……わかめさまが、新たにお嫁さんをお迎えするとしても……わ、わたくしも! わかめさまの『およめさん』に御座いますゆえ!」
「ちょっ!?!!?」
「にっ。我輩も、わかめどののことは気に入っておる故……そうさな、『つがい』として振舞ってもよいのだぞ」
「ア゜ッ!!!?!???!」
「わかめさま、
「わかめどのは……我輩よりも乳房が大きいのだな。……大きいほうがヒトの成体にとっては魅力的なのであろ? ……我輩も大きいほうがよかったか?」
「アッ、アッ、アッ、アッ、アッ、」
――――ばたーん。
「ああ!? ノワがしんだ!!?」
「わかめさまぁ!?」「わかめどの!?」
…………………………………………
………………………………
…………………
「いやね……背中にね、当たってたんすよ、
「どうどうどうノワどうどう」
「当事者になると実際めっちゃ辛そうっすね」
「やかましいわこのプレイボーイ勇者め!! おれは羨ましい!! 女の子を
「そんなこと言われましても」
「でも先輩、実際嫌いじゃないんでしょ? 二人のこと」
「あたりまえじゃん! だいすきだが!!」
「じゃあ……存分に受け入れてあげちゃって良いんじゃないっすか?」
「あの二人をそんなヤラシイ目で見れないもおおおおん!!!」
((めんどくさいなこの子…………))
おれが美少女二人に裸で迫られ(※誤解を招く表現)おふろでブッ倒れたあと、どうやら偶然居合わせた一般のお客様が救急コールを入れてくれたらしく、宿の従業員さん(女性)がおれをレスキューして浴衣を着せてくれたらしい。
気がついたときにはお風呂近くの休憩用座敷で、いつのまにか浴衣を着ていたので何が何やら状態だったのだが……なんでも長湯からの
そうしてこうして従業員さんのお陰でクールダウンされたおれは、めっちゃ心配そうな顔していた二人にとりあえず丁寧に詫びて安心させたあと、一足先にお部屋に戻ってもらいまして。
こうして……おとこの心を持っている者どうしで、ひそひそ声ながら秘めたる感情を吐露して大騒ぎしているのだ。
ちなみに、あのなかよし姉妹に先に戻っていただいたのは……単純に、おれのドキドキが止まらないからだ。
時刻は既に、二十二時過ぎ。
近くに人の姿は無いとはいえ……まったく、はた迷惑なお客(おれ)である。
「反則だって……二人ともめっちゃ可愛いんだもん……めっちゃ可愛い子が二人で素っ裸で『ご奉仕します』とかいって迫ってくんだぜ? むりでしょ……ふつうしぬじゃん……」
「あー、まぁ……破壊力エグいっすね」
「まぁでも、慣れとかないと。……酷なようだけど、ノワは……男性のコミュニティに属することは、出来ないんだから。だって身内贔屓だけどさ、めちゃくちゃ魅力的な女の子なんだもん」
「おとこです」
「おだまり。ち○ち○ついてないでしょ」
「アウーーーン!!!」
まぁ、たしかに……ラニのいうことも一理ある。
残念ながら、元の身体に戻る見込みが無い以上、おれは『女の子』として生きるしかない。それはわかってる。今のおれが男湯に入ったらそりゃもう
女の子用のお手洗いだって、あれも最初は無理だったけど、なんだかんだで順応したんだ。
「モリアキ、ラニ…………おれ、がんばるよ」
「大丈夫、ノワならできるよ。ボクも手伝う」
「いい意気っすよ先輩。じゃあさっそく頑張りましょうか」
「えっ?」
「きりえちゃんとなつめちゃんと……あと、白谷さん。
「しょ――――――――!!?」
「オレは別室でゆっくり休ませて貰うんで……頑張ってくださいね」
「おっけーモリアキ氏。防音は任せたまえ」
「ぼ――――――――!!!??」
一難去って、また一難。
だいすきな美少女三人、おなじ部屋、並べられたおふとん。なにも起きないはずがなく(※起きません)。
おれたちの、普段とはちょっと違う旅先での夜は……こうして騒がしく更けていった。
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※のわめでぃあは健全です
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