第413話 【応援要請】神々見の案内人
長きを生きた大樹や草木の営みには、邪気を払い澄んだ神力を漲らされる作用があるとかなんとかで……まぁ要するに、あの神社特有のとても落ち着く空気は、神様にとっても色々と都合が良いのだと。
「はぇーー…………すっごい」
「ふっふっふ、そうでしょうそうでしょう! まぁそれも当然のこと、なにせ
((ギロッ))
「ヒィッ!? た、た、戯れに! ほんの戯れに御座いますれば! 小生とて本心より申し上げたものでは御座いませぬゆえ! 決して、決して! 本心に御座いませぬゆえ!!」
「…………いい性格してるっすね」
「そだね……今までに会った神使の中でいちばん軽いわ」
いつになく明確な敵意を垣間見せた『
調子が良いというか言動が軽いというか……糸のように細められたその目からはいまいち『感情』を推し測りづらいが、おれたちはただただ後に続くしかない。
確かに、街中に位置するがゆえ敷地を拡げられない
人々の営みの喧騒から離れ、自然のもたらす神力に満たされたこの神域結界は……誇張ではなく、たしかに最も『見事』なものだった。
どれくらいスゴいかというと……初めて
初夏の長い日も陰りを見せ始め、森が神秘的な
………………………………………
それは先日……おれたちが
おれのスマホが突如【リョウエイさん(鶴城神宮)】からの着信を告げ、滅多に無い相手からの音声着信に盛大に取り乱しながら応答したところ……なんとびっくり通話先の声は某笑い声の
『聞いたぞ長耳の。近々
「えっ!? あっ、その、えっと……確かに
『
「いえあのその……さすがにわたしたちは、ひとっ飛びでは行けないかなぁと。……それに、大丈夫なんですか? 前回のもリョウエイさんに怒られたって聞きましたが……」
『
「「「…………………………」」」
スマホから漏れ出る
やがて……どうやら通話口の向こうでは、何がとは言わないが片がついたのだろうか。先程までよりいやに
『…………ハァ…………まァ良い。
「えっと…………ありがとう、ございます。フツノさま」
『ハァ…………
「……わかりました。きっと、そう遠くないうちにお伺いします」
『……
「あっ切れちゃった」
「あー、切っちゃった?」
「切りましたな。……まぁ確かに、アレはあまり他人には聞かせたく無いでしょう」
………………………………………
…………などという、フツノさまの親しみやすさポイントが爆上がりするイベントがありまして。
まぁ、そこまでお膳立てしていただいたのなら、お顔を出さなきゃさすがに失礼だろうと思いまして。
そうして
おれたちはバイオマテリアルセンター(の近くのコンビニ)駐車場での緊急会議の後ちょっとばかり車を走らせ……『お
「いやはや……しかしながら、我が
「帰ろっか」
「そっすね」
「いやいやいやいや! ほんの戯れに御座いまする! 信頼がゆえの軽口に御座いまする! 断じて! えぇ、断じて本意には御座いませぬゆえ! 平に御容赦を!」
「だって……さぁ。ぶっちゃけ気分悪いし。フツノさまには悪いけど、ここまで性格悪いとは思わなかったし」
「ンン!! わ、解り申した! 小生の不徳の致す
「最初っからちゃんとやってくれりゃぁ良かったんだよ。……な? そうだろ? こちとらちゃーんと『紹介状』貰っとるんやぞ? 自分で言いたか無いけど、おれら
「は、はい……えぇ、まこと
「あんまこういうの良く無いんだろうけど……キミ容姿に救われたね? 仮にキミがおっさんだったらおれ即フツノさまにチクってたからね? 本来ならアウトだからね? そこんとこ解ってる?」
「はい…………しかと肝に銘じさせて頂きまする……」
「キミ名前は? ん? 名前
「…………
「名前覚えたからね?」
「………………は、ぃ……」
調子に乗りたい盛りのお年頃なのかは知らないが……糸のように細められていた目には悲壮と焦燥の感情に加え、潤んだ瞳に涙さえ滲ませ。
黒糖色の髪を短く揃えたふわふわの頭に……何故か感情に合わせて『ぴょこぴょこ』と自在に動く、大きく扁平な二房の毛束を備え。
「まったく。……
「……家主殿よ、我輩とてさすがに
「そうだね、
「うむ。そうであろ。…………んふー」
おれたちの案内人である(はずの)イタズラ子兎は……おれの半ギレながらのクレームにより、こうしてようやく大人しくなったのだった。
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